白髪はなぜ生えるのか…原因を知ることが予防につながる「髪から若返るケア法」を専門家が解説
見た目が実年齢よりもふけて見える人は、体力面でも大きな差があるという研究結果がある(デューク大学が20年かけた研究※)。しかし、「生活習慣を見直せば老化のスピードはいくつになっても遅くでる」と腸と老化に関する研究の第一人者で、京都府立医科大学教授の内藤祐二さんは語る。
本記事では、老化現象が顕著に現れやすい髪について、対策を専門家に伺った。
※出典:「Disparities in the pace of biological aging among midlife adults of the same chronological age have implications for future frailty risk and policy」参照
白髪はなぜ生えるのか
加齢に伴い、増えてくる白髪。ヘアカラーを販売するホーユーが2017年、20~50代の女性600人を対象に行った調査では、36.6%が30代で白髪を発見していることが明らかになった。
そもそも白髪はなぜ、生えるのか。そのメカニズムについて日本抗加齢医学会専門医のコッツフォード良枝さんは、次のように説明する。
「髪の毛は生えるまで、色がついておらず白いのですが、頭皮の内側で成長する際に色素幹細胞が働いて、白い髪に色をつけます。しかし何らかの原因によって色素幹細胞の働きが悪くなると、色がつかずに白い髪のまま生えてしまうのです」(コッツフォードさん・以下同)
原因は「遺伝」「環境」の2つ
その原因は、遺伝的なものと環境要因に分けられる。
「若くしてたくさんの白髪がある人は遺伝的な要因が大きいのですが、それ以外は多くの場合ストレス、加齢によるものだと考えられます。最近では、アメリカのコロンビア大学の研究チームが、『ストレスが緩和されると白髪が元の色に戻ることがある』と科学的に検証しています。それでも、一度、色素幹細胞が死んでしまうと完全に元通りになることはないというのが、いまの定説です」
白髪は「染めれば解決する」ことから、薄毛治療よりも研究が遅れているという。
「薄毛治療の場合は、幹細胞培養上清液治療といって、自分のお腹や太ももからとった脂肪で幹細胞を抽出、培養し、上澄み液を頭皮部分に注入する再生医療がありますが、白髪にどこまで有効かはまだわかっていません。仮に有効だったとしても、自由診療の対象になるので、費用は数十万円かかります」
生活習慣の改善・睡眠・食事が白髪予防には絶対条件
生活習慣の改善でできるのは、白髪をこれ以上、増やさない予防的なものになる。
「ストレスは白髪だけでなく、体全体によくないのでストレスをためないこと。当たり前のことではありますが、規則正しい生活をして、睡眠をしっかりとる。これに勝る対策はありません。あとは食事。髪を黒くするメラニン色素の原料となる『チロシン』を多く含む食材をとること。チロシンはチーズなどの乳製品、かつお、まぐろ、たらこなどの海産物、アボカド、バナナのほか、ナッツや大豆などの豆類に含まれています」
最も重要なのが血流の改善!
「頭皮に充分に栄養が行き渡り、健康な髪を育てるためには、頭皮をほぐし、血流をよくすることです。シャンプーの前にはブラシで頭皮を刺激し、汚れを浮かせる。洗うときには指の腹を使って頭皮をマッサージするようにしましょう。ブラシは底の部分がクッション性のあるものだと頭皮に強い刺激がかからないのでおすすめです」
シャンプーは2回洗いが基本
「まずは37~39℃のお湯で60秒ほどかけて髪の表面の汚れを落とす予洗いをします。次に温度はそのままで、1回目はシャンプーを手のひらで泡立て、頭皮をなでるようにして洗う。2回目はシャンプーに少量のお湯を加え、手のひらで泡立てて、1~2分ほど指の腹を使って頭皮全体をマッサージしながら洗います。
シャンプーもコンディショナーも日本で販売されているものは、安全基準を満たしているので、特に神経質になる必要はありません。リラックス目的で好みの香りで選ぶのもいいでしょう」
洗髪が終わったらドライヤーの使い方に気を配ること!
「ドライヤーの風は頭皮に直接当てないこと。頭皮が乾燥すると、髪がパサパサになり、白髪の原因に。ドライヤーは、髪から20cm程度離し、髪だけが乾くようにしましょう」
グレーヘアを楽しむ選択肢もあり
白髪を黒髪に完全に戻すことは難しく、やはり染めるしかないようだ。
「白髪を見つけて、落ち込むようなら部分染めなどをして、対処しましょう。最近は白髪をあえて染めないグレーヘアでおしゃれを楽しむ方法もあります。ただし、髪にボリュームがないと、老けた印象になるので、ワックスなどを使って髪の毛をふんわりと立ち上げるスタイリングをするといいでしょう」
髪から若くなるための5か条【まとめ】
●シャンプー前にブラッシングして汚れを浮かせる
●洗髪するときの温度は37~39℃
●チーズやナッツ類などを食べる
●指の腹を使って頭皮マッサージをする
●頭皮に直接、ドライヤーの風が当たらないようにする
教えてくれた人
コッツフォード良枝さん
銀座禅クリニック院長。美容外科・皮膚科医師。日本抗加齢医学会専門医。書籍『白髪は防げる!』(かんき出版)監修。取材・文/廉屋友美乃 イラスト/鈴木みゆき
※女性セブン2022年7月28日号
https://josei7.com/
●“いくつになっても美しい人”が身につけている「ヘアケア法、表情、品格」の極意