徳川家康の「健康長寿めし」再現レシピ8品|たんぱく質たっぷりの魚と肉のおかず
NHK大河ドラマ『どうする家康』で注目が集まっている徳川家康。戦国武将きっての長生き&健康オタクで、75才(数え年)まで生きたとされている。現存している史料を元に、普段から食べていたとされる食事を研究者監修のもと再現。『筋力アップ&フレイル予防 肉と魚のメインおかず』『疲労回復&免疫力向上 八丁みそを使った副菜』『食物繊維たっぷり主食&汁もの』を紹介します。家康気分で健康長寿を目指しましょう!
※一部、現代手に入る食材に換え、味つけも食べやすくして再現しています。
※材料は特記以外、2人前です。写真の盛り付けはすべて1人前。
【筋力アップ&フレイル予防】肉と魚のメインおかず
当時のたんぱく源といえば大豆製品が多い中、肉や魚などを積極的に取り入れていた家康。中でも好んで食べたとされるレシピを再現。
●鯛の天ぷら
たんぱく質をしっかり摂取
「家康は鯛の天ぷらを食べすぎて死んだ」ともいわれるほど、家康が好んで食べていた。うどん粉をまぶした鯛を菜種油で揚げ、にんにくのすりおろしやしょうゆをつけて食べていた。
<作り方>
【1】鯛切り身100gは6等分のそぎ切りにする。
【2】ボウルに冷水1カップを入れ、うどん粉100gをふるいながら加え混ぜる。
【3】【2】に【1】をくぐらせ、170~175℃に熱した揚げ油適量で4分ほど揚げる。
【4】同様に、しし唐2本も【3】にくぐらせて衣がからっとするまで揚げる。
●焼き鳥
フレイル予防に効果絶大!
フレイル(心身の虚弱)予防には、たんぱく源を摂ることが必須。中でも肉を食べることが効果的で、家康は鶏肉を食べていた。当時は雉や鶴などを焼き鳥にして、八丁みそを塗っていたようだ。
<作り方>
【1】鶏肉70~100gはひと口大のそぎ切りにし、しょうが1/3片はすりおろす。
【2】ボウルに八丁みそ小さじ2、酒・みりん各小さじ1を入れて混ぜ合わせ、【1】を加えてよく絡め、30分以上漬ける。
【3】串に刺し、焼き色がつくまで焼く。
●いわしの一夜干し
カルシウムも効率的に摂取
骨まで丸ごと食べられるので、カルシウムが豊富。骨粗しょう症の予防になっていた可能性大。干すことで生よりもカルシウムやビタミンDの含有量が増えるので、さらに効率的に栄養を摂取できた。
<作り方>
【1】うろこをとったいわし2尾は、内臓とえらを出して水でさっと洗い、塩水(分量外)に30分漬ける。
【2】鍋に八丁みそ小さじ2、すりおろししょうが2/3片分、みりん・酒各大さじ1を入れて中火で熱し、くつくつしてきたら【1】を加えて弱火で5~10分加熱する。
【3】腹の中の水気をしっかり出して拭き取り、半日以上干してからグリルでこんがりと焼き目が両面つくまで焼く。
【疲労回復&免疫力向上】八丁みそを使った副菜
家康が頻繁に食べていたと考えられる、八丁みそを使った副菜2品をご紹介。現代でも手軽に作れるので、ぜひお試しあれ。
●焼きみそ
家康が愛したご飯のお供
健康効果の高い八丁みそに、しょうがやにんにく、ごまなどを加えることでさらに栄養価がアップ。高血圧や糖尿病の予防、疲労回復、滋養強壮作用まで持ち合わせ、家康の健康を支えた。家康はこれに、抗酸化作用の高い刻んだくるみを加えて食べることもあった。
<作り方>(作りやすい分量)
【1】しょうが小さじ1強、にんにく小さじ1弱はみじん切りにし、炒りごま(白)5gは刻む。
【2】鍋に【1】、八丁みそ大さじ3強、みりん大さじ1を入れ、弱火にかけて練りながら火を通す。
【3】へらにのせ、弱火で表面を炙る。
●ごぼうのみそ煮
食物繊維×発酵パワーで腸内環境を整える
野菜の中でもトップクラスの食物繊維量を誇るごぼうと、発酵食品である八丁みそを組み合わせた最強デトックスおかず。腸内環境が整うことで免疫力は向上。病気知らずの丈夫な体が作られたと考えられる。
<作り方>
【1】ごぼう2/3本は包丁の背で皮をそぎ落とし、3cm長さに切ってゆでる。
【2】みりん大さじ3と八丁みそ大さじ1はよく混ぜておく。
【3】ごぼうは食感が残る程度にゆで、ゆで汁を流し、【2】を加えて弱火で煮る。
【食物繊維たっぷり】主食&汁もの
家康が毎食欠かさず食べていた玄米とみそ汁こそ、家康の長寿を支えた最大の功労者。具だくさんの汁はいまの時代にも食べたい一杯だ。
●れんこんと山いものとろろ飯
Wネバネバパワーで免疫力アップ!
