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暮らし

【おひとりさまで最期まで自宅に】を叶える在宅介護サービスの種類と金額の目安|自分に合ったサービスを選ぶコツを専門家が解説

 本音では住み慣れた自宅で最期を迎えたいと思っても、家族に迷惑をかけるのは避けたいーーならば家族に迷惑をかけず、「おひとりさま」でも在宅が実現できる介護サービスを駆使しよう。介護のプロたちに活用すべきサービスを徹底取材した。

教えてくれた人

黒田尚子さん/ファイナンシャルプランナー、小山朝子さん/介護ジャーナリスト・総合情報サイト『オールアバウト』のガイド、太田差惠子さん/介護・暮らしジャーナリスト・ファイナンシャルプランナー

介護の相談は地域包括支援センターへ

「地元でひとり暮らしをしている83才の母が足を悪くし、いよいよ介護が必要な状態になりました。私は新幹線を使って週1回は実家に帰り、時には日帰りで掃除やゴミ捨て、買い物や作りおきなどをして慌ただしく自宅に戻る生活をすることに。お金がかかるうえ、自分の家のこともあるので疲労困憊(こんぱい)し1年も経たずに限界を感じてしまいました」

 そう話すのは、東京都に住む前野真美子さん(55才・仮名)。“このままでは共倒れになってしまう”と彼女が頼ったのは、母の住まいがある市役所が教えてくれた地域包括支援センターだった。

「まず要介護認定の申請をしたところ、『要介護1』と認定され、思っていた以上に幅広いサービスが受けられてびっくり。足りない分は自治体のサービスも活用していますが、これまでの交通費を考えたら出費をぐっと減らせました。母はデイサービスで友達ができ、表情もすごく明るくなりました。母はいま、ほとんど“おひとりさま”で自宅で過ごしています」

→介護が始まりそう…そんな時に頼りにしたい【地域包括支援センター】相談前に確認すべき5つのこと

介護サービスを活用して家族の支援なしの生活を実現するために

 ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは、家族に負担をかけない在宅介護の実現についてこう話す。

「介護サービスを活用すれば家族の支援なしで生活することも不可能ではありません。在宅介護サービスは訪問、通所、宿泊、ショートステイなどとても幅広い。公的サービスのほかに自治体や民間のサービスも組み合わせれば、おひとりさまの高齢者のかたでも日常生活の大半はカバーできるでしょう」(黒田さん・以下同)

 公的介護保険による介護サービスを受けられる条件は、65才以上(第1号被保険者)で「要介護認定」を受けた人、あるいは40~64才で16の特定疾病に該当する人だ。まずは市区町村に要介護認定の申請をし、訪問認定調査員による認定調査(聞き取り調査)を受ける。調査と主治医意見書をもとに審査が行われ、要支援1・2、要介護1~5のいずれかの認定がおりればケアマネジャーが介護サービス計画(ケアプラン)を作成し、それに合わせて介護サービスを受けられる。

 調査から認定がおりるまでに1か月ほどかかるため、申請するタイミングには注意が必要だという。

「例えば脳梗塞などの病気で入院して、退院後すぐに介護サービスを使いたい場合であれば、入院中に医師に相談して症状が安定したらすぐに認定を申請するのがいいでしょう。一方で、介護はまだ必要ないのにとりあえず調査を受けようとする人もいますが、実際に介護が必要になったときと要介護度が異なると、結局認定を取り直すことになり二度手間です」

→介護が始まる前に知っておきたい【要介護認定の申請方法】サービス開始までの流れを解説

「要介護認定度に応じた支給限度基準額(月額)」一覧表

※厚労省「居宅介護サービス費等区分支給限度基準額」を参考に作成。支給限度額は単位数で決まり、1単位の金額は地域やサービス内容によって異なる。下の表は1単位10円、自己負担額は1割の場合で計算。

