猫が母になつきません 第359話「うめしごとアローン」
今年も始まっています、梅仕事。今までは収穫は母の仕事で、日の出とともに庭に出てバケツやざるやサラダボールに山盛り梅を採るのを楽しみにしていました。木になっている梅は採るのが大変なのでうちでは落ちた実を拾います。木の下には引っこ抜いた雑草や、まわりの植木の枝を刈ったものを敷きつめてクッションにして実ができるだけ傷つかないように。それでも落ちてきた実は虫食っていたり、鳥に食べられていたり、熟れすぎていたりするので、使えそうもないものだけ木の下にまとめて庭の生き物用ブッフェにしておきます。それにしてもなんという量…毎日バケツ1杯のペースで採れてすでに30キロ超。実は大粒、傷梅多しで梅干しには向かないので今年も梅シロップと梅ジャムにする予定ですが、氷砂糖を買っても買っても足りません。冷蔵庫に入りきらないので発酵止めにリンゴ酢を加えることにしました。どんなに量が多くても今年は「全部拾って全部漬ける」そう決めています。梅の木があるこの家を手離すことになったからです。この家で梅仕事をするのは今年が最後。さびしいです。母が作る梅干しが毎年全然減らずどんどん蓄積していくことに業を煮やして始めた梅シロップ作り…みなが喜んでくれることもあって、それはいつのまにか私にとってかけがえのない仕事になっていました。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。