薬学にも精通していた家康は、漢方としても使われるれんこんと山いもを1:1の割合ですりおろし、麦飯にかけて食べていた。これらに含まれる粘り成分「ムチン」は、消化を促し、滋養強壮に効果がある。
<作り方>
【1】れんこん1節は皮をむき、水から5分ゆでてからすりおろす。
【2】山いも100gは皮をむいてすりおろし、【1】と混ぜる。
【3】だし汁適量を、【2】に少しずつ加えて伸ばし、好みの粘り気になったら茶碗に盛った麦飯にかける。
●あつめ汁
1品で栄養バランスが整う完全食
いろいろな材料を集めて作る「集め汁」が語源とされる。その名の通り、季節の野菜や肉、いわしのつみれ、かまぼこなど、複数の食材を一緒に煮込み、八丁みそを溶いたもの。主に、肉や魚からたんぱく質、野菜から食物繊維やビタミン、ミネラル、いも類から炭水化物も摂取できた完全食。一汁一菜でおかずが少なかった戦国時代の貴重な栄養源だった。
<作り方>
【1】2cm長さの大根は皮をむいていちょう切りに、にんじん1/3本は皮をむいて半月切りに、ごぼう1/6本は皮を包丁の背でこそげ落とし、ささがきにして水にさらす。里いも1個は皮をむいて下ゆでして四等分、かまぼこ1/3本はひと口大、鶏胸肉40gはひと口大のそぎ切りにする。
【2】鍋に【1】と丸めたいわしのつみれ(市販品)2個、だし汁2カップを入れて中火で煮る。
【3】食材に火が通ったら火を止め、八丁みそ大さじ1を溶き入れ、再び中火にかけて加熱する。
【4】煮立ったら火を止めて器に盛り、細かく切った大根の葉適量を添える。
●骨つき鶏肉のみそ汁
旨味たっぷり骨つき肉が主役
家康がもう一つ好んで食べたみそ汁が、鶏を骨つきのまま煮込んで作ったもの。かつおぶしなどのだしを加えなくても旨味たっぷり。具材に、根菜や季節の野菜を加え、たんぱく質や食物繊維が同時に摂れて、お腹もしっかり満たされる一品に。戦国時代は鴨や雉の肉を使っていたが、今回は鶏の手羽中を使い家庭で作りやすくアレンジ。
<作り方>
【1】1.5cm長さの大根は皮をむいて短冊切り、長ねぎ1/4本は斜め薄切り、ごぼう1/2本は皮を包丁の背でこそげ落としてささがきにし、水にさらす。
【2】鍋に鶏手羽中80gと、大根、ごぼう、だし汁2カップを入れて中火にかけ、鶏手羽中に火が通ったら長ねぎを加えてさらに煮る。
【3】食材に火が通ったら火を止め、八丁みそ大さじ1を溶き入れ、再び中火にかけて加熱する。
【4】煮立ったら火を止めて器に盛り、細かく切ったかぶの葉適量を添える。
→大河ドラマ『どうする家康』で注目!徳川家康に学ぶ健康長寿のための食の心得5箇条&まめ知識
教えてくれた人
歴史家・作家 加来耕三さん
独自の史観に基づく、人物評伝を多数執筆。近著に「家康の天下取り」(つちや書店)など。
再現料理/canaco 撮影/市瀬真以 取材・文/上野真依、廉屋友美乃
※女性セブン2023年5月25日号
https://josei7.com/
●今年90才!料理家・小林まさるさんの健康レシピ「食事で糖尿病予備軍を克服」