【要支援1】

<状態の目安>日常生活はできるが要介護状態を予防するために一部支援が必要。

<支給限度額>5万320円
<自己負担額>5032円

【要支援2】

<状態の目安>歩行不安定で要介護状態軽減と悪化防止のため一部支援が必要。

<支給限度額>10万5310円
<自己負担額>1万531円

【要介護1】

<状態の目安>排泄・入浴など一部介護が必要。ひとりでの外出が困難になる。

<支給限度額>16万7650円
<自己負担額>1万6765円

【要介護2】

<状態の目安>要介護1に加え立ち上がりや歩行、起き上がりが困難になる。

<支給限度額>19万7050円
<自己負担額>1万9705円

【要介護3】

<状態の目安>杖、歩行器、車いすを利用しており日常生活全般に介護が必要。

<支給限度額>27万480円
<自己負担額>2万7048円

【要介護4】

<状態の目安>自力でできないことがさらに増え、介護なしでは日常生活が困難。

<支給限度額>30万9380円
<自己負担額>3万938円

【要介護5】

<状態の目安>意思伝達も困難で寝たきり状態。介護なしの日常生活が不可能。

<支給限度額>36万2170円
<自己負担額>3万6217円

ライフスタイルに合った介護サービスの選び方

 介護サービスは要介護度に応じて支給限度額や利用料金が変わり、それぞれに適したサービスも異なると黒田さんは話す。

「値段ではなく、何を優先させたいかによって選ぶようにしましょう。例えば要介護1であれば、生活の基盤を整えることが大切なので、訪問介護で掃除や調理をお願いするのがいいでしょう。要介護2・3なら訪問介護に加えて、デイサービスやショートステイをバランスよく組み合わせる。総合的にコスパがいいとされるデイサービスは朝10時頃に車でお迎えが来て、着替えや食事、入浴、機能訓練などもまとめて提供してくれますし、レクリエーションもあって気晴らしにもなります。

 要介護4・5の場合は、訪問介護・看護を中心に福祉用具レンタルを活用するのがおすすめです。そのほかに便利なのは通院の乗降介助サービスです。病院まで付き添ってくれるので、家族がいなくても安心です」

→デイサービスの超基本【決定版】どんな人にオススメ?社会福祉士ライトさんが解説

 杖をつきながらでもひとりで歩けるなら、タクシーでの通所も検討したい。市区町村によっては高齢者が無料もしくは低額でタクシーが利用できる制度があるので、おひとりさまでも移動がスムーズになる。

 ファイナンシャルプランナーで介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんがおすすめするのが、地域の同一の介護事業者から一体的なサービスを受けられる「小規模多機能型居宅介護」だ。

「デイサービスに加えて、必要に応じて自宅への訪問介護や短期のお泊まりもできます。さまざまなサービスがひとつの介護事業者から受けられるので、家族にとっては契約や問い合わせの手続きが楽になり、利用者にとっては毎回顔なじみのスタッフが対応してくれるので安心できます」(太田さん)

→「小規模多機能型居宅介護」とは? サービス内容や費用をわかりやすく解説【社会福祉士監修】

 どんな支援が向いているかは人それぞれだ。介護ジャーナリストで総合情報サイト『オールアバウト』のガイドも務める小山朝子さんはこう注意を促す。

「要介護度だけで必要な支援を判断するのではなく、性格やライフスタイルも考慮する必要があります。例えばデイサービスに行くと外に出るきっかけになり社会性が広がるといわれますが、人との交流が苦手でやめてしまう人もいる。その場合は、ヘルパーさんに週に何度か来てもらい会話の機会をつくるなど、利用者がストレスを感じないサービスを選ぶのが大切です」

おひとりさまの在宅介護を叶える「居宅サービス」まとめ

サービス種類/内容/料金目安(※)

※料金の目安は東京都千代田区のホームページを参考に作成。金額は自己負担1割の場合。要支援・要介護度によって金額は異なる。

自宅で受けるサービス

<1>訪問介護(ホームヘルプ)

