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あなたの介護サービス自己負担額は1割?それとも3割? 知っておきたい介護保険サービスの基礎知識をわかりやすく解説

 日本人の5人に1人が75才以上の後期高齢者となる2025年まであと1年。シニアになるとお世話になる可能性が高い介護保険サービス(以下、介護サービス)だが、申請をしないと利用できない。そのため、親が入院するなど介護に直面してから「何をどうすればいいの?」と、慌てる人が多いのが現状。親や配偶者はじめ家族、そして自分の老後のためにも、元気なうちに介護保険制度のイロハを知っておくことが重要だ。後手に回ったり、損をしないために必読な介護サービスの基本情報をお届けする。

教えてくれた人

浅井郁子さん/介護・福祉系ライター、高齢者の介護と暮らしアドバイザー。実父の介護をきっかけに、新聞や雑誌、ウェブに介護・福祉関連の記事を執筆している。著書に『突然の介護で困らない! 親の介護がすべてわかる本』(ソーテック社)がある。

まず介護の心構えを、次に介護保険を知ろう

いまは元気でも親が75才を超えたら、『そろそろ介護が始まるかもしれない』という心構えをしておく。それだけで、もしものときに慌てなくてすみます」と話すのは、介護・福祉系ライターの浅井郁子さんだ。

 介護が必要になるタイミングは大きく分けて2つ。認知症や高齢化により徐々に衰弱する場合と、骨折のように突然起こる場合だ

「下の漫画に登場する記者N(52才)のお母さんのように、骨折で入院して介護が必要になった場合は、突然という大変さはありますが、病院にいる医療ソーシャルワーカーに手続きなどを相談できるので、その点は安心です。一方、認知症や高齢による衰弱のような進行性の症状の場合は、介護サービスをいつから利用すればいいか見極めるのが難しい。なので、以前と比べて少しでも親の衰えや認知症の兆候が見られたら、介護サービスを受ける準備を始めましょう」(浅井さん・以下同)

 介護サービスを受けようと思ったとき、最初にすべきは、親の住む地域の「地域包括(ほうかつ)支援センター(以下、包括)」の所在地を調べておくことだ。

「包括が介護保険サービス(以下、介護サービス)の相談窓口なので、場所がわかれば安心です。介護保険だけですべてがまかなえるとは限りませんが、せっかくの制度ですから、介護保険で何をしてもらえるのかを知り、上手に活用するのがいいと思います」

→地域包括支援センターとは?役割と利用方法【介護の基礎知識】公的制度

介護が必要になった主な原因トップ3

【要支援者の場合】

1位:関節疾患…19.3%

2位:高齢による衰弱…17.4%

3位:骨折・転倒16.1%

【要介護者の場合】

1位:認知症…23.6%

2位:脳血管疾患(脳卒中)…19.0%

3位:骨折・転倒…13.0%

※厚生労働省「2022年国民生活基準調査」より

2000年4月にスタートした介護保険

 少子高齢化を迎え、「介護も社会全体で担(にな)うもの」という考えのもとスタートしたのが介護保険で、医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険に続く5つ目の社会保険となる。

 ひと口に介護保険といっても、利用者の心身の状態によって受けられるサービス内容は異なる。介護区分は、症状の軽い方から「要支援1」→「要支援2」→「要介護1」→「要介護2」→「要介護3」→「要介護4」→「要介護5」と7つに分けられている。

「介護保険」ってどんなもの?

浅井さん:「介護保険とは、日常生活において、介護や介助が必要となった人に、お金ではなく、介護サービスを支給するものです」

記者N:「65才以上なら、自動的に受けられるんですか?

浅井さん:「いいえ。自己判断で自由にはうけられません。市区町村から『要介護・要支援認定』をされた人が受けられます。

→介護が始まるときに慌てない!要介護認定の申請、介護保険サービス利用の基礎知識

介護保険サービスを受ける場合の自己負担の割合

 介護サービスを受ける場合、利用者の所得に応じて、費用の1~3割を本人が自己負担する。自分が何割負担になるのかは、下記チャートで確認できる。

「介護保険制度の保険者は市区町村。被保険者は住所を有する40才以上の人で、40才になると自動的に資格が得られます。基本的に65才以上の人は第1号被保険者となり、介護サービスが受けられます。40~64才の医療保険に加入している人で、がん末期やパーキンソン病など、16の特定疾病が原因で介護が必要になった場合は、第2号被保険者として介護サービスが受けられます」

介護サービス費用の自己負担割合早見表

※条件:65才以上で本人が住民税課税者であること

<1割負担の場合>

【1】本人の合計所得(※2、3)が「160万円未満」の人

【2】本人の合計所得が「160万円以上220万円未満」で、年金収入+その他の合計所得金額(※4)が「単身で280万円以上」または「65才以上が2人以上の世帯で346万円以上」ではない人

<2割負担の場合>

【1】本人の合計所得が「160万円以上220万円未満」で、年金収入+その他の合計所得金額が「単身で280万円以上」または「65才以上が2人以上の世帯で346万円以上」の人

【2】本人の合計所得が「220万円以上」で、年金収入+その他の合計所得金額が「単身で340万円以上」または「65才以上が2人以上の世帯で463万円以上」ではなく、「単身で280万円以上」または「65才以上が2人以上の世帯で346万円以上」の人

<3割負担の場合>

【1】本人の合計所得が「220万円以上」で、年金収入+その他の合計所得金額が「単身で340万円以上」または「65才以上が2人以上の世帯で463万円以上」の人

(※2)年金収入には障害年金や遺族年金の非課税年金は含まれない。

(※3)合計所得とは収入金額から必要経費に相当する金額を控除した金額。基礎控除や医療費控除、扶養控除などの所得控除をする前の金額。

(※4)その他の合計所得金額とは、合計所得から公的年金にかかる雑所得を除いた金額。

→介護保険制度の生みの親・樋口恵子さんの提言「行政は困ったらいらっしゃいというスタンス。65才を超えたら自ら制度を学んでほしい」

介護区分に応じた支給限度額(月額)

<要支援>

【要支援1】5万320円

【要支援2】10万5310円

<要介護>

【要介護1】16万7650円

【要介護2】19万7050円

【要介護3】27万480円

【要介護4】30万9380円

【要介護5】36万2170円

<記者Nメモ>

「私の母は要介護1でしたが、骨折がある程度治ったところで介護区分が要支援2に逆戻り。そのためヘルパーさんに頼める時間が減少し、介護区分による支給限度額の違いを痛感しました」

 次ページで介護区分と認定基準となる心身の状態について詳しくみていこう!

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