悪口や噂話は“確かに→しかし”構文で上手くかわそう!シニア世代の孤独感を減らすコミュニケーション術5選
相手のためを思って言ったことが、相手を傷つけたり、嫌悪感を与えてしまうことも。年を重ねると気づかぬうちに自分の考えを押し付けたり、聞いてもいないのにアドバイスしたりしがち……。周囲に敬遠されず、会話が弾むコミュニケーション術を専門家に聞いた。
教えてくれた人
大野萌子さん/日本メンタルアップ支援機構代表理事
公認心理師・メンタルアップマネージャ。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)ほか多数。
芝山大補さん/ネタ作家
芸人300組以上のネタ制作に携わるほか、お笑いの技術を言語化して伝える「笑わせ学」にも取り組む。著書に『おもろい話し方ーー芸人だけが知っているウケる会話の法則』(ダイヤモンド社)ほか多数。
樋口裕一さん/多摩大学名誉教授
好かれるシニアは話し方が9割
年齢を重ねるほど、“人生の先輩だからよいアドバイスをしよう”と意気込み、独りよがりの話し方をする人が多いという。しかし、会話で大切なのは、相手の反応を見ながら話すことだ。
「人は自分の話を聞いてほしいもの。相談事だとしてもアドバイスは求めていません。話すことで考えを整理したり、自分の意思を確かめたりしたいだけなので、モヤモヤを吐き出させてあげるのがおすすめです」(日本メンタルアップ支援機構代表理事の大野萌子さん)
コミュニケーションで大切なのは、相手の話に耳を傾けることと自分の考えを伝えることのバランスだ。お互いの状況や気持ちを尊重し、ストレスを溜めない会話の極意をお伝えする。
こんなとき、あなたならどう答える?老後ぼっちを防ぐ話し方を解説!
「最近の若い者は……」が口癖、話を横取り、聞いてもいないのにアドバイスしていませんか?嫌われる&好かれるシニアの話し方をシチュエーション別に見てみよう!
【CASE1】同じ話を何度も聞かされたとき
<NGな話し方>
「それ、この前も聞いた」
<OKな話し方>
「この前言っていた〇〇の話ですね」
<話し方のポイント>「覚えているよ」とアピール
「『この前も聞いた』と話の腰を折ってしまっては、相手を不愉快な気持ちにさせます。だからといって何も言わずに黙って聞く必要もありません。『それって〇〇の話ですね』と振ると、相手も話を短くまとめて話してくれます。自分が話したことを覚えていてくれたのだと好評価にもつながります」(ネタ作家・芝山さん)
【CASE2】療養中の知人に会って一言!
<NGな話し方>
「あら、ずいぶんやせたわね」
<OKな話し方>
「最近、調子はどう?」
<話し方のポイント>相手が回答を選べる聞き方を
心配しての声がけだとしても、療養中の人に「やせた」「顔色がよくない」などのネガティブワードは厳禁。逆に「元気そうね」は嫌みにとられることも。「『はい』『いいえ』に縛られず、自由に答えられる聞き方を。回答の選択肢が多いと相手も話しやすくなります」(大野さん)。
【CASE3】久しぶりに会った人の名前が出てこない
<NGな話し方>
なんとなくでごまかす(うそをつく)
<OKな話し方>
「お名前が出てこなくて‥‥」
<話し方のポイント>正直に思い出せないことを伝える
「うそをつくと後々問題になるので、『顔は覚えているのですが』と正直に伝えて問題ありません。そもそも久しぶりに会った人に名乗りもせずに話しかけるのは失礼にあたります。『覚えていますか?』ではなく『〇〇でご一緒した◆◆です』と自分から名乗りましょう」(大野さん)
【CASE4】居ない人の悪口が始まり気まずい
<NGな話し方>
「わかる、わかる」
<OKな話し方>
「あなたはそう思うのね」
<話し方のポイント>空気に流されて便乗してはダメ!
「悪口や噂話には便乗しないことが大切です。同意すると同じ穴のむじなになってしまいます。『あなたはそう思うのね』『そうなんだ』『気づかなかった』など、自分は違うというスタンスをきっちり示しましょう。悪口が始まったら、『そういえば〇〇の件って』など、相手の好きな話を振るのも手です」(芝山さん)
【CASE5】相手と感性が真逆。感想を聞かれ……
<NGな話し方>
「私はおもしろくなかった」
<OKな話し方>
「私には合わなかったけど、一緒に見られて楽しかった」
<話し方のポイント>正直に伝えつつ言い方に一工夫
「好みが分かれるのは自然なこと。悪いことではありません。うそをつくと会話がきつくなるので正直に答えましょう。ただし、感情はオブラートに包んで。『私には合わない』と正直に言いつつも『〇〇さんと一緒に見られて楽しかった』など、ポジティブな言葉で終わらせると◎」(芝山さん)
「話し方のプロ」が教える“老害”にならないコツとは?
2005年の年間ベストセラー『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP新書)で「賢い話し方ブーム」を巻き起こした多摩大学名誉教授の樋口裕一さんは、新著『70すぎたら「サメテガル」』(小学館新書)で、シニアの話し方をこうアドバイスする。
「サメテガルとはフランスの日常会話でよく使われ、日本語では“どっちでもいい”というニュアンスです。白黒つけず、自分の正義感を押し付けない。働いていたり、子育てをしたりする時期はそれなりに自己主張が必要かもしれませんが、60才、70才を過ぎたらこの感覚が多くなるはずです。
サメテガルな会話のポイントは、“確かに→しかし”という構文。相手の話を受け止めたうえで、自分の考えを述べ、でも、全体としては“どちらの考えもいい”という雰囲気を出すといいでしょう。女性は総じてサメテガルな会話が上手だと思いますが、この構文を意識すると、より穏やかで大らかな印象を与えられます」
イラスト/サヲリブラウン 写真/ゲッティイメージズ
※女性セブン2025年4月17日号
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