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健康

毎日の小さな習慣が老化のスピードを左右する 薄毛・白髪を加速させる要因を専門家が解説

 年を重ねれば老いには抗えないーーそう諦めてしまいがちだが、一方で実年齢より若々しく見える人がいるのも事実。60代でヨボヨボの人と80代でピンピンしている人はいったい何が違うのか。近年の研究で、老化が早い人と遅い人を分ける境界線は日頃の小さな生活習慣にあることがわかってきた。

教えてくれた人

室井一辰さん/医療経済ジャーナリスト、南野徹さん/医師・日本抗加齢医学会副理事長・順天堂大学大学院教授、野田真史さん/皮膚科専門医・池袋駅前のだ皮膚科院長

世界的に老化研究が進歩している

「最近物忘れがひどい」「目が見えにくい」「耳が遠くなった」ーー。

 こうした老化現象を“克服”する研究が世界中で進んでいる。

 医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが言う。

「近年は世界的に老化研究の進歩が目覚ましい。2020年以降は抗老化(エイジングケア)から一歩進み、動物実験などによって“若返り”の可能性が科学的に証明され始めています。米ハーバード大医学大学院教授で、長寿と加齢研究の世界的権威であるデイビッド・シンクレア氏の提唱した『老化は治療や予防が可能な病である』との考え方が広まりつつあるのです」

 日本でも老化に関する研究は進んでいる。日本抗加齢医学会副理事長で順天堂大学大学院教授の南野徹医師が語る。

「1990年代以降、老化研究の分野では寿命に関する遺伝子の制御で老化が抑制できると判明したほか、欧米や日本など世界中で細胞老化の研究が進みました。特に10年ほど前には『老化細胞』の除去で寿命が延びることが明らかになり、現在、治療法を確立するための研究が国内外で盛んです」

 その一つが南野医師らの研究グループが進める「老化細胞除去ワクチン」の開発だ。

「第一世代の老化細胞除去治療はすでに海外でヒトへの臨床試験が始まりました。我々が研究する第二世代の老化細胞治療であるワクチンについては5年以内に第一相臨床試験(ヒトへの初投与)を行ない、2030〜40年代に大規模な臨床試験を目指しています」

 だが、そうした新薬の登場を待たなくても、老化を遅らせることは可能だと南野医師は言う。

「生活習慣の見直し」で老化のスピードを緩やかに

「老化のスピードを左右するのは『遺伝的要因』と、習慣や環境などの『後天的要因』がおよそ半々と考えられています。発見された長寿遺伝子は食事や運動に関する遺伝子が多いことから、生活習慣を変えることにより老化の進行を遅らせることができる可能性は十分あります」

 今年2月には英オックスフォード大の研究チームが「老化を左右するのは遺伝よりも生活習慣」とする研究報告を学術誌に発表した。

「約50万人のデータを解析したところ、遺伝要因が寿命に与えた影響が2%未満だったのに対し、生活習慣を含む環境要因は17%でした。体に良い習慣を日常生活に取り入れることで長生きの可能性が高まるというシンプルながら重要な指摘です」(室井さん)

 次項からは、「薄毛・白髪を早める習慣/遅らせる習慣」について専門医が紹介する。

実は逆効果? 薄毛・白髪を招く頭皮ダメージ習慣

 老化は「見た目」の影響が大きい。しかし、加齢とともに進行する白髪や薄毛対策が、逆に症状を進行させることもある。

 皮膚科専門医の野田真史医師(池袋駅前のだ皮膚科院長)が言う。

「加齢による白髪は色素細胞(メラノサイト)の働きの衰えが原因と考えられます。しかし、生えてきた白髪を抜くのはNG。毛根がダメージを受けて死滅すれば、新たな髪の毛が生えなくなる可能性があるからです」(以下、「」内は野田医師)

 薄毛対策として頭皮に“刺激”を与える行為も、逆効果になる恐れがあるという。

「頭皮の血流改善や育毛・発毛に繋がるからとブラシで頭皮を叩くようにマッサージする人がいますが、この行為は毛根を傷つける可能性があります。頭皮の血流を改善したいなら、指の先で軽く押す程度がいい」

「薬用」や「発毛」など、幅広いラインナップがあるシャンプー選びも重要。

「ミノキシジル誘導体など発毛促進効果が指摘された薬用成分配合の商品もありますが、毛穴の皮脂除去を謳うような洗浄力の強いシャンプーは注意が必要です。特に皮脂が少ない人が毎日使用すると、頭皮が乾燥して皮膚のバリア機能が低下します。頭皮に湿疹などが生じると、その場所の毛が薄くなることもあります」

 髪の老化を遅らせるには、食事も重要になる。

「髪の毛の元になるケラチンを作るために不可欠な栄養素が亜鉛です。牡蠣やレバーなど亜鉛を豊富に含む食材を積極的に摂取しましょう」

 薄毛や白髪の予防にはこんな考え方もある。

「『髪の毛を気にしない』という心構えが大切です。薄毛を気にするあまり頭皮を頻繁に触ると抜け毛が増えてしまう。また、20年にはハーバード大学の研究で、ストレスを感じるとメラニン色素が髪に行き渡らなくなり、白髪になる可能性があることがわかりました。どうしても髪の毛が気になるのであれば、ストレスをため込む前に男性脱毛治療薬の服用を検討するのも手です」

「薄毛・白髪」を早める習慣・遅らせる習慣リスト

<老化を早める習慣>

ブラシで頭皮マッサージする
 強すぎる刺激により毛根がダメージを受ける

・洗浄力の強いシャンプーを使う
 毛穴の皮脂を過度に洗い流すと頭皮が乾燥しやすくなる

<老化を遅らせる習慣>

・亜鉛が豊富な牡蠣やレバーを食べる
 髪の毛の元になるケラチンの生成には亜鉛が不可欠

・白髪や薄毛を気にしすぎない
 髪の毛を気にしすぎるとストレスで白髪や脱毛が進む

※週刊ポスト2025年7月11日号

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