旬の食材で四季を感じる「春夏秋冬」ごちそうレシピ|分とく山・野崎洋光さん
体が喜ぶ春夏秋冬のごちそう料理を作ってみませんか。日本料理が大人気の分とく山・総料理長の野崎洋光さんが、旬の食材をふんだんに取り入れたレシピを教えてくれました。
「立春」や「春分」など季節のうつろいを感じさせてくれる“二十四節気”の4月以降の節気を、和文化研究家の三浦康子さんが解説。節気の由来や行事について知ることができます。
「年中好きな食べ物が買える現代ですが、季節の食材を食べることには、夏は体を冷やし、冬は温めるなどきちんとした意味があります。行事食とともに旬の素材を堪能しましょう」 (野崎さん)
紹介するレシピは、旬の素材を使っているのでおいしくて栄養価が高いものばかり。四季を感じて健やかにすごしましょう!
※材料は記載のあるもの以外、2人分です。※二十四節気の日付は2021年の場合です。
【春】のごちそう:たけのこご飯・かしわチーズ焼き
●春の節気
<清明(せいめい)>4/4~19
<穀雨(こくう)>4/20~5/4
動植物の活動が活発になる「清明」、柔らかく温かな雨が降って田畑を潤し、種まきに最適とされる「穀雨」など、生命力が溢れる季節。
●たけのこご飯
春になったら一度は食べたい、たけのこご飯。たけのこのアク抜きは大根おろしに浸けるだけ。
<材料>
たけのこ…小1本(150g)
油揚げ…1枚
木の芽…適量米…2合
【A】
大根おろし・水…各1カップ
塩…小さじ1
【B】
水…1 1/2カップ
薄口しょうゆ・酒…各大さじ2
塩…小さじ1/2
<作り方>
【1】皮をむいたたけのこを縦半分、さらに半分に切り、厚さ1cmに切る。
【2】混ぜ合わせた【A】に【1】を入れて1時間おいたら水洗いし、鍋に水適量(分量外)とともに入れて火にかける。ひと煮立ちしたら、ざるにあげる。
【3】米を洗って水に15分浸し、ざるにあげて15分おいたら炊飯器に入れる。
【4】油揚げはフードプロセッサーで細かくし、熱湯をかけて油抜きをし、きつく絞る。
【5】【3】に【2】、【4】、混ぜ合わせた【B】を加え、早炊きする。器に盛り、木の芽を添える。
●かしわチーズ焼き
パリッと焼いた鶏肉に黄身を塗って鮮やかに。端午の節句に食べる柏もちにちなんだかしわ(鶏肉)料理。
<材料>
鶏もも肉…約250g
サラダ油…大さじ1
スライスチーズ…1枚
卵黄…1個分
塩・こしょう…各少量
<作り方>
【1】鶏肉は両面に塩、こしょうを振る。
【2】フライパンにサラダ油をひき、鶏肉を皮目を下にして弱めの中火で約7分焼く。肉から脂が出てきたら、適宜キッチンペーパーで拭き取る。
【3】鶏肉の厚みの半分ほどが白くなったら、上下を返す。出てきた脂を拭き取りながら、約5分焼いて中まで火を通す。
【4】【3】の上にスライスチーズをのせ、軽く溶けたら火を止めてオーブントースターに入れる。
【5】【4】のチーズの表面に刷毛で卵黄を塗り、表面が乾くまで焼く。再び卵黄を塗り、焼いて乾かすを計3回ほど繰り返す。艶が出てきたら、食べやすい大きさに切り、器に盛る。
【夏】のごちそう:冷や汁
●夏の節気
<立夏(りっか)>5/5~20
<小満(しょうまん)>5/21~6/4
<芒種(ぼうしゅ)>6/5~20
<夏至(げし)>6/21~7/6
<小暑(しょうしょ)>7/7~21
<大暑(たいしょ)>7/22~8/6
田植えが始まる「芒種」の頃から高温多湿になり、「小暑」から厳しい暑さが続き「大暑」でピークに。“う”のつくものを食べて疲労回復と無病息災を願う土用の丑の日(7月28日)には、うなぎでスタミナをつけ、きゅうりなど、うり科の野菜で熱を冷まして。
●冷や汁
干物があるのでだしいらず。薬味の香りで清涼感アップ!
