塩分を多く摂る人ほどがんや高血圧リスクが 50才を過ぎたら血圧測定を日課に【医師監修】
日本人の塩分摂取量の目標値(20才以上)は男性が7.5g未満、女性が6.5g未満、がんケアを意識した世界基準では5g未満だ。ところが、実際の摂取量の平均値は男性が11g、女性が9.3gだ。塩は生きる上で不可欠だが、摂りすぎればさまざまな病気を招くことになる。対処法を専門家に伺った。
50代女性の約40%が塩分が原因の病に
塩分の摂りすぎによる疾患で、特に気をつけたいのが、がんと高血圧だと東京女子医科大学高血圧・内分泌内科の市原淳弘さんは言う。
「WHOが掲げる1日の塩分摂取量5g未満は、日本よりさらに厳しい目標ですが、それは“塩分を多く摂る人ほどがんになりやすい”という統計が明確に出ているからです。なかでも、日本人に多いのは胃がん。次いで高血圧です。高血圧とは全身の血管に常に圧力がかかった状態で、これが続けば血管の内壁がダメージを受け、血管が硬くなる。すると、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの循環器疾患や腎臓疾患を引き起こしやすくなります。特に、女性の有病率は、50代で約40%、60代で約60%、70代で約75%と増えていきます」(市原さん・以下同)
50才を過ぎたら血圧測定を日課に
では、1日の適正塩分量はどれくらいなのか?
「前述の通り、女性は6.5g未満、男性は7.5g未満ですが、塩分を排出する機能がある腎臓が衰えている人は、規定量未満でも過剰摂取に。減塩生活を3か月続けても効果が出ない場合は、腎機能を医師に診てもらいましょう」
また、家庭での血圧測定も、減塩生活では重要になる。
「塩分を過剰摂取すると高血圧になります。早期発見であれば、減塩や運動などで改善できるので、血圧測定は習慣化しましょう。1週間のうちに4日以上高血圧の数値が出るなら、専門医に相談を」
多くの食品や外食のメニューには塩分量が明記されている。減塩を選んで食べる積み重ねが健康につながるという。
「塩分の排出を促すには、血液を巡らせて血管に刺激を与えることも大切。ウオーキングなどの有酸素運動や入浴の習慣もつけましょう」
塩分の多い食事のときは、排出を促す効果のあるミネラル分(カリウム、カルシウム、マグネシウム)が含まれる野菜や果物を一緒に食べるのもおすすめ。
病院と自宅で測るのでは、血圧は違います!!
正しい測り方は、朝起きてトイレを済ませた後、同じ時間に測ること。
「最近は、緊張した状態で測る病院での数値より、家庭で測った数値が重視されています」。
下記を参考に、自分の血圧が正常か確認しよう。
教えてくれた人
市原淳弘さん/東京女子医科大学高血圧・内分泌内科
取材・文/佐々木めぐみ
※女性セブン2022年5月5日号
https://josei7.com/
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