50才以上の大半が老後資金に不安「生活費・医療・介護費が心配でも資産運用には消極的の理由<調査レポート>
物価上昇で生活費は右肩上がり、将来年金がもらえるのか――。50才以上の世代にとって切実なお金の問題。どんなものにお金を消費し、何に不安を感じているのか。OVER50を対象とした“消費に関する実態調査”で浮かび上がった、将来への不安、金銭事情をお伝えする。
この1年間で消費に関する意識が高まる
シニア専門のマーケティングプラットホーム「コスモラボ」を運営するコスモヘルスが、50才以上の世代を対象に「消費に対する意識」についてアンケート調査を実施。
ここ1年の消費に関する価値観の変化、支出の内訳、今後お金をかけたい分野、老後資金への備えなどの質問から、老後の生活費や医療・介護費への強い不安が浮き彫りになった。
物価高が叫ばれるここ数年。1年間で消費に対する価値観の変化を聞いたところ、「非常にあった」(44.3%)、「ややあった」(37.4%)を合わせると、82%もの人が変化を感じていることがわかった。
消費の価値観がどのように変化したのか聞いたところ、1位が「節約志向が高まった」(67.4%)、2位が「健康志向が高まった」(58.2%)、3位に「品質の良いものを選ぶようになった」(35.1%)が続いた。ほか「環境に配慮したものを選ぶようになった」(23.8%)、「コストパフォーマンスを重視するようになった」(19.5%)という回答も多かった。
健康維持のためにかかる出費が増加
日常生活の中で最も支出が多いと感じているものは「医療費・通院費」の24.1%だった。次いで「交際費(外食など)」(18.8%)、「健康・美容・化粧品関連」(16.2%)と続いた。医療費だけでなく、健康で若々しい体のために自己投資をしている人も多いとうかがえる。「子や孫への支出」は12.6%と、物価高の中でも子や孫への支出はなかなか減らしにくく、一定の割合を占めている。
一方「旅行・レジャー」(3.7%)、「習い事・学び」(2.0%)、「洋服・ファッション」(1.6%)といった、自分の楽しみや健康対策以外での自己投資については相対的に低い結果となった。物価高の中、消費を抑えるために生活に最低限必要なものについての支出が家計の中心となっているのかもしれない。
ここ1年間で以前より支出が増えた項目をたずねたところ「医療費・通院費」が33.0%と最も高く、次いで「交際費(外食など)が28.8%となった。
3位が「子や孫への支出」で21.3%、4位は「健康・美容・化粧品関連」で20.6%となった。「旅行・レジャー」(9.2%)、「趣味」(8.2%)といった楽しみについても支出が拡大していることが示された。
現実的な話は切り離して、今後お金をかけたいと思うことをたずねたところ1位は「旅行・レジャー」(37.2%)、「健康・美容・化粧品関連」(30.0%)、「趣味」(24.4%)という結果になった。先の質問では数値が低かった「旅行・レジャー」「趣味」の割合がかなり高くなったことから、生活に必要なものを優先して、自分の楽しみの実現が後回しになっている厳しい現実が浮き彫りになった。
一方、「特にない」(18.6%)と答えた人もそれなりに多く、積極的な支出拡大を志向しない層も見られた。
自由に使えるお金は、5人に1人が月1万円未満
家賃や光熱費、ローンなどの固定費を除いたお金で、毎月自由に使えるお金をたずねたところ、「1~3万円」という回答が最も多く38.6%だった。次いで「3~5万円」(23.8%)、
「1万円未満」と少ない金額でやりくりしている人は20.7%で、全体の33位だった。
自由に使えるお金が限定される中で、健康維持や孫などの家族への支援といった必要なもの、旅行・趣味といった生活に必ずしも必要でないものをどう配分するかが、今後の消費行動を左右する重要なポイントになりそうだ。
老後に不安はあるが、資産運用には消極的
年金の目減りなど老後資金の不安に備え、NISAなど資産運用が注目されている。資産運用(株式・投資信託・NISAなど)を行っているかたずねたところ、「行っていないし、興味もない」と答えたのは40.8%と、半数に近い人が興味を持っていないことが明らかになった。
「興味はあるが、行っていない」が次いで29.1%。約7割の人が資産運用をしておらず、不安と行動のギャップがあることがわかった。
老後の資金に不安があるかという質問に対しては「非常に不安がある」(39.4%)、「やや不安がある」(43.3%)と危機を抱いている人は全体の8割を超えた。「全く不安がない」は2.4%とかなり少数だ。
将来的な収入・支出のバランス、医療・介護費の増加、年金制度の今後の変化など、さまざまな要因が不安につながっていると推測される。
資産運用に興味がない人が4割だったが、将来に不安がないわけではなく、なんらかの方法で資金確保を考えているのかもしれない。
では、老後の資金に対して具体的にどんなことに不安を感じているのだろうか。
「日々の生活費」(59.2%)と「医療費や介護費用」(58.5%)がほぼ同率で上位を占めた。次いで「年金制度の先行き」(50.9%)、「インフレ(物価上昇)」(40.1%)、「子や孫への資金援助」(12.5%)が続いた。生活費と医療・介護費は避けにくい固定支出として意識されている。インフレについてはここ数年で危機意識が高まっているようだ。
老後資金への不安を感じつつ、対策に対して消極的【まとめ】
調査の結果から、老後の資金についての不安が浮き彫りになった。また、節約志向が高まり、旅行や習い事などの楽しみに対する支出を抑えるなど対策をしている人が多い。
また、医療費や介護費を抑えるためにも、健康維持に対する支出が増えている傾向もみられた。一方で、資産運用には消極的で、興味はあるが資産運用を行っていないと答えた人も多く、情報や制度の理解の促進が必要だろう。
50代以上のマーケットには、消費に対する意識と老後不安の双方に寄り添う視点が欠かせないといえるだろう。
【データ】
「消費に対する意識実態レポート」
<調査概要>
調査対象:「コスモラボ」のアンケートモニター(50才以上)
有効回答数:709名
調査期間:2025年9月24日
調査方法:ネットリサーチ
引用元:https://cosmolab.jp/report/consumer-awareness_2509/
※コスモヘルスの発表したプレスリリース(2026年1月5日)を元に記事を作成。
図表/コスモヘルス 構成・文/西谷友里加