<材料>
水…2カップ
みそ…40g
あじの干物(焼いたもの)…小2枚
きゅうり…1本
塩…少量
みょうが…1個
大葉…5枚
いりごま(白)…25g
木綿豆腐…1/2丁
ご飯…茶碗2杯分
<作り方>
【1】ボウルに水を入れ、みそを溶き入れる。
【2】あじの干物はほぐして皮と骨を取り除く。
【3】きゅうりは3mm幅の小口切りにし、塩をまぶして10分おき、しんなりしたら手で揉んで水洗いし、水気を絞る。みょうがは3mm幅の小口切りにし、大葉は手でちぎる。
【4】【1】にいりごまを加え、木綿豆腐を手で崩しながら加える。さらに【2】、【3】を加えて混ぜ合わせ、器に盛る。ご飯にかけながらいただく。
【秋】のごちそう:さばと菊の和風グラタン
●秋の節気
<立秋(立秋)>8/7~22
<処暑(しょしょ)>8/23~9/6
<白露(はくろ)>9/7~22
<秋分(しゅうぶん)>9/23~10/7
<寒露(かんろ)>10/8~22
<霜降(そうこう)>10/23~11/6
暑さが徐々におさまる「処暑」から彼岸となる「秋分」までは残暑が続くが、秋らしくなる「寒露」から霜が降りて肌寒くなる「霜降」まではあっという間。9月9日の重陽の節句は不老長寿を願う行事で、別名“菊の節句”。菊の花びらを浮かべた菊酒、着物や生け花などにも菊を取り入れて。
●さばと菊の和風グラタン
ヘルシーなのにコクがあるれんこんと豆乳のホワイトソース。長寿の菊と見通しのよいれんこん縁起ものでゲン担ぎ。
<材料>
さば缶(水煮)…1缶
黄菊(花)…適量
しめじ…1/2袋
熱湯…3/4カップ
酢…小さじ1
れんこん(すりおろし)…50g
豆乳(無調整)…70~80cc
塩・こしょう…各適量
【A】
薄口しょうゆ…小さじ2
しょうが(みじん切り)…大さじ1
長ねぎ(みじん切り)…大さじ2
<作り方>
【1】しめじは小房に分け、熱湯にサッと通して冷水にとる。
【2】鍋に熱湯と酢、手でむしった菊の花を入れて軽く茹で、冷水にとって水気をよく絞る。
【3】鍋にれんこんを入れて火にかけ、豆乳でのばしながら練る。
【4】【3】に【A】を加え、【2】の菊花を入れてひと練りする。
【5】耐熱皿に【1】、さば缶を缶汁ごと入れ、ラップをかけて電子レンジで1分加熱する。塩、こしょうを振り、【4】をかぶせるようにのせ、オーブントースターで焼き色がつくまで焼く。
【冬】のごちそう:そばがきと根菜のみそ汁
●冬の節気
<立冬(りっとう)>11/7~21
<小雪(しょうせつ)>11/22~12/6
<大雪(たいせつ)>12/7~21
<冬至(とうじ)>12/22~1/4
雪がちらつく「小雪」の頃は急に暖かな陽気になる小春日和の日も。太陽の力が盛り返して日が延び、運気が上昇していくという12月22日の「冬至」。この日は“運盛り”といって大根や南瓜(かぼちゃ)など“ん(=運)”のつく食材を食べ、体を温めるゆず湯に入ろう。
●そばがきと根菜のみそ汁
根菜の旨みを吸ったふわとろのそばがきで体を芯から温めて。小麦粉で作った生地ですいとんにしても◎
<材料>
そば粉…150g
水…2カップ
大根…約3cm
にんじん…約1/4本(30g)
ごぼう…約1/5本(30g)
長ねぎ…1/2本
こんにゃく…80g
みそ…40g
七味唐辛子…適量
【A】
水…1カップ
豆乳(無調整)…1 1/2カップ
しょうゆ…大さじ2
みりん…大さじ1
昆布…10cm角
<作り方>
【1】ボウルにそば粉を入れ、50℃程度に温めた水を少しずつ加えて混ぜ、ダマにならないようにする。鍋にうつし、火にかけたらしゃもじで練り、固まってきたら火から外す。
【2】大根とにんじんは1cm弱幅のいちょう切りにし、固めに下茹でする。ごぼうと長ねぎは1cm弱幅の小口切りに、こんにゃくは1cm弱幅のひと口大に切る。
【3】鍋に【A】と【2】を入れて火にかけ、沸騰したら【1】をスプーンですくって入れる。
【4】具材に火が通ったらみそを溶き入れ、器に盛って七味唐辛子を振る。
教えてくれた人
分とく山 総料理長 野崎洋光さん
日本料理の研鑽を積み、『分とく山』を開店して30年超。家庭向けの和食を書籍等でわかりやすく提案もしている。
和文化研究家 三浦康子さん
テレビ、ラジオなどで現代に活かす和の文化を提案し、著書多数。All About『暮らしの歳時記』ガイドも務める。
撮影/鈴木泰介 イラスト/吉井みい
※女性セブン2021年1月21日号
https://josei7.com/
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