《体力がない人の健康術》精神科医・和田秀樹さんが体調を崩さないために「ショッピングモールでの散歩」をすすめる理由
加齢に伴って体力が減り、昔より体調を崩しやすくなったと悩んでいる人も多いだろう。体調を崩してしまうのには主に3つの原因があると話すのは、『体力がない人の仕事の戦略』(クロスメディア・パブリッシング)を上梓した、心と体のつながりに詳しい精神科医の和田秀樹さん。体調を崩す原因と予防法について詳しく教えてもらった。
教えてくれた人
和田秀樹さん/精神科医
わだ・ひでき。1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。幸齢党党首。著書に『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』(クロスメディア・パブリッシング)、『なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』(同)など。
体調を崩す3つの原因
体調を崩す主な原因は、「疲労やストレスの蓄積による自律神経の乱れ」、「睡眠不足や栄養不足などの生活習慣の乱れ」、「季節の変わり目による体調の変化」の3つが考えられる。体調不良を防ぐためには、この3つの状況を作らない工夫が大切だ。
「ストイックになる必要はありません。ムリや我慢で乗り切るのではなく、自分の好きなモノを食べたり、自分が快適と思える時間を過ごすことが、免疫力を高めて体調を安定させることにつながります」(和田さん・以下同)
疲れが残るまで働かない
体調を崩す原因を取り除くためにはまず、翌日に疲れが残るまで働かないこと。体力に悩む人に多く聞かれるのが、「寝ても疲れが取れない」というもの。しかしこれは、単純に加齢で体力が衰えているというだけではなく、働き過ぎているから疲れが溜まってしまっていると考えるほうが実情に合っていると和田さんは話す。
「ゆっくり寝ても、翌日に疲れが残っているようならば、それは明らかにオーバーワークの証拠と考える必要があります。その日その日で疲れが取れるような働き方をすれば、疲れが蓄積して体調不良を起こす事態を避けられるだけでなく、仕事の効率もアップします」
無駄に人間関係を広げない
周囲の人に助けてもらうことは大切だが、そのために人間関係を広げ過ぎていると、体力がない人にとってむしろ体力の消耗につながるという。頼れる関係性を維持するために、時間やエネルギー、金銭などを使わなければならないことがあるためだ。
「私であれば、最初から大人数を確保するのではなく、困ったら頼れそうな人の情報を集めたり、伝手をたどっておいて、本当に困った時に頭を下げてお願いに行き、実際に助けてもらったら、その後は誠心誠意のおつき合いをして、相手を大事にするように心がけています」
体力がない人の場合は、2~3人程度の頼れる相手を見つけておこう。先のことを心配して、人間関係を広げ過ぎてしまうと、人間関係という悩みに振り回されてしまうため、注意が必要だ。
睡眠時間を気にしない
体調不良を防ぐためには、しっかりと睡眠を取ることが大切だが、睡眠時間を気にしすぎる必要はないと和田さんは話す。睡眠時間は人によって適正値が異なり、10時間を超えるロングスリープが適正な人もいれば、3~4時間程度のショートスリープで十分な人もいるためだ。
適切な睡眠時間は自分の体に聞くのが一番。さまざまな睡眠時間を試してみて、最も調子のよかったものが自分に適した睡眠時間だ。
「1日5時間程度しか睡眠が取れなくても、翌日の日中に眠くならず、調子が悪くなければ、何も心配することはありません。もし眠くなったら、どこかで仮眠を取ればいいのです。仮眠が取れなければ、早めに帰宅して、早い時間に寝てしまうことです」
おいしく食べられる量を食べる
体調を崩さない食事の基本は、無理のない量を食べ、栄養状態が足りている状態を維持することだ。体力のない人の場合は特に、肉類を積極的にとることを意識したい。肉類は動物性たんぱく質の宝庫で、人を活動的にする働きがあり、免疫力の向上や筋力量の維持、メンタルへのポジティブな効果などが期待できる。
また、朝は体や脳のカロリー不足が起こりやすいほか、ダイエットもエネルギー不足の原因となりやすいため、朝食をとることと、ダイエットをしないことも、体力がない人にとっては重要だ。
「体力のないビジネスパーソンにとっては、免疫力を高める工夫を心がけることが大切ですが、免疫力が下がってしまう一番の原因は食生活にあります。日本人は、世界の中でも肥満の少ない国ですから、我慢やムリを重ねてダイエットに励む理由はありません。体調不良を最低限に抑えるためには、無意味なダイエットはしないことが賢明な判断となります」
ショッピングモールの散歩を習慣に
体調不良を防ぐのと同時に、体力をつけることも意識していきたい。しかし、急に運動を始めると、筋肉や関節を痛めてしまい、体調を崩す原因にもなりかねないため、ウォーキングなどの軽い有酸素運動を習慣にするのが有効だ。
なかでも、和田さんがすすめているのが「ショッピングモールの散歩」を習慣にすること。ショッピングモールであれば、冷暖房が完備されており、気温で体力を奪われることがないうえ、ひと休みできるベンチなどもある。
「最近では、ウォーキングコースを設置して、『モール散歩』や『モールウォーキング』を推奨しているショッピングモールも登場しています。近所にショッピングモールがない場合には、車やバス、自転車などを使って遠出をしても、その効果を十分に実感できると思います」
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