 ヘルパーが自宅を訪問して入浴、排泄、食事などの身体介護や掃除、洗濯、調理などの生活援助を行う。

(注)「夜間対応型訪問介護」にあたるものを除く。

[ 料金目安 ]

身体介護(20分以上30分未満)279円
生活援助(20分以上45分未満)204円

<2>訪問入浴介護

 看護師を含めたスタッフが自宅を訪問し、持参した浴槽によって入浴介助を行う。

[ 料金目安 ]

976~1444円/回

<3>訪問看護

 看護師などが自宅を訪問して療養にかかわる世話、または必要な診療の補助を行う。

[ 料金目安 ]

436~537円/回 ※30分未満の場合

<4>訪問リハビリ

 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが自宅を訪問し、心身の機能の維持回復、日常生活の自立を助けるためのリハビリを行う。

[ 料金目安 ]

331~342円/回

<5>乗車・降車介助

 自宅から病院までの移動、交通機関を利用する際の乗降介助を受けられる。

[ 料金目安 ]

111円/回

<6>居宅療養管理指導

 病院や診療所または薬局の医師、歯科医師、薬剤師などから健康管理上のアドバイスや指導を受ける。

[ 料金目安 ]

441~517円 ※医師または歯科医師の場合。利用できるのは月2回まで

施設などで受けるサービス

<1>通所介護(デイサービス)

 利用者が日帰りで介護の専門施設に通い、食事や入浴などの日常生活の支援、機能訓練などのサービスを受ける。

[ 料金目安 ]

718~1252円/日

<2>通所リハビリ(デイケア)

 医師が常駐した介護施設や病院、診療所などに通い、日帰りでリハビリを受ける。

[ 料金目安 ]

794~1432円/日

→リハビリ特化型デイサービスとデイケアの違いとは? 費用・サービス・選び方 医療保険デイケアとの違いも|専門家が解説

<3>短期入所生活介護(ショートステイ)

 特別養護老人ホームなどの施設で短期間宿泊をする。入浴、排泄、食事などの介護及び機能訓練を行う(連続利用日数の上限は30日)。

[ 料金目安 ]

501~982円/日

<4>短期入所療養介護(医療型ショートステイ)

 介護老人保健施設や介護医療院、病院・診療所などで短期間宿泊する。入浴、排泄、食事などの介護及び機能訓練を行う(連続利用日数の上限は30日)。

[ 料金目安 ]

669~1147円/日

→「ショートステイ」とは? 利用条件、介護保険は使える? サービスや費用を徹底解説

<5>特定施設入居者生活介護

 指定を受けた特定の有料老人ホームや軽費老人ホームなどで日常生活の支援や介護などを「居宅サービス」として受けられる。

[ 料金目安 ]

200~887円/日

→介護付有料老人ホームとは?費用や特徴、入居条件をわかりやすく解説「入居者が明かす実情」

環境を整えるサービス

<1>福祉用具貸与

 介護ベッドや歩行補助杖など、自立を支援するための介護用品をレンタルする際、助成が受けられる。

[ 料金目安 ]

用具の種類によって異なる

<2>特定福祉用具販売

 入浴や排泄の際に用いられるなど貸与にはなじまない福祉用具を購入する際、助成が受けられる。腰掛便座、 自動排泄処理装置の交換可能部品、 排泄予測支援機器、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具など。

[ 料金目安 ]

年間10万円が上限

<3>住宅改修費の支給

 手すりの取り付けや段差の解消などの住宅改修費用が一部給付される。同一住宅・同一人につき20万円まで。

[ 料金目安 ]

上限20万円

→【福祉用具】って何?介護保険を利用する方法から100均商品の活用法までわかりやすく解説|介護のなかま会員無料YouTubeライブレポート

写真/PIXTA

※女性セブン2025年10月16日・23日号
https://josei7.com

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