102才一人暮らしの哲代おばあちゃんに学ぶ「長い老後の不安を乗り越える方法」
人生100年時代といわれるが、体のこと、お金のこと、孤独……老後の生活を考えれば、挙がるのは不安要素ばかり。そんな不安な私たちの背中を押してくれるのは、累計発行部数が15万部を超えてヒット中の『102歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』の共著者、石井哲代さんだ。
石井哲代さん(102才)の1日の過ごし方
「長い老後を考えると、不安ばかりが募って苦しくなります」とのお悩みに、石井さんはこう答えてくれた。
「悪い面をひっくり返したら、ええ面が出てきます」
「私は今年の4月29日で103才になります。夫を見送ってから約20年、広島県尾道市の山間の町で、ずーっとひとり暮らしです。近くに住む姪やご近所さん、教員時代の教え子たちがよく訪ねてくれて、おかずやら餅やらみかんやらを持ってきてくれるんです。
私の一日はというと、朝起きたら前屈運動をやって布団をたたみ、仏さんを拝みます。それからご飯を炊いて、いりこでだしを取ったみそ汁を作っていただきます。粗末なものばかりですが、3食欠かしません。食べることは大好きで、食欲もバッチシ(笑い)! 今日はテレビ番組の収録で、山盛りのご飯をペロリといただきました。
哲代おばあちゃん、愛車はシニアカー
天気のいい日は、家のまわりや畑の草取りと畑仕事。前は朝早くからやっていましたが、この頃はゆっくりです。毎週月曜は、地区のおばあさんたちが集まる『仲よしクラブ』の日。愛車の『タッタッタ』(シニアカー)で行きます。みんなで大正琴を練習したり、おしゃべりしたり、楽しいですね。
まあ、私の一日は同じことばっかりですが、気がついたら、いまに至っております。元気の秘訣は、感謝の気持ちを大きく表現することですかね。年寄りが機嫌を悪くしてはいけんでしょう。若い人にも『老いても楽しそうだなあ』と思ってもらえるよう、にこにこしています」
否定の感情は笑いに変えて
とはいえ、ひとり暮らしの不安や寂しさに“弱気の虫”が顔を出すこともある。そんなとき、哲代おばあちゃんはどう心を奮い立たせてきたのだろうか。
「手には裏と表があって、手の甲はしわしわでも、ひっくり返したらつるつるでしょう? 物事も同じ。自分の中にも裏表があるんじゃから、裏を見ればキリがない。
悪いところばかりを考えず、自分のええ面を見つけることが大切だと思います。長く生きていれば面倒なこともあるけれど、私はそう思うて102年来ましたよ。あとはね、「ない」と否定の言葉を使うかわりに「ナイチンゲール」と言うんです。「お金がナイチンゲール」とかね(笑い)。そうやって、否定の感情を笑いに変えておりますよ」
プロフィール
石井哲代さん/1920年、広島県出身。20才で小学校教員になり、26才で結婚。56才で退職後は畑仕事をしながら暮らす。2003年、83才で夫を見送る。子供はおらず、姪や近所の人々の支えで、ひとり暮らしをする。100才を超えて元気に暮らす姿が地元で紹介され話題に。中国新聞社との共著に『102歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』(文藝春秋)。
写真/中国新聞社 取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2023年4月13日号
https://josei7.com/
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