老化を食い止めるのに管理栄養士がすすめる食材は「アーモンド」 中年太り対策や睡眠の質アップにも…1日の摂取量の目安は「25~30粒」
加齢にともなう老化はすべての人に起こることだが、人によって老いるスピードはさまざま。話題の著書『1週間で勝手に-10歳若返る体になるすごい方法』(日本文芸社)を上梓した管理栄養士・菊池真由子さんによれば、老化を食い止める有力な食材があるという。その食材の栄養価と働き、摂取量の目安について、菊池さんが教えてくれた。
教えてくれた人
管理栄養士・菊池真由子さん
1966年大阪府生まれ。管理栄養士。健康運動指導士。NR・サプリメントアドバイザー。日本オンラインカウンセリング協会認定上級オンラインカウンセラー。大阪大学健康体育部(現・保健センター)、阪神タイガース、国立循環器病センター集団検診部(現・予防検診部)を経て、厚生労働省認定健康増進施設などで栄養アドバイザーを務める。ダイエットや生活習慣病の予防対策など、のべ1万人の栄養指導に携わる。著書に『美味しく食べて勝手にやせる!すごい方法』(三笠書房《知的生きかた文庫》)がある。https://www.diet-class.com/
アーモンドには“若返りのビタミン”が豊富
若返りに効果のある食材といえば、一般的にはたんぱく質を多く含む肉や魚、抗酸化力の高い緑黄色野菜をイメージするが、菊池さんによれば、アーモンドこそ若返りの成分が詰まった食材だという。
「肉や魚などのメイン食材ではないため、食べる習慣のない人も多いと思いますが、アーモンドはアンチエイジングを支える栄養素を多く含むスーパーフードです。中でも、注目すべき栄養素が “若返りのビタミン”と呼ばれるビタミンE。健康でしなやかな血管を保ち、血流を促進させる働きがあるので、老化の抑制には最適です。また、脂肪の燃焼や糖質の代謝をスムーズにするビタミンB2も多いため、中年太りが気になる方にもおすすめ」(菊池さん)
また、アーモンドには腸内の改善に有効な食物繊維も豊富だ。
「シニア世代は、加齢による筋力の低下、腸のぜんどう運動に関わる自律神経の乱れから、腸内環境が悪化し便秘になりやすい傾向にあります。腸内環境を整えるためにも、食物繊維をしっかり摂り入れることが大切。健康的な腸内を維持することは、便秘解消はもちろん、免疫力も上がるため病気への抵抗を高めることにもつながります。さらに、アーモンドに多い不溶性食物繊維は、発がん性物質などの体に好ましくない物質を排出する働きもあるのです」
筋肉の働きや睡眠の質を上げる
菊池さんがナッツの中でもアーモンドを推奨するのは、筋肉の働きの改善、睡眠の質向上、頻尿を改善するのに効力を発揮するマグネシウムが多く含まれているため。
「アーモンドは他のナッツに比べてマグネシウムが豊富。マグネシウムには、シニア世代に必要な筋肉の動きを滑らかにする働きがあります。筋肉は加齢とともに硬くなりやすく、柔軟性も低下します。 “年をとって足がつりやすくなった”という人は、マグネシウム不足が原因の1つである可能性があります。さらに、お酒を飲む人は注意! アルコールはマグネシウム不足の引き金になりやすいので、アーモンドをおつまみにしてマグネシウムを補いましょう」
また、マグネシウムは睡眠を促すメラトニンの材料となるセロトニンの分泌量をアップさせる。
「セロトニンは脳内幸福物質とも呼ばれ、主にストレス緩和に作用します。寝つきが悪い、ぐっすり眠れないなどの睡眠の悩みを改善し、睡眠の質を高めてくれます。さらに、マグネシウムは排尿機能に関わる筋肉を元気にする成分としても活躍。夜間頻尿による中途覚醒の予防にも有効です。夜中に2回以上トイレに起きてしまう人は、ぜひ試してみてください」
噛む力が低下するシニア世代の味方
一方、アーモンドには栄養価だけではなく、シニア世代が食べるべき理由がある。それは噛むこと。
「そもそも、アーモンドは硬いので、しっかり噛む必要があります。この噛む力こそ、老化とともに衰えがちな歯茎の筋トレ。歯茎が弱ってしまうと、歯周病や重症化すれば歯を失うことにもなりかねません。また、一定のリズムで噛むことで脳への刺激となり、結果的に脳を鍛えることに。噛むだけで認知症の予防にもなるわけです。
さらに、噛めば唾液も出ます。加齢とともに唾液の分泌量も減りますから、その予防や改善にも有効です。唾液には、口の中を掃除して虫歯を防ぐ、病原菌の侵入を抑えて感染を防ぐ、活性酸素を打ち消す、糖質の分解を助ける効果もあります。健康な歯と脳、唾液の維持、アーモンドを噛むだけで一石三鳥ですね」
シニア世代に嬉しい効果の詰まったアーモンド。では、1日にどれくらい食べればいいのか。
「ノンフライの無塩タイプを選びましょう。1日の目安は25~30粒程度。数回に分けて食べるのが好ましく、一度に食べる量は10~12粒が適量です。脂肪分も高いので摂りすぎは禁物」
日頃のおやつやおつまみにアーモンドにとり入れて体も脳も若々しく! 好きなものをおいしく食べ続けるための歯の健康維持にも不可欠といえそうだ。
取材・文/佐々木めぐみ