いま、注目の鎌倉!鶴岡八幡宮の魅力を歴史学者が解説「安産祈願の政子石、大河ドラマ館にも注目」
観光地として人気の鎌倉だが、今年はNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも注目が集まっている。現在でも有名な寺院や名所が多くあるが、その中でも有名な名所と言えば「鶴岡八幡宮」だ。源頼朝が街づくりを進めた中心地としても知られている「鶴岡八幡宮」を、東京大学史料編纂所教授である本郷和人さんに解説いただきながら、一緒に歩いてみよう。
「鎌倉城」と呼ばれるほど街全体がひとつの城だった
「鎌倉は三方を山に囲まれた丘陵地で平地が少ない上、流通の便も悪い。源頼朝がなぜそんな不便な場所を武家政権の中心地に選んだかというと、その地形ゆえ、城壁を築かなくとも敵からの防御に適していたからです」(本郷和人さん・「 」内以下同)
源頼朝は鶴岡八幡宮を中心にした街づくりを進めた。
「中国の都をモデルにしていた平安時代までは、天皇の住む内裏を中心とした街づくりが通例。頼朝の街づくりは日本史上異例でした」
源頼朝が発展させた武家源氏の氏神「鶴岡八幡宮」
鎌倉入りした源頼朝が鎌倉幕府の中心地にふさわしいよう現在の地に遷し、1191年に本宮・若宮を整えた。鎌倉幕府の要として、幕府の各種公式行事が執り行われた。
大石段の先にある本宮は、1191年の火事により焼失。1828年に江戸幕府11代将軍の徳川家斉によって再建され現在の姿に。代表的な江戸建築として、国の重要文化財に指定されている。
本宮の「八幡宮」の八の字は、鳩が向かい合わせになったデザイン。鶴岡八幡宮では鳩は神の使いとして大切にされている。
境内にある源平池。東の源氏池には源氏が“産”み増え発展することを願い3つの島を、西の平家池は平家が“死”に絶えるようにと4つの島を造ったといわれる。
妻の安産を願って造った段葛(だんかずら)と政子石
由比ガ浜から鶴岡八幡宮まで約2km続く若宮大路の中央、葛石で一段高くなった「段葛」も、政子の安産を願って造られた。
源氏池内の旗上弁財天社裏には、妻・政子の安産を願って頼朝が置いた2つの石、「政子石」がある。
口コミで「石に触れると縁結びにご利益がある」といわれている。
お参りの前に“門前うどん”を
平家池横にあるカフェの人気メニューはうどん。消化がよいため、参拝前に食べると参拝で得るエネルギーを体内に循環させる効果があるとされ、“門前うどん”と呼ばれている。
利尻昆布とたっぷりのかつお節を使用した一番だしは透き通り、飲み干せるほど上品な味。
風の杜[鶴岡八幡宮境内]
住所:神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-31
大河ドラマ館が3/1オープン!
劇中の衣装や小道具等の実物展示など、ここでしか見られないコンテンツが多数。さらに出演俳優陣による限定メイキング映像も。大河ドラマの世界観を満喫できる。
鎌倉殿の13人 大河ドラマ館[鶴岡八幡宮境内]
住所:鎌倉市雪ノ下2-1-53 鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム
教えてくれた人
本郷和人さん/日本中世歴史学者
撮影/深澤慎平、玉井幹郎 写真提供/鶴岡八幡宮 協力/逗子市
※女性セブン2022年3月3日号
https://josei7.com/
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