倉田真由美さん「野菜高騰の秋」くらたまね~&らいふVol.29
漫画家の倉田真由美さんがお金や暮らしの気になることについて綴る本エッセイ、今回のテーマは「野菜の価格高騰」。あるときスーパーに買い物へ行き、鍋にする野菜を購入しようと、白菜を手に取ってみると――。
執筆・イラスト/倉田真由美さん
漫画家。2児の母。“くらたま”の愛称で多くのメディアでコメンテーターとしても活躍中。一橋大学卒業後『だめんず・うぉ~か~』で脚光を浴び、多くの雑誌やメディアで漫画やエッセイを手がける。夫の叶井俊太郎さん(享年56)の闘病から看取りまでを綴った書籍『夫が「家で死ぬ」と決めた日 すい臓がんで「余命6か月」の夫を自宅で看取るまで』も話題に。
コインランドリーが大盛況?
関東は9月、記録的な雨続きでした。
月初め頃に言われていた「厳しい残暑」とやらはどこへやら、毎日毎日雨。たまに曇り。行きつけの、カフェを併設したコインランドリーがあるのですが、9月はいつ行っても人がいっぱいでした。
晴れ間がないので、乾燥器需要が一気に高まったせいでしょう。深夜0時越えて行った時にも洗濯乾燥機の空き待ちをしている人が複数いて、コインランドリーだけはこの長雨で大層儲かっただろうなと思いました。
困ったのは洗濯だけではありません、野菜が高騰しています。特に葉物野菜。
先日夕飯は鍋にしようとスーパーに行ったら、白菜が4分の1カットで299円!つまり丸々ひと玉だと1200円ほどになります。
白菜ひと玉1200円の世界――。
ちょっと怖気付く価格です。そして春菊は品薄なのか、置いていませんでした。
小松菜も高くほうれん草と同じ299円。レタスはひと玉399円。100円台の葉物野菜はサラダ菜で、199円。でもこれも普段より倍近く高いです。
このスーパーは付近の他のスーパーに比べて、むしろ野菜など生鮮食品の価格はいつも良心的な方です。それでもこれだけ野菜が高いのは、天候のせいなので仕方がありません。
結局その日は春菊なし、野菜は白菜とネギだけの鶏鍋を作りました。1パックが白菜4分の1カットと同じくらいの値段の手羽元を多めにして、肉の嵩を増やしたり。豆腐の価格が上がっていないのも助かりました。
天候不良や時に地震など大きな天災は、急にきます。野菜は買い溜めも効かないので、何かやるとしたら家庭菜園くらいしかありません。
家庭菜園、実はちょっとやってみたいと思ってはいるのです。今回のような長雨でも、プランターであれば雨避け対策も可能ですから。
福岡の実家の庭には…
福岡の実家では、母が庭でいろんな野菜や果物を植えていて、これがとても便利なんです。
「特に何も世話してないけど、紫蘇なんかいつもワサワサ生えとるんよ」
母はそう言って、時折ご近所にもお裾分けしています。雑草のように生えている紫蘇やパセリ、裏庭のジメジメしたところにはセリとクレソン、そして季節が来ると芽吹く茗荷やふきのとう。柿はカラスにお裾分けできるほどなるし、プラムも甘いのが実をつけます。
私が子どもの頃はいちじくやグミ、桃などもありました。大して広くない庭なのに、ぎゅうぎゅうにいろんな植物が植っていて、結構どれも元気なのが不思議です。
私が特に気に入っているのは山椒で、ちょっと庭に出て山椒の葉を取ってきて、パンと叩いて汁物などに入れるとぐっと風味が増すんですよね。近所のスーパーではなかなか手に入らないので、「あの山椒があればなあ」と思うことは度々あります。
現在私が住んでいる家は庭なんてないので、木を植えたりはできませんが、プランターで葉物野菜を作ることはできるはずです。
調べると、同じように考えている人はたくさんいるようで、家庭菜園、プランターでの野菜作りの情報はたくさん出てきます。写真を見ていると「小松菜がすぐに手に入るのはありがたいな」「いや、採れたてのいちご食べたい」など、夢は広がるばかりです。
でもやっぱり、一番育てたいのはトマトです。もぎたての完熟トマトが食べられる状況って、憧れます。
子どもの頃、祖母の家の庭で栽培していたトマトを、その場でもいで食べたことがあります。ぶ厚い果肉、青臭いような鮮烈な風味、スーパーで手に入るトマトとはかなり違っていたような記憶が残っています。
あれを、もう一度食べてみたいな。
長雨による野菜の高騰をきっかけに、家庭菜園を思いついて、昔食べた祖母のトマトのことまで思い出しました。せっかくなので実行したいものです。
