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健康

40代以降に多い「脊椎すべり症」 “天然のコルセット”をつくる「カエルお尻上げ」で骨盤を支える筋肉を強化<理学療法士監修>

 加齢による骨質の低下や椎間板のゆるみなどによって発症する「脊椎すべり症(変性すべり症)」。40才以上の女性に多くみられ、安静にしすぎるとかえって悪化することもあるという。筋肉を鍛えて腰の安定性を高めることが、痛みの改善につながると話すのは、多くの患者を治療してきた理学療法士の松田圭太さん。松田さんが提唱する「MSMメソッド(R)」は、「ゆるめる・鍛える・動かす」を組み合わせ、慢性的な腰痛の改善を目指すものだ。今回は、「脊椎すべり症」の対策に役立つ体操を教えてもらった。

教えてくれた人

松田圭太(まつだ・けいた)さん/理学療法士・整痛院ふっか総院長・慢性疼痛徒手技術「MSM メソッド(R)」創始者。理学療法士として、医療現場に長年携わった経験から、慢性腰痛など“3年以上続く痛み”に特化、運動療法と認知行動療法を組み合わせた“整痛”治療院「整痛院ふっか」(https://fukka.jp/)を開業。

シニア世代に多い「脊椎すべり症(変性すべり症)」

「脊椎すべり症(変性すべり症)」とは腰椎が本来の位置から前後にずれる(すべる)ことで、腰回りを中心にした慢性的な鈍い痛み、足のしびれなどの症状が起こる。

「すべり症は大きく2種類に分かれます。若いアスリートなどに多いのが『分離すべり症』で、脊椎の椎弓という部分の骨折が原因。自覚症状がない場合も多く、特に治療を施さずに自然に寛解するのを待つこともあります。

 40代以降に多いのは『変性すべり症』で、原因は加齢によって椎間板や靱帯が少しゆるんでしまうこと。体を動かす時に骨と骨の間にずれる力が加わることで症状が出ます」(理学療法士・整痛院ふっか総院長の松田圭太さん)

 例えば歩く時には、上半身は前に進もうとする一方、地面に足を着いた衝撃で骨盤(下半身)には後ろに残ろうとする力が働く。こうした「すれ違う力(剪断力/せんだんりょく)」が腰の一点にかかり続けることで、骨が前に押し出されてしまう。これが松田さんの考える変性すべり症の真の要因だ。

運動療法で腰を支える「天然のコルセット」をつくる

 骨がずれているからといって、コルセットなどをつけて安静にしているのは逆効果。動かしていないと痛みが長引くとの報告もあるという。

「加齢によって背骨の周りの組織が弱くなるのは避けられませんが、骨盤を止める筋肉を強化し、上半身と下半身のズレをできる限りなくすことで、痛みは減らせます。筋肉を鍛えて『天然のコルセット』をつくることが治療の基本です」

 運動療法としてはお尻の筋肉を鍛える「カエルお尻上げ」が有効だ。

 足を伸ばした状態で仰向けになり、ひざを曲げて足の裏を合わせ、母指球をつけたまま外に広げる。この状態で「7秒かけてお尻を上げ、7秒で下げる」を3~10回繰り返す。

「お尻を上げる時は肩と骨盤が一直線になるようにするのがポイントです。背骨の奥にある多裂筋とお尻全体を覆う大臀筋を同時に鍛えることができ、“姿勢崩れ”の改善につながります」

 さらに「あし上げ腹筋」「手押しプランク」も腰の筋肉強化に役立つという。

「ただし、変性すべり症に関しては手術をしたほうが改善率は高かったという論文もあります。足に力が入りにくくなった、尿漏れが激しくなった、触っても感覚を感じにくい部位がある、眠れないといった場合は医療機関を受診しましょう」

臀部(でんぶ)の筋肉を鍛える「カエルお尻上げ」

 姿勢を保つ上で欠かせない、腰と股関節を支える。大臀筋(お尻全体を覆う筋肉)と多裂筋(首から腰にかけて背骨に沿う筋肉)を同時に鍛えます。

【1】仰向けで足を伸ばした状態で寝る。ひざを曲げて足の裏を合わせ、両足の母指球をくっつけたまま膝を外に広げる。

<ポイント1>両足の母指球はくっついたまま

<ポイント2>内ももが伸びていれば正しく効いている

【2】その状態でお尻を上げていく(肩と骨盤とひざが一直線)。7秒で上げて、7秒で下げる。これを3~10回程度繰り返す。

<ポイント3>太ももは閉じない

<ポイント4>両足の母指球をぴったりつける

<ポイント5>お尻が硬くなるのを感じたら正しく効いている

腹直筋の下部を効率的に鍛える「あし上げ腹筋」

 日頃使えていない腹直筋の下部を鍛えるのが目的。下部が収縮できると骨盤を後傾に持っていきやすく、反り腰を改善できる。

【1】仰向けで寝て、ひざを曲げる。あごを引き、指を天井に向けて伸ばす。

<ポイント1>肩の力は抜いて、肩をすくめない

【2】ひざを曲げたまま股関節から足を上げていく。股関節が90度になるまで上げる(腰が反らないように)。

<ポイント2>両ひざ・両足はこぶし1個分ずつ空ける

【3】さらにひざを伸ばして天井に足の裏を見せる。股関節から足を上げるイメージで、腰は反らないままを保つ。7秒で上げて、7秒で下げる(【1】の姿勢に戻る)。これを3〜10回程度繰り返す。

「手押しプランク」で腹直筋とともに腹横筋を鍛える

 腹直筋と腹横筋を動かすのが目的。腹横筋はお腹の最も深部にある筋肉で、天然のコルセットとして腰や内臓を支えている。2つの筋肉が正しく動けば、よい姿勢がキープできる。

【1】床を手でしっかりと押しながら手首は肩の真下に、ひざは股関節の真下に置き四つん這いの姿勢になる。手のひらは床を押したまま肘の内側のシワを前方に向ける。肩甲骨はお尻に向かって下げ、お腹は引っ込めてお尻を締める。

<ポイント1>手はパーに肘の内側のシワが前に向く

<ポイント2>頭を下げない、あごが上がらない

<ポイント3>腰は反りすぎない、曲がりすぎない。頭と骨盤が一直線上

【2】【1】の姿勢をキープしたまま。右足と左足を引いてかかと同士をくっつける。内ももを閉じながらひざを伸ばす。これを30秒キープ(できない場合は10秒からでもOK)。息を吐きながら元の体勢に戻る。これを3から10回程度繰り返す。

<ポイント4>お尻が突き出ない

<ポイント5>ひざが曲がらない

<ポイント6>お腹が硬くなるのを感じたら正しく効いている

イラスト/タナカデザイン

※週刊ポスト2026年5月1日号

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