猫が母になつきません 第305話「せいざする」
去年の1月に戻ってきたシロ、もう一年半近く通い続けています。これまでは何ヶ月かすると姿を消して、また数ヶ月後に戻ってくるということを繰り返していたので、きっとまた来なくなるんだろうと思っていました。最近ちょっと痩せてきたように思うので旅に出るのはもうしんどいのかもしれません。野良猫の寿命は3〜5年といわれているのに、シロを最初に見たのはもう8年前。野良猫としてはとても長生きということになります。去年9ヶ月ぶりに姿を見せたときにはとても元気そうでしたが、口を怪我したのか少しごはんが食べにくそうなので最近は高齢猫用のやわらかいフードを用意するようになりました。やってくる時間がまちまちだし、来ない日もあるので毎日何度もシロがきていないかと窓の外をのぞきます。たいていは「なおん、なおん」と呼んで知らせますが、私が気がつかないと窓から顔を見せて「来てますけど」。来訪を知らせたあとは定位置に正座してごはんが出てくるのをじっと待つ。前脚を揃えて、背筋をぴんと伸ばして、これ以上はないというくらいの良い姿勢で。食べ終えたら「ごちそうさま」を叫びながら去っていきます。
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作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。