1日の疲れをツボ押しでじわっと解消 顔・頭のツボと正しい押し方を鍼灸師が解説
ツボを押すだけで痛みがスッとやわらぎ、体が軽くなるのはなぜ? その質問に答えてくれたのは、鍼灸師である森田真理さん。「ツボを押した刺激で、モルヒネの数倍の鎮静効果があるとされる神経伝達物質が分泌されます。自律神経などが整い、不調をケアできます」。全身にあるツボの中でも自分で押しやすい顔・頭のツボで、不調を一掃!
ツボは内臓につながっている
「人の体には“経絡”(けいらく)という神経の通り道があり、それぞれが内臓につながっています。ツボはこの経絡上にあることが多く、ツボを押して痛みを感じるなら、その先にある内臓の不調が考えられます。東洋医学の考え方では、ツボは神経の交差点なんです」(鍼灸師 森田真理さん・以下(森))。
「WHO(世界保健機関)が認定しているツボは経絡上にある361か所。ほかに新たに発見されたものなど、全身には400ほどのツボがあります」(鍼灸師 若林理砂さん・以下(若))。
頭と顔の主なツボ10選と効果
頭痛や肩こり疲れ目など、疲れがたまりやすいときに覚えておきたいツボを紹介。風邪のひき始めに効くツボもあるので、これからの季節役立ちそう。
★上星(じょうせい)…鼻の通りをよくする
★魚腰(ぎょふう)…疲れ目に効く
★率谷(そっこく)…ズキズキする頭痛を解消
★太陽(たいよう)…疲れ目をスッキリさせる
★肩井(けんせい)…肩こりをやわらげる
★攅竹(さんちく)…眼精疲労など目のこりを解消
★百会(ひゃくえ)…万能のツボのひとつ
★風池(ふうち)…風邪や首・肩こりを解消
★大椎(だいつい)…風邪のひき始めに効く
★身柱(しんちゅう)…自律神経を整える
ツボに関するHOW TO
鍼灸師である森田さん、若林さんにツボ押しをより効果的にするためのやり方を教えてもった。
ツボの位置は毎日変わる
「ツボの位置は“生え際から指1本上”などと表現されますが、体調によって微妙に動くんです。また、その人特有のツボもあります。目安となる場所を指でそっとなぞり、凹みを感じるところがツボです」(若)。
ツボはまっすぐに押す
「ツボは指先などで垂直に押すのがポイント。グリグリと押し回すのは皮膚の奥にあるツボまで刺激が届きにくいうえ、周りの筋肉を痛める可能性もあるのでNG」(若)
ツボ押しは痛いほど効くは間違い
「イタ気持ちいいくらいの強さがベスト。痛いくらい強く押さなくても、ツボに刺激は届いています。特に顔など皮膚が薄い場所は、刺激で筋繊維が傷つき、しわの元になるので力の加減を」(若)
のぼせる人は足のマッサージの後にツボ押しを
「特に更年期の人は、顔や頭のツボを押すと血流が頭に集中し、のぼせを感じることが。事前に足裏マッサージやウオーキングをしておくと、下半身にも血流が分散され、のぼせるのを防げます」(若)
ツボは1か所だけより複数押すのが効果的
「ツボは経絡に沿って全身にあるので、複数押すことでより効果を感じられます。鍼灸師はその人に合わせて独自に組み合わせますが、一般の人には難しい。肩こりなど、同じ症状に対するツボを複数押すだけでも効果が増しますよ」(若)
食後30分はツボ押ししない
「ツボを刺激することで、その部分の血流などがよくなります。食後は血流を分散させず、消化器官に集中させた方がよいので、ツボ押しは食後30分以上経ってから」(森)
教えてくれた人
森田真理さん/鍼灸師
『Mari鍼灸Salon』院長。深層筋をほぐす鍼で、体や精神的な不調を緩和する。著書に『頭から体を癒す』(ブルーロータスパブリッシング)など。
若林理砂さん/鍼灸師
『アシル治療室』院長。食なども取り入れた養生法を提案。著書に『東洋医学式 女性のカラダとココロの「不調」を治す50の養生訓』(原書房)など。
イラスト/リバー・リー(Softdesign LLP)、取材・文/西谷友里加
※女性セブン2021年11月25日号
https://josei7.com/
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