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暮らし

地下は地上よりも安全って本当?大地震に遭遇したときの対処法<バス・地下鉄・自動車編>【お役立ち記事まとめ】

 2024年8月に初めて発表された南海トラフ地震臨時情報。そのインパクトは大きく、旅行や外出の予定をキャンセルした人も多かったという。大地震はいつ起こるかわからないからこそ、いざというときに命を守るために取るべき行動を覚えておきたいもの。今回は、バス・地下鉄・自動車で移動中に地震にあった場合の対処法を専門家に聞いた。

<バス>座っている人より立っている人のほうが地震の被害を受けやすい

「普段、バスを利用しているのですが、どこに座るのが安全でしょうか」(42才・会社員)

 女性セブンの読者からこんなお便りをいただいた。これに対し、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんは、

「バスは電車に比べ、運転手の技量に安全性が左右されるケースが多いんです」

 と話す。

「都営バスの場合、緊急地震速報(震度4以上)を受信すると、危険箇所を避け、道路の左側に停車する決まりになっています。バスの中は倒れてくるものや落下物がないので車内で被害が発生したり、揺れでバスが横転する可能性は低い。怖いのは、地震による揺れでハンドルをとられたほかの車がバスに突っ込んできたり、近くの電柱が倒れてくること、土砂や津波に巻き込まれるなど、外部的要因の影響を受けた場合です。

特に立っている人は、座っている人よりも、そういった外部的要因による被害を受けやすく、衝突の勢いで車外に放り出される恐れもあります。揺れを感じたり、緊急地震速報が鳴ったら、すぐに手すりなどにつかまり体を固定しましょう」(以下、和田さん)

  座っている場合も、投げ出されないように座席の間に体を隠すように身をかがめることが大切だ。

 では、バスの車内で安全な場所はどこなのか?

中央あたりの通路側の席は安全。地震後の追突事故など2次災害の備えも大切

 地震による路線バスの事故は前例がなく、さまざまなパターンが推測できるものの、強いて言うなら、中央あたりの通路側の席が安全だと、日本交通事故鑑識研究所の大慈彌拓也さんは言う。

「バスの前方と後方は、衝突や追突による影響を受けやすい、という意味で危険なエリアです。路線バスの場合、高速バスほどスピードは出ていないことがほとんどですが、シートベルトがあるわけではないので、前方の窓側の席は追突事故が起きた場合、窓の外に放り出される危険性が高い。また窓側と通路側では、通路側の方が外部的要因を受けにくいです」(大慈彌さん)

 東日本大震災を教訓に、津波到達地域を走行するバス会社では、揺れがおさまったら、安全確保ができる最寄りの地域(高台など)へ直行するなど、避難方法が見直されている。地震が発生してバスが急停車しても慌てず、乗務員の指示に従って行動しよう。

初出/女性セブン

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<地下鉄>地上を走る電車より安全だが、崩落や浸水には注意

「地下の深度が浅かったり、駅の構造によっては崩落の危険性はあります。しかし一般的に、地下は地上に比べて地震に強く、特に地下鉄は安全性が考慮された設計になっています。ですから、慌てて外に出なくても大丈夫です」

 と、和田さんは言う。

 というのも、地面が揺れた場合、地上にある建物は地面とは逆方向に力が働くために大きく揺れるが、地下の構造物は地面と同じ方向に力が作用するので、揺れが大幅に減衰するのだという。

 阪神・淡路大震災でも、大開駅以外の地下の被害は少なく、東日本大震災でも、東京や仙台の地下鉄で崩落や脱線といった事故は発生しなかった。

 東京メトロなどの主要な地下鉄各社では、一定以上の揺れを検知したり、緊急地震速報を受信した場合、全路線の列車が緊急停止するようになっている。また、停電への対応も考慮されている。

「駅舎や車両には非常用電源が設置されており、停電時には切り替わるシステムが採用されています」(和田さん・以下同)

 地下鉄内で怖いのは、崩落や停電よりも、線路内に水が浸入する“浸水”だという。東日本大震災のとき、東京メトロ飯田橋駅につながる地下道に水が流れ出した。

「地下の線路脇には排水口があるうえ、防水ゲートなども設置されているため、一瞬にして地下が水没するようなことはありません。地下鉄構内や線路内に浸水が検知された場合、車両は最寄り駅に移動し、アナウンスなどで避難が指示されるので、車内で待機している方が安全度が高いといえます」

