手や足裏の痛みを和らげるストレッチと靴選び。腱鞘炎と足底腱膜炎への対処法を医師が解説
手指や足裏の痛みを、つい我慢していませんか? 腱鞘炎や足底腱膜炎は、痛みを抱えたまま使い続けることで症状が長引くことも。大切なのは、患部を休ませながら、状態に合わせたストレッチやケアを取り入れること。今日からできる手指のストレッチや、足裏への負担を減らす靴選びのポイントを紹介する。
教えてくれた人
竹谷内康修さん/整形外科医・竹谷内医院院長、著書に『腰・首・肩のつらい痛みは2分で治る!』(宝島社刊)など
腱鞘炎は放置しない! 痛みを和らげる「指反らし」と「親指曲げ」
手指や手首が痛む「腱鞘炎」は、主にスマホやパソコン、家事、手作業などによる使いすぎが原因で起こる。しかし、「たかが腱鞘炎と甘く見るのは危険です」と注意を促すのは、整形外科医で米国のナショナル健康科学大学を首席で卒業し、『腰・首・肩のつらい痛みは2分で治る!』(宝島社刊)などの著書を持つ竹谷内医院院長の竹谷内康修医師だ。
「放置したり、痛みを我慢したまま手指を酷使し続けていると、ますます炎症が悪化し、ひどい場合は腱が断裂したり、関節が固まって伸びなくなり、動かせなくなってしまうこともあります」
腱や腱鞘に負担が繰り返しかかると、炎症や組織の変性に修復が追いつかず、痛みが慢性化することもあるという。
「年を重ねると腱の柔軟性や組織を修復する力も低下するため、若い頃と同じように手を使い続けていると症状が治まりにくくなります。痛みがある場合は、患部である手や指をなるべく動かさず、安静にすることが基本です。痛みは利き手に出やすいので、なるべく反対側の手を使う、作業を短時間で行なう、休憩をとるなどの工夫をしてください」(竹谷内医師。以下「」内は同じ)
とはいえ、ただ「動かさなければいい」わけではない。関節が衰えてしまう場合もあるため、安静とともに、手指のストレッチを行なうことが重要になるという。
「ストレッチには腱の働きを高めて柔軟性を改善したり、指の付け根の腱鞘を広げて腱の圧迫を取り除く効果があります」
実践したいのが「指反らしストレッチ」。手首を反らし、もう片方の手で痛みの出ている指を10~30秒かけてゆっくりと手の甲側に反らせる。これを20回、朝夕の2セット行なう。
親指が痛む場合は、「親指曲げストレッチ」が効果的だという。
「症状のある親指を、もう片方の指で挟みながら10~30秒ほど曲げます。親指の先端に少し負荷がかかるように力を入れさせるのがコツで、1セット20回を朝夕の2セット行ないましょう。ただし、痛みや症状によって深く曲がらない場合があるので、無理に力を入れて曲げるのは禁物です」
これらのストレッチは、1~2か月は継続することが大切だと竹谷内医師。普段からこまめに実践することを心がけたい。
「指反らしストレッチ」のやり方
手首を反らし、もう片方の手で指をゆっくりと10〜30秒ほどかけて甲側へそらす。
<Point>
20回1セット、1日2セットが目安。
「親指曲げストレッチ」のやり方
親指をもう片方の指で挟みながら意図的に10〜30秒ほど曲げる。
<Point>
20回1セット、1日2セットが目安。
親指の先端に少し負荷のかかる力を入れることがコツ。
柔らかすぎる靴やサンダルは要注意。足底腱膜炎を緩和する「土踏まずのアーチ」
「かかとに痛みが出る」「朝起きた時の一歩目が痛い」など、足の裏の痛みに悩む人も多い。
こうした症状を引き起こすのが「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」だ。
足底腱膜はかかとの骨から足の指の付け根までをつなぐ強力な腱の膜で、足のアーチ構造(土踏まず)を支え、足裏に荷重がかかる際にはクッションの役割も果たしている。
「足底腱膜に小さな傷や炎症が生じることで起こるのが足底腱膜炎です。主な原因は、サイズや形が合わない靴を履くことや、歩行や運動、立ち仕事などで足の裏に負担がかかりすぎること。足底腱膜とその下の筋肉が固まり、うまく滑らなくなっていることも関係します」(竹谷内医師。以下「」内は同じ)
セルフケアの基本は足底腱膜をほぐし、緩めること。
「足裏の前方、足指の付け根、土踏まずの中央、かかとの真下あたりに痛みや張りが出ることが多い。この突っ張っている腱膜を逆向きに伸ばす『アーチを深めるストレッチ』が効果的です。足指を内側に曲げてかかと側に近づけるイメージで、土踏まずのアーチを深くする。1分間ほどかけて、じわーっと押さえるようにするといいでしょう」
足裏をマッサージする『かかと揉みほぐし』も有効だという。かかとから足指の手前まで、足裏の両脇から指を押しこむようにして揉みほぐしていく。30秒ほどかけてゆっくり行なうといい。
足底腱膜炎の予防・改善は正しい靴を選ぶことも重要なポイントになる。
「靴底全体が柔らかい靴では、足をうまく支えることができず痛みが出やすくなる。つま先側の前の部分だけが曲がり、中央部は必要以上に曲がらないのが足にいい靴。かかとがしっかりしていて、適度な硬さとクッション性があるのが理想的です。
インソールも有効ですが、靴自体にある程度の硬さがあることが大前提。柔らかい靴に柔らかいインソールを敷いても意味がありません」
サイズ選択では、長さだけでなく「幅」も大切だという。幅が広すぎると靴の中で足がずれ、歩行時のバランスが悪化してしまうからだ。
「足のトラブルには歩き方や足の指の使い方も関係します。歩く時に足の指をきちんと使えていない人も多いです。かかとから着地し、足指でしっかり蹴って歩くという動きができないと、ベタベタ歩きのような悪い歩き方になりやすい」
夏はついサンダルで外出したくなるが、竹谷内医師は注意を促す。
「かかとが浮いてパタパタ歩きのようになり、足底腱膜炎の痛みが出やすいので避けるべきです」
「アーチを深めるストレッチ」のやり方
手を添えて足指を内側へつま先とかかとを近づけ、アーチを深めるイメージで、じわっと押さえる。
<Point>
1分程度ゆっくり行なう。
「かかと揉みほぐし」のやり方
両手の親指を使って、足底腱膜の下に指を入れるような形で、かかとから指先へ向かって押す。
<Point>
30秒程度ゆっくり行なう。
イラスト/タナカデザイン
※週刊ポスト2026年8月7日号
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