糖尿病の専門医がすすめる”豚汁風スープ”効果と作り方「野菜の切り方とだし」に秘密
肝臓専門医として脂肪肝や糖尿病の治療にあたっている医師が、食事療法にあるスープを取り入れているという。スープは糖質を減らしながら満足度の高い食事が摂れる万能メニューだと医師は話す。「満腹になる工夫をこらしている」というスープとは何か? 効果と作り方を詳しく教えてもらった。
満足度が高く早食いを防止「豚汁風スープ」
栗原クリニック東京・日本橋院長で肝臓専門医として脂肪肝や糖尿病の治療にあたる栗原毅さんは、食事療法にスープを積極的に取り入れている。
「スープは糖質を減らしながら満足度の高い食事を摂れる万能メニュー。特におすすめなのが、手軽に作れる『豚汁風スープ』です。普通の豚汁と異なるのは具材を大きめに切り、電子レンジのみを使って加熱して煮込み時間を短縮すること。
生活習慣病患者は、食事のスピードが速い人が多いのですが、“早食い”は食後血糖値を上げやすく、脂肪肝や糖尿病のリスクを上げます。加熱時間を短縮することで、具材にある程度の歯ごたえを残し、ゆっくりと食事を摂ることができます」(栗原さん・以下同)
きのこの旨みで肥満知らず
干ししいたけの戻し汁とだし汁を両方使うのも糖尿病予防における大きなポイントだ。
「きのこ類の旨み成分は、味蕾(みらい)という味覚センサーを刺激するため、満腹感をより得やすくなる。特に干ししいたけは、骨粗しょう症予防効果のあるビタミンDの含有量も、生のしいたけより豊富。かつおのだし汁には、食後血糖値の上昇を抑制する作用があるため、相乗効果が見込めます」
「豚汁風スープ」の期待できる効果
■糖尿病対策
スープとして調理することで、同じ食品を揚げたり焼いたりするよりも糖化たんぱく質のAGE値が低くなる。具材を大きめに切ることで、噛む回数が増え、少量でも満腹感が得られることもポイント。
■がん予防
キャベツが含むイソチオシアネートやしいたけが含むβグルカンには、がんを予防する抗酸化作用がある。
「豚汁風スープ」の作り方
和風だしには高血圧予防効果がある上、スープとして調理することで糖化たんぱく質であるAGEが減少する。
【作り方】(2人分)
【1】干ししいたけ2枚(約7g)はペーパータオルで軽く汚れをふきとり、ボウルに水3/4カップと一緒に入れ、冷蔵庫にひと晩置いて戻す。
【2】【1】のしいたけは軸を切り、そぎ切りにする。戻し汁はペーパータオルを敷いたざるでこす。
【3】大根100g、にんじん40gは3~4mm厚さのいちょう切りに、キャベツ50gはざく切りに、長ねぎ40gは小口切りに、ごぼう20gは斜め薄切りにする。油抜きした油揚げ20gは細切りにする。豚ロース薄切り肉100gは2cm幅に切る。
【4】ボウルに【2】の戻し汁、だし汁(戻し汁と足して1 1/2カップになる量)、みそ大さじ1を入れ、よく混ぜてみそを溶いておく。
【5】耐熱容器に、【2】のしいたけ、【3】【の野菜を入れ、【3】の豚肉をなるべく重ならないように広げる。【4】を入れ、ふんわりラップをかけて600Wの電子レンジで約8~10分加熱する。
【6】【5】を取り出し、ラップをぴったりかけなおして2分蒸らす。お好みで、かつおぶしと七味唐辛子を少量かける。
★ポイント
加熱は電子レンジで。あえて少し歯ごたえのある状態で食べることで咀嚼回数が増え、満腹感を得やすい。
教えてくれた人
栗原毅さん/栗原クリニック東京・日本橋院長
撮影/矢口和也
※女性セブン2021年10月28日号
https://josei7.com/
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