 人が車外に出ると、車両が動かせなくなり、ほかの乗客に迷惑をかけることになる。さらに、線路脇には高圧電線があり、触れると感電死する危険性もあるので、勝手に車外に出てはいけない。

初出/女性セブン

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<自転車&自動車>橋の上にいるときに地震に遭遇したらまずは落ち着いて行動すべし

 また、徒歩や自転車で橋の上を通行中に被災した場合は、「橋から落下しない」「車からの衝突を避ける」の2つに注意すること。揺れが強い際は身を伏せたり、手すりなどにしっかり掴まって耐え、揺れが収まったら、周囲に気をつけながら、焦らず歩いて橋を渡りきろう。

 車を運転中の場合は、どうしたらよいのだろうか。

「揺れている最中の移動は、ハンドルが取られやすく、事故やほかの車から衝突される危険があります。橋のどの位置にいようが、橋の上を走行中に強い揺れを感じたら、まずはハザードランプを点灯させてゆっくりと減速し、道路の左側に寄せて停車すること。そして、車内で揺れが収まるまで待機しましょう」

 と、備え・防災アドバイザーの高荷智也さんは言う。 

 揺れが収まったら、各状況に応じて次の行動に移そう。

【ケース1】橋が倒壊、傾き始めている場合

 その場にとどまると高い可能性で命を落とす。車を動かせるようであればそのまま渡りきる。車が渋滞していて動かせない、あるいは通過に時間がかかりそうな場合は、キーを付けたままの状態で車を降り、近い方の岸を目指して全力で逃げる。むやみに川に飛び込んだりしてはいけない。

【ケース2】一見すると橋に被害は出ておらず、傾きなども感じない場合

 素人目には大丈夫でも、余震で倒壊や被害が出る可能性がある。車を移動させられるなら橋を渡りきり、渋滞していて身動きがとれないならキーを付けたままの状態で車を降り、近い方の岸へ避難する。

【ケース3】橋の安全が確認された場合

 慌てて移動する必要はない。その場で情報収集をして、今後の行動方針を定めよう。

初出/女性セブン

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知っていれば安心!公共交通機関で地震が発生したときの注意点と対処法15選

<バスの場合>

【1】バスは緊急地震速報(震度4以上)を受信すると、道路の左側に停車する決まりになっている。

【2】横転の可能性は低い。

【3】すぐに手すりなどにつかまり体を固定する。

【4】座っている場合は、座席の間に身をかがめる。

【5】他の車の追突、電柱が倒れる、土砂・津波に要注意。

【6】窓の外に放り出されない位置にいる。

<地下鉄の場合>

【7】地下鉄は安全性が考慮された設計になっている。

【8】地下の構造物は地面と同じ方向に力が作用するので、揺れが大幅に減衰する。

【9】線路内の浸水に注意。

【10】むやみ外には出ずに、乗務員の指示に従う。

【11】地下鉄車内では乗務員の指示に従って、落ち着いて行動しよう。

<自転車の場合>

【12】揺れが強い際は身を伏せ揺れが収まったら前に進む

<車の場合>

【13】地震発生時、橋の上を走っていた場合、減速し、道路の左側に寄せて停車し揺れが収まるまで待機

【14】揺れて橋が傾いたら渡りきる。難しい場合は降りて走る

【15】橋が揺れて傾いてもむやみに川に飛び込まない

教えてくれた人

和田隆昌さん/災害危機管理アドバイザー、大慈彌拓也さん/日本交通事故鑑識研究所、高荷智也さん/備え・防災アドバイザー

イラスト/大窪史乃

●「命を守る耐震対策」能登半島地震の被災地を目の当たりにした専門家が提唱する家具の固定法

●大地震が来る前に確認すべき<備蓄食材>準備の仕方や選ぶポイントを専門家が指南【お役立ち記事まとめ】

●シニア世代におすすめ<災害時の備え>毎年同じ月に備蓄を見直す【1年ストック法】など家事アドイザーが解説

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