体のこりやIT猫背を改善する方法|ストレッチと風船ふくらまし
日本人の死因の上位にあがる虚血性心不全。その原因は心臓などの細胞に酸素が届かなかったことにある。細胞の酸欠は、ほかにもあらゆる不調や生活習慣病、不定愁訴を引き起こすのだ。
健康で、長生きするために不可欠な呼吸法を教えてくれたのは、ハーバード大学やソルボンヌ大学などで最先端医療に携わるスーパードクター、根来秀行さん。
体のこりや猫背も改善するストレッチを教えてもらいました。
弱った呼吸筋をほぐして動きをよくするストレッチ
【1】椅子に座って背筋を伸ばす。胸の前で手を組み、ゆっくり息を吐きながら組んだ手を前に伸ばしていく。同時に頭を下げ、背中を丸める感じで骨盤を後傾させ3つ数える。このとき、左右の肩甲骨の間が気持ちよく開いていくのを感じよう。
【2】ゆっくり息を吸いながら骨盤を前傾させ、組んだ手を胸の下に引き寄せる。このとき、腰を無理に反らさないよう要注意。左右の肩甲骨が背骨に寄って、胸郭が気持ちよく開くのを感じよう。呼吸に合わせて1と2を交互に5回ずつ繰り返す。
【3】両ひじを曲げて肩の高さまで上げ、指先を左右の肩先にのせる。左右の肩甲骨を寄せるように胸を張り、両ひじで大きく円を描くように回す。腕全体を前から後ろへ5回グルグル回したら、今度は後ろから前へ5回、同様に回す。肩まわりの筋肉がほぐれるため、肩こり解消にも有効だ。
【4】首にある胸鎖乳突筋をほぐす運動。右手を左肩において、脇を締める。右手で鎖骨を押さえながら、頭を後ろに倒す。そのまま首を右にゆっくり傾け、あごを左上に向ける。耳の後ろにある胸鎖乳突筋を伸ばすイメージで。左側も同様に。
首や肩のこりはもちろんIT猫背の改善にも!
しっかり呼吸するには胸郭のスムーズな動きと、呼吸筋と呼ばれる横隔膜や肋間筋をうまく働かせることが重要だ。ところが、悪い姿勢を続けていると呼吸筋がこり固まって胸郭の動きが鈍くなり、通常の呼吸も浅く短くなる。日頃から上のストレッチで呼吸筋をほぐし、胸郭をしっかり開いておくことが大切だ。
また、呼吸筋を鍛えると同時に肩甲骨も動かすと、より胸郭の動きがスムーズになる。このストレッチを続けることで、胸や肩、首まわりの筋肉、さらに、胸鎖乳突筋がほぐれて首や肩のこりはもちろん、IT猫背などの改善にもつながる。
風船をふくらませて息を吐く筋肉を鍛える
風船をふくらませることで、息を吐くために使う横隔膜などを鍛えられる。
やり方は、以下の通り。
【1】椅子に浅く座り、風船を口にくわえる。
【2】頰をふくらませないように口をすぼめ、お腹からゆっくり息を吐きながら空気を風船に送り込む。
【3】息を吐ききったら5秒ほど静止し、鼻から息を吸う。
これを1日1回。うまくできるようになったら回数を増やす。これで小顔やお腹やせ効果も期待できる。
息を吸うときは、肩を上げたり、背中を反らしたりしないこと。風船のふくらみで肺活量を観察しよう。
※ストレッチは、最新刊『病まないための細胞呼吸レッスン』(集英社)より抜粋引用。
教えてくれた人
根来秀行さん/医学博士・総合内科専門医。ハーバード大学医学部客員教授専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、 遺伝子治療、長寿遺伝子、 睡眠医学など多岐にわたる。最新著書は『ハーバード&ソルボンヌ大学Dr.根来の特別授業 病まないための細胞呼吸レッスン』(集英社)。
イラスト/鈴木みゆき
※女性セブン2020年3月12日号
https://josei7.com/
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