猫が母になつきません 第398話「梅の実」
スズメノヤリ(雀の槍)って知っていますか? イグサ科スズメノヤリ属の多年草です。いわゆる雑草。今住んでいる借家の庭はもともと芝生が敷いてあったようなのですが、今はほとんどスズメノヤリに覆われています。人が住んでいなかった時期に増えたのでしょう。もうヤリだらけ。しかもイグサ科なのでお米の稲みたいに根っこが束になっていてすごく抜きにくい。かなり難儀しているし、ここまで侵食されていたら芝生の復活は難しそう…と思いつつ少しづつ手入れをしています。内見ではじめてこの家に来たのは夏の終わりで、その日に撮った写真を見かえしてみたら庭はびっくりするくらい草ボーボー、そういえばこの時も「草抜き大変そう」と思ったんだった。いろいろあって結局引っ越したのが冬だったので雑草の勢いを忘れていました。
庭には小さな梅の木もあって春先にはかわいいピンクの花をつけていたのですが、草抜きをしている時にその木の下に小さな緑色の梅が何個か落ちているのを見つけました。でもそれは実家の梅の実に比べたらすごく小さくて食べられるようなものではありませんでした。あと半月もすれば実家の梅の実が落ち始めるころ。落ち始めたら1ヶ月は休むことなく梅仕事の日々でした。今年はもうそれをしなくてよいと思うとほっとするような寂しいような気持ちです。
去年作った梅シロップがまだ残っていて、今はそれをちびちび飲んでいます。庭仕事の休憩には炭酸割りが最高。クエン酸で疲れも吹き飛びます。この在庫が全部なくなってまた梅仕事をする日がきたとしても、あの実家の梅で作った梅シロップ以上に美味しいと思うものはできないのだろう、そんな気がします。
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作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。