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シニア世代におすすめ<災害時の備え>毎年同じ月に備蓄を見直す【1年ストック法】など家事アドイザーが解説

 災害に備えて水や食糧を備蓄しておかなければと思うものの、実際どのくらいの量が必要なのかしっかり考えて備えているだろうか?節約・家事アドバイザーとして活躍しながら、防災士の資格も取得した矢野きくのさんが実践する、備蓄のストック方法を教えてもらった。

この記事を執筆した専門家

家事・節約アドバイザー・矢野きくのさん

節約・家事アドバイザー。防災士の資格を持つ。家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ・講演・連載などで活動。NHK『ごごナマ』準レギュラー他テレビ出演多数。新聞での連載のほか自動車メーカー、家電メーカーなどの企業サイトでコラムの執筆経験も。近年は中高年層の家事アドバイスや家庭でできるSDGsについての講演、SNSでの情報発信でも活動している。著書『シンプルライフの節約リスト』(講談社)、『「節電女子」の野菜レシピ!』(アスコム)、『50代からの自宅の片づけ 実家の片づけ』(扶桑社ムック) など。https://yanokikuno.jp/

災害時には1週間の備えが必要に

 多くの犠牲者を出した東日本大震災から13年が経つ今年、元旦には能登半島地震が発生し、日本ではいつどこで地震が起きてもおかしくないということを実感している人も多いことと思います。

 しかし「いつどこで地震がおきてもおかしくない」と思う一方で、「自分が住んでいる場所」と直結して考える人は多くないようです。

 災害への備えはできているでしょうか。

 例えば食料品の備蓄に関して、政府は、以前には「3日分の備蓄を」と言っていましたが、近年は「1週間分の備蓄をするのが望ましい」と言うことが多くなってきています。

 とくにシニアのかたには、いざというときに少しでも不安要因となることを減らすためにも、食料、飲料は最低でも1週間、できればそれ以上の量を備蓄しておくほうが良いでしょう。

最低1週間、備蓄すべき水の量は?

 それでは1週間分というとどれくらい備蓄したら良いのでしょうか。

 まずは水から考えてみます。水は飲料として、1人につき1日2リットル、生活用水として1リットルの合計3リットルが必要といわれています。

 1人1日3リットルで7日分となると、21リットルなので、2リットルのペットボトル11本あれば良いということになります。

 2リットルのペットボトルは6本1箱になっているものが多いので、2箱が目安となります。ダンボール2箱であれば、家の中のどこかに積んでおくことも可能ではないでしょうか。

 仮に長期断水になり、給水車が来たとしても水を運ぶというのはかなり重労働なので、シニアのかたにはとくに水の備蓄をおすすめします。

最低1週間、備蓄すべき食料品の量は?

 断水、停電、さらにガスも止まった状態を想定して、そのような状況でも食べられるものを1週間分備蓄しておく必要があります。

 かつては、備蓄食料といえば、カンパンなどが代表的なもので、その記憶が強いシニアのかたは、備蓄食料に対して情報がアップデートされていないかもしれません。しかし現在は、保存技術も発達し、さまざまな食料品が長期保存できるようになっています。

 長期保存できると言っても、4年、5年と保存するものを揃えるのではなく、半年~1年保存できるものを買って備蓄食料としておき、入れ替え時期になったら古くなったものを食べるという方法をおすすめします。

 4年5年と長期保存できるものは、期限を忘れてかえって賞味期限切れとなってしまう可能性が高いからです。半年や1年であれば、3月と9月など入れ替え時期を決めておけば忘れずに入れ替えることができます。

毎年決まった月に入れ替える『1年ストック法』

 筆者は最近までは半年ごとに入れ替える「半年ストック法」をやっていましたが、最近では1年保存できるものも増えているので『1年ストック法』に変えて、毎年3月に入れ替えるようにしています。

 1人あたり1日3食で1週間だと21食分の食料になります。

 まずは主食となるものの数を揃えます。パックご飯や短い茹で時間でいい乾麺なども良いでしょう。どちらも1年保存できるものはあります。

 さらに、いくつかレトルトのお粥を入れておくと、食欲が落ちてしまう可能性があるシニアのかたでも食べることができるので安心です。

 1週間分の主食の種類にあわせて、おかずになりそうなものも揃えていきます。レトルト食品というとカレーだけを思い浮かべるかもしれませんが、今はパックご飯にかける玉子丼や牛丼のようなものもあります。缶詰で食べやすい魚などを用意しておくのも良いでしょう。

 また、野菜がたっぷりとれるレトルトのスープや味噌汁などもおすすめします。

【まとめ】1週間分の備蓄とストック法(1人あたり)

:1日3リットル(21リットル)→2リットルのペットボトル11本(6本入り2箱)

食料品:1日3食(21食分)→1年賞味期限があるものを1年間ごとに入れ替える「1年ストック法」がおすすめ

食べられないときも考え「あると安心なもの」

 いつ体調不良になるかも分からず食べられないときもあるかもしれません。ゼリータイプの栄養がとれるものもあると安心です。

 食料や飲料以外に、トイレットペーパーや除菌ウェットティッシュ(アルコールタイプとアルコールが使われていないもの)、日頃服用している薬があれば主治医と相談して少し多めにもらっておく等、まだまだ揃えておくべきものはあります。

 繰り返しになりますが、日本ではいつどこで地震が起きてもおかしくありません。いざというときに自分が困らないために、ぜひ備蓄をしておいてくださいね。

●「防災リュックに粘着テープを入れておくべき」理由と災害時の活用法を専門家がアドバイス

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