複合施設の中にある注目カテゴリー・都市型軽費老人ホーム<前編>
ブルーポピー
高齢者の介護施設には、実に様々な種類がある。初めて介護に直面すると、その制度の複雑さに戸惑う人は少なくない。介護を受ける自分自身、そして家族がどの施設に入れば希望するサービスを受けられるのか、ケアマネジャーなどの専門家、行政機関に相談しないとなかなか分からない。
急病や予期せぬケガをきっかけに介護が必要になり、慌てて施設を探し、入居することもある。そして、入居後に「必要なことをやってもらえる施設ではなかった」「こんな生活は予想していなかった」という思いを抱くことになってしまった例も残念ながら見聞きする。施設からは説明があり、書類にサインをしていても、そもそも介護の知識があるわけではないので、後から気づくこともあるのだ。
「都市型軽費老人ホーム」とはどんな施設?
今回訪れたのは、東京都板橋区にある都市型軽費老人ホーム「ブルーポピー」だ。最寄り駅は都営三田線「新高島平」駅、高島平団地も近い。早速、都市型軽費老人ホームとは何かを聞いてみた。
事務長代行の古澤友恵さんは、「基本的には自分の身の回りのことがご自身でできる方が入居されています。ただ、できない方が入れないわけではありません。訪問の介護、看護、診療といった外部のサービスを利用していただいて、ここで生活することは可能です。アパート、マンションのようなイメージです」と説明してくれた。
同じ敷地にある特別養護老人ホームとの違いについて、事務長の大河原慶さんは、「都市型軽費老人ホームのサービスに介護は含まれていないので、必要な場合は訪問のサービスを入れてもらいます。特別養護老人ホームには、お体が不自由だったり、ご病気が重かったりする人が多く、何かあれば24時間常駐している看護師、介護士が可能な範囲で対応します」と話す。ブルーポピーの都市型軽費老人ホーム、特別養護老人ホームは共に食事を提供しているという。
身の回りのことができるというのは、「トイレ、風呂を自分で済ませられる」「薬、金銭を管理できる」などの状態のことだ。そういったことができなくなってきたら、家族やケアマネジャーに相談し、外部の訪問などのサービスを入れながら生活をしていく。
東京都福祉保健局の都市型軽費老人ホームのパンフレットでは、「身体機能の低下等により一人暮らしを続けることが不安な方などを対象とし、困った時には支援を受けられる『ケア付き住まい』の創設が必要であるとの東京都の提言を契機に創設された高齢者施設」と説明されている。
従来の軽費老人ホーム(ケアハウス)と比較すると、居室面積や職員配置に関する基準が緩和されていて、利用料は低めに設定、収入に応じた減免措置がある。つまり、所得の低い高齢者も安心して生活できる施設ということがいえる。