「肩甲骨と腕は一緒に動かせる?」疲れない・痛まない体を作る筋トレ不要の夏バテ解消法
202年の夏は35度を超える猛暑日が多く、全国各地で最高気温を更新した。暑い日が続くと運動不足になりがちで夏バテもしやすくなる。しかし、古武術的な体の使い方を学べば無理な筋トレをせずとも「疲れにくい体」になるという。眠っていた力を引き出す「古武術」の動きを専門家に教えてもらった。
教えてくれた人
岡田慎一郎さん/理学療法士、介護福祉士。武術研究家の甲野善紀氏と出会い、古武術の体の動きを参考にした独自の介護法を編み出す。介護や医療から育児、消防救命など多岐にわたる分野で指導を行う。著書に『図解でわかる! 古武術式疲れない体の使い方』(三笠書房)ほか。
痛みや疲れにサヨナラ「古武術的体の使い方」を学ぼう
疲れにくい・痛くならない体を作るには、体の使い方がポイントになる。
「ポイントは全身の連動性です」と言うのは、古武術の動きを日常動作に取り入れた「体の使い方」を提唱する岡田慎一郎さん。古武術とは日本の伝統武術の総称で、人間が持つ体の働きを有効的に発揮する術を究めたものだ。
「物を取る、荷物を持つ、草むしりをするといった日常動作で、私たちはどうしても腕や肩、腰、ひざなど局所的な部分を中心に動かしてしまう。その結果、負担が集中する部位が疲れたり、痛んでしまいます。
その一方、古武術の動きは筋力に頼らず全身を連動させるので、年を重ねてもパワーやスピードが衰えにくい。たとえば、重い荷物を持つとき、腕だけでなく肩甲骨(背中)を一緒に動かせば、より大きな力が出せるので、腕の筋肉だけに頼らなくても荷物を持ち上げることができます。このような合理的な体の使い方を身につければ、非力な人でも本来の力を引き出せるのです」(岡田さん・以下同)
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力=筋力というわけではないようだ。
「そうですね。たとえば筋トレは、一定の部分に負荷をかけて鍛えるもの。それに対して古武術は全身をつなげて動くもの。アスリートは別として、疲れない日常動作を目指すなら、無理に行う必要はないかと思います」
ではどうすればいいのか?古武術的な体の使い方の入門編を教えてもらった。
「いきなり全身を連動させるのは難しいので、上半身、下半身、そして両方の動きをつなぐ体幹部の3つに分け、『痛まない、疲れない』動かし方を紹介していきます」
<古武術的体の使い方1>上半身を連動させる
背中(肩甲骨)と腕とが一緒に動く感覚を身につけましょう。
<チェック1>両手を組んで前方に伸ばし、その状態でひじを下に向けられますか?
【1】手を組んだ状態からひじだけを下に向けようとすると、両肩が上がる。
【2】組んだ手の指側が下がってしまう。
<岡田さんのお手本>
【A】肩甲骨を広げると、自然と両ひじは横を向く。
【B】【A】から【B】のように肩甲骨を寄せると、ひじは下がる。
<チェック2>両手を離して拳を作り、拳を動かさずにひじだけを下に動かせますか?
次は上級編。腕を平行にまっすぐ前に出して拳を作る。拳を動かさず、向きも変えずに、ひじだけを下に向ける。
<岡田さんのお手本>
【C】これは至難の業だが、お手本【C】のように、まず肩甲骨を広げる。
【D】肩甲骨を寄せると、ひじが少し下を向く。
<トレーニング>上半身の動きをよくする腕の曲げ伸ばし
上半身を連動させる<チェック1><チェック2>が難しかった人は、下記のトレーニングに挑戦してほしい。
<岡田さんのお手本>
【1】胸の前で両手を組み、胸をくぼませ、肩甲骨を広げながら組んだ両手首を返す。