口臭の原因は舌かも!?正しいお手入れ&体調管理法を徹底解説
現代人の口腔ケアといえば、歯みがきが一般的。では、“べろ(舌)”って、どうしていますか? 舌にこびりついた汚れ“舌苔”は、歯周病の原因となる歯垢(プラーク)と同じ細菌の塊。
口臭の原因となる、硫黄化合物をも作り出しているんだそう。臭~い口は、実は汚れた舌のせいかも? 正しいお手入れ方法を学んで、息が通う人生を!
口臭予防には歯より舌みがきを
江戸時代には一般的だった舌みがき。しかし現代日本では、歯みがきに比べてあまり浸透していない。それは、一体なぜなのか。
舌をみがくと、舌についた汚れ“舌苔”が取れる。これにより、口臭を予防できるのだが、これが、意外と知られていないからのようだ。
「口臭の原因は主に2つあり、1つは歯の表面についている歯垢(プラーク)で、もう1つが舌苔です。歯と歯の間につく歯垢に比べて、舌全体につく舌苔の方が汚れの範囲が広いので、舌苔を取った方が、歯垢を取り除くより、口臭予防には効果的なんです」
そう教えてくれたのは、鶴見大学歯学部附属病院の中川洋一さんだ(「」内、以下同)。
舌苔は、食べかすや細胞の死骸に細菌が繁殖して固まったもの。におうのは、細菌が食べかすなどの中にあるアミノ酸を分解する時、ガスを発生させるからだという。特に、硫黄のようなにおいがする場合は、舌苔が原因といえる。
舌みがきは夕食後より朝食後に。1日1回でOK
そんな舌苔を取るには、朝食後の舌みがきがおすすめだと言う。朝に1回取っておけば、夜までキレイが維持できるからだ。逆に夕食後に取っても、就寝中に細菌が増えるので、朝にまとめて取った方が効率がいい。
舌をみがくことには、口臭予防以外のメリットもある。口の中の菌を減らせれば、誤嚥性肺炎などの予防にも一役買えるのだ。
「誤嚥性肺炎とは、唾液や食べ物と一緒に、口腔内の常在菌・嫌気性菌などを吸引することにより発症します。そのため、口腔内を清潔にしておくことが重要になります」
では、どのようにみがいたらいいのか。歯ブラシで舌をみがく人も多いようだが、これは舌を傷つけるのでNGだと言う。2つの方法がある。
舌ブラシを使う場合
舌ブラシを使う場合はこうしよう。
【1】鏡を見ながら舌をべぇっと出す。指でつまんで引っ張るとやりやすい。
【2】舌の奥の分界溝まで専用の舌ブラシを入れ、奥から手前に汚れをかき出す。ブラシを往復させるのは厳禁。軽くなでるようにみがくのがポイント。
【3】舌の左右をみがく。この時、舌の脇から斜め前に向かってみがくとよい。
【4】最後にうがいをして、汚れを洗い流す。
ガーゼを使う場合
また、ブラシよりