相続税が非課税になる財産は保険金だけ!「保険金が増える」「全自動贈与」テクを専門家が伝授
相続にまつわるトラブルや悩みは尽きないもの。なかでも「相続税」については、わかりづらいことも多い。実は、相続税が非課税になる財産は「保険金」だけなのだという。「保険金が増える」「全自動贈与」など、知ってためになるポイントを専門家が解説します。
※図表・グラフは実際の保険商品をもとに本誌シミュレーション・作成したものです。
教えてくれた人
ファイナンシャルプランナー 牧野寿和さん
相続税が非課税になる財産は「保険金」だけ
相続をめぐるルールがめまぐるしく変化している。年間110万円まで非課税になる「暦年贈与」は亡くなる3年前までの贈与は相続財産に持ち戻されて相続税の対象となっていたが、2024年以降はこれが「7年前」までに延長されることが決まっている。より早めの生前贈与で財産総額を減らしておくことが求められるなど、うかうかしていると損することもある。より確実な相続のために“使える”のが生命保険だ。むしろ、次の世代に残したいなら、現金よりも保険の方が圧倒的に有利だ。
口座が凍結されればお金が引き出せなくなる一方、保険金は保険会社に請求すれば、すぐに受取人に支払われる。
さらに、現預金やほかの財産とは異なり、生命保険金には「法定相続人1人につき500万円まで」の非課税枠がある。ファイナンシャルプランナーの牧野寿和さんが解説する。
「例えば、相続人が妻と子供2人の場合、1500万円までは相続税の対象にはなりません。死亡保険金が2000万円だとすると、ここから1500万円を引いた500万円のみが、それ以外の財産に加算されることになります」(牧野さん)
しかも、借金などの負の遺産が多い場合に相続放棄をするとほかのすべての財産も相続できなくなるが、保険金だけは受け取ることが可能だ。
◆早く払い込むほどグングン増やせる!
1000万円の保険に加入し、最初の5年間で保険料をすべて払い終えた場合、その翌年に解約したとしても「保険金+配当金」の合計は1000万円を上回る。以降も長生きすればするほど受け取り金額は増えていく。
「早めの納入」で保険金が急増する!
資金に余裕があるなら、頭金を増やして保険料を早めに払い込むとより有利になる。
例えば、保険金1000万円の終身保険に50才で加入した場合、初年に912万円、2~5年目まで毎年21万円ずつ払って5年間で払い込みを終えると、払った保険料は総額996万円になる。この保険料にも「配当金」がつくため、払い込み終了の翌年に解約したとしても、受取金額は合計1038.6万円となり、保険料はもちろん、設定した保険金をも一気に上回る。
さらに、そのまま持ち続けて80才で解約した場合は、1400万円近くまで増える計算だ。とはいえ、終身保険は保険料も高め。それなら「生存給付金付定期保険」もある。掛け捨てで返戻金はないが、保険料は安く、3年ごとに保険料の3%分が生存給付金としてもらえる。受取人を本人以外に指定することができるため、比較的安い保険料でも計画的に生前贈与ができる。受取人も受取日も指定できるうえ、通知が贈与契約書の代わりになるため手間もかからない。また遺留分に含まれないため、受取人を指定することで 遺言書の代わりにもなる。
コツコツ増やしながら、自分や家族のために備えよう。
◆「生存給付金付定期保険」なら、元気なうちから「生前贈与」もできる!
1~数年ごとに、保険金とは別に「生存給付金」が受け取れる。
取材/小山内麗香 イラスト/カツヤマケイコ
※女性セブン2024年1月4・11日号
https://josei7.com/
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