年金で入れる「ケアハウス」とは?種類や入居条件、費用、サービスを解説 入居した父親が退去を余儀なくされた実例も【FP解説】
私の父は70代後半に、アルツハイマー型認知症と診断されました。ただし、本人は自覚がありませんので、「介護保険」を利用するという認識はありません。
父親に介護保険の利用をすすめても、自分は元気だからと拒否するのみです。
食事は、毎日外食で、食生活も乱れ、生活費が足りなくなり、電話代未納のため連絡もつかないときなどもありました。
ひとり暮らしの父と連絡がとれなかったときは大変心配になり、何度か地域包括支援センターや社会福祉協議会の方々等にご協力をいただきました。その折に、地域包括支援センターの方々等から「自立型のケアハウス」をご紹介していただきました。
入居後は、食事も3食あり、個室で利用料も比較的安く、生活の自由度も高いため、父親は大変満足していました。私たち家族も父親が満足していたので、とても安心しました。
父が暮らしていたケアハウスは月額約10万円で、年金収入で賄うことができました。
ところが、その後、認知症が進行し、施設長から「このまま住み続けるのは難しいかもしれません」と言われていた矢先、父親が脳梗塞を発症して入院することになったのです。
父が入居していたのは自立型のケアハウスだったので、認知症や病気により介護が必要となった場合は、退去しなければなりませんでした。
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ケアハウス退去時の注意ポイント
このような経緯から、父はケアハウスを退去することになりました。
なお、注意すべきなのが、ケアハウスの退去時には、居室の原状回復費等が必要になることです。入居時に敷金などが不要だった父の場合、ケアハウスに約4年弱暮らしましたが、約15万円強の退去料がかりました。
ケアハウス【まとめ】
高齢者施設には多くの種類がありますが、ケアハウスは公共の施設です。民間の高齢者施設よりも比較的安価で利用できますが、人気があり、入居までに時間がかかる場合があります。
健康状態に問題はないが、家族の援助を受けるのが難しい等、自立した生活に不安のある60才以上の人は、自立型のケアハウスを検討するのもひとつの方法です。ただし、入居に関してはさまざまな条件があります。利用方法や入居条件も複雑でわかりにくいため、まずは、地域包括支援センターなどに積極的にご相談してみるといいでしょう。
※記事中では、相談実例をもとに一部設定を変更しています。
執筆
河村修一さん/ファイナンシャルプランナー・行政書士
CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士、認知症サポーター。兵庫県立神戸商科大学卒業後、複数の保険会社に勤務。親の遠距離介護の経験をいかし、2011年に介護者専門の事務所を設立。2018年東京・杉並区に「カワムラ行政書士事務所」を開業し、介護から相続手続きまでワンストップで対応。多くのメディアや講演会などで活躍する。https://www.kawamura-fp.com/