「外出先で災害に遭ったら…」もしもに備えて持ち歩いきたい自分を守る最低限の備え《命を守る防災グッズ》6選【防災士指南】
異常気象や地震など、災害はいつどこで起こるか分からない。寒さに震えながら帰宅困難になったとき、トイレが使えない避難所に身を寄せたとき。そんな場面で「バッグの中の備え」が命を守り、不安を和らげることも。そこで、持ち歩いて備えておきたい防災アイテムを、節約・家事アドバイザーで防災士の資格をもつ矢野きくのさんが項目ごとにリストアップしてくれたのでご紹介する。
この記事を執筆した専門家
節約・家事アドバイザー・矢野きくのさん
家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ・講演・連載などで活動。NHK『ごごナマ』準レギュラー他テレビ出演多数。新聞での連載のほか自動車メーカー、家電メーカーなどの企業サイトでコラムの執筆経験も。近年は中高年層の家事アドバイスや家庭でできるSDGsについての講演、SNSでの情報発信でも活動している。著書『シンプルライフの節約リスト』、『「節電女子」の野菜レシピ!』など。https://yanokikuno.jp/
災害は家にいる時とは限らない
近年は異常気象などもあり災害が多く、防災グッズや備蓄食などを揃えている人も多いと思います。しかし、災害は家にいるときだけに起こるわけではありません。いつどこで災害にあうかは誰にも分からないものです。災害の発生は抑えられなくても、その後の自分を守ることは日頃からの備えで大きく変わってきます。
外出先での災害に備えておくアイテムは、移動距離と頻度、そして発生しうる災害の確率によっても変わってくるものです。
今回は外出先での災害に備えて、日頃から持ち歩いておくべき防災アイテムについてご紹介します。
持ち歩きたい【命を守るための防災グッズ】6選
防災グッズとしてさまざまなものを揃える中で、優先順位が高いものをリストアップしました。
1.水分
生きるために必要となってくるのは、まずは水分です。大きな災害でなくても、停電で電車の中に数時間閉じ込められるということもあります。水分に関しては、必ず持ち歩く習慣をつけておきましょう。
2.羊羹
羊羹は飴よりも栄養価が高く、長期保存も可能。シニア世代のかたには噛む負担も少なく、避難中や移動中に効率よくエネルギー補給できます。空腹時の低血糖の予防などに繋がるおすすめの食材です。
近年は保存期間が長く持ち歩きやすいスティックタイプの羊羹も売っているので、カバンに常に入れておくといいでしょう。
3.常用薬(日常服用薬)
常日頃から薬を服用している人は、余分の薬を持ち歩いておく必要があります。持病の安定を維持し、薬の中断による体調悪化を防ぐため、災害時も継続して服薬できるよう準備することはシニアの方はとくに健康と命を守る基本的備えです。
4.防寒シート
冬に外で災害にあうと、命を守るために重要となってくるのが防寒です。ホームセンターや100円ショップで売っているような薄いアルミの防寒シートを1枚、日頃から持ち歩いておくといいでしょう。
5.ポケットレインコート
災害時に雨が降ってきたら…。また家までの道を歩いているときに雨が降ってきたら…。水に濡れると大きく体力を奪われてしまいます。雨の中を移動しなくてはならないシーンでも極力濡れないようにしたいものです。100円ショップやホームセンターなどで小さく折りたたまれたレインコートが買えますので、これもいつも持ち歩いておきましょう。
6.ホイッスル
遭遇する確率は高くはありませんが、倒壊した建物の中に閉じ込められたり、瓦礫の下敷きになってしまったりした場合、有効なのがホイッスルです。大きな声を出すと体力を消耗してしまいますし、そもそも大きな声が出せないこともあります。そんなときにホイッスルがあると自分の存在を知らせることができます。ホイッスルを必ず持ち歩く鍵につけておくといいでしょう。
ここまでは、バッグに入れて持ち歩いておきたい、小さくて軽めの防災グッズをご紹介しましたが、ほかにもあると安心なものをリストアップしていきましょう。
情報を得るための防災グッズ
今ではシニア世代でもスマートフォンを利用しているかたは多いでしょう。出先でも情報を得ることができるアイテムとして、スマートフォは重要になってきます。どこに行けば避難所が開いているとか、火災が発生しているので◯◯方面には行かないほうがいいなど、さまざまな情報を得ることができます。
モバイルバッテリー
災害のときは不安から何度もスマートフォンや携帯電話で情報を探してしまうものです。しかしあっという間に充電が切れてしまいます。モバイルバッテリーは常日頃から持ち歩くようにしておきましょう。長期の被災が考えられるとソーラー充電もできるモバイルバッテリーだとより安心です。その上で、災害時には極力必要なときだけにスマートフォンや携帯電話を使うようにしましょう。
携帯ラジオ
スマートフォンや携帯電話を利用していないはとくに、利用している人でも持ち歩いてほしいのが携帯ラジオです。災害時はいっせいに多くの人が利用するので、スマートフォンや携帯電話が利用しづらくなる可能性があります。また基地局に災害があった場合は電波が届かなくなってしまいます。ラジオは比較的遠くまで電波が届くので、スマートフォンなどが使えなくなったときでも、情報を得られる可能性があるものです。
より安全に不便なく過ごすための防災グッズ
災害時、いちばんに必要になってくるのは命を守るための最低限のアイテムですが、より安全にそしてできる限り不便がなく過ごすために揃えておきたいものもあります。
携帯用トイレと隠すためのポンチョ
生理現象なのでトイレに行きたくなったときは止められないものです。災害時でもできる限り不便がなく利用するために携帯トイレがあると便利です。また仮に屋外で携帯トイレを利用しなくてはならなくなったとき、女性はとくに隠すものが必要となってきます。
最近では100円ショップで携帯トイレを利用するときのポンチョがあるので、それらを用意しておくのもよいでしょう。ない場合は、90リットルサイズほどの黒のゴミ袋の底を丸く切り抜き、頭を出せるようにしてポンチョ代わりに使うことも可能です。
照明となるもの
災害時停電になることも考えられます。街全体が停電になってしまうと、がれきなどが散乱している足元も何も見えなくなるものです。方向も分からなくなります。できればハンズフリーで利用できるヘッドライトなどもあると便利です。ヘッドライトがかさばると思われる方は少なくとも小さいライトは持ち歩くようにしましょう。
マスク
災害の状況によっては、周囲に埃が舞っていたり、火災の煙がある可能性もあります。また避難所に行った場合、感染症などの心配もあるので、やはりマスクは持ち歩いておきたいものです。
除菌用ウェットティッシュ
災害時には体力も弱ります。避難中に手などが汚れることも十分に考えられます。そのようなときのために除菌用ウェットティッシュがあると安心です。
家族との連絡を取るためのアイテム
一人で外出時に災害にあうと、家族との連絡を取りたくなります。日頃は覚えているつもりの電話番号も、いざそのようなときに思い出せないということが往々にしてあるものです。
電話番号一覧
連絡を取る必要がある人の電話番号は油性ペンで書いたものを持ち歩いておきましょう。
電話のための小銭
スマートフォンが使えず、公衆電話が使えるというときのために小銭を持ち歩いておくと安心です。
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今回は外出先で災害にあった場合にあるといい防災グッズの最低限のものをご紹介しました。冒頭でも述べましたが、生活圏や移動距離、災害の種類によっても必要となるものは異なってきますので、自分のライフスタイルを想定して揃えてみてください。