『九十歳。何がめでたい』1万通超の読者ハガキにみる人生訓
こうした共感・絶賛の声を綴ったはがきが、上は大正生まれから下は平成生まれまで、編集部には1万通以上寄せられている。そこには、人生の幸不幸をこの本に重ね、励まされたという声も多かった。いくつかご紹介します。
●大好きな曾祖母を思い出して思わず笑ったり、ちょっぴりさみしくなりました。あたたかい気持ちになる1冊でした。(26才・女性)
●子育てに追われ、時間に追われ、なかなかゆっくり本を読むことができなくなって数年。2人の子供が幼稚園に入園し、少しだけ自分の時間ができ、本屋へ向かいました。そこで出会ったこの本。両親が佐藤愛子さんが好きで私を愛子と名づけたと聞いていたので、手に取りました。笑ってばかりで、あっという間に読んでしまいました。(34才・女性)
●夜中に眠れない時に読んでいたので、声をあげて笑っている姿は、はたから見ると変人に映ったかもしれません。私ももう63才です。もうそろそろ「のんびりしよう」と思っていたのですが、そんな考えはダメだということを93才の先生に教わりました。(63才・女性)
●両親が短命で、80才を超える自分は幸福者と考えていました。そして90才を目標に、日々自分なりにできる限り努力をする中で、佐藤先生の「九十歳。何がめでたい」の題名にショックを受けました。しかし読んでみて、なるほど、わかると納得している自分がいました。ありがとうございました。(80才・女性)
●「忖度」の言葉を見つけて、思わず笑ってしまいました。ご本をお書きになった頃は、この言葉で世の中、騒いでいなかったように思います。(60才・女性)
●愛子先生は「物を捨てられない性分」の由。「物を大切に」と言われて育った私もそうで、勝手に親近感を覚えている。断捨離なんかヤーメタ!(72才・女性)
●私は10年に1冊本を読むぐらいの人間です。たまたま面白そうなので買って読みました。佐藤先生の発想がスバラシイ! 同年のように感じました。(69才・男性)
●発売広告を見て書店に行った時に売り切れだったことから買うタイミングをなくし、半年以上経った今、購入し一気に読みました。ニヤニヤ、ムフッと笑いがこみ上げることも多々ありました。昨年書店に行った頃は、余命告知を受けた父を病院の補助ベッドで付き添い、泊まり込む毎日でした。佐藤先生のそれまでの本も読んでいましたが、何だか元気が得られるだろうと探していました。あの頃だと、芯から笑えなかったかも…90才以上生きていること、やはりめでたいことですヨ。次の作品、期待せず待っています。(55才・女性)
「私は老いていくことへの絶望なんて考えたこともない」
当の佐藤さんは5月26日にNHK『ラジオ深夜便』に出演し、「老いることへの絶望をどう乗り越えたか?」というような18才の女性からの質問にこう答えた。
「乗り越えるもヘチマも、私は老いていくことの絶望なんて考えたこともないですから。だから乗り越える必要なんて最初からないんです。
私は自然に任せる、自然に従うことをモットーにしています。それが自然ならば、しょうがないじゃないかと思うんです。人間は衰えなければ死なないんだし、死ななきゃいつまでも生きている。
地球の上にいっぱいになって居場所がなくなるじゃないですか(笑い)」
※女性セブン2017年6月22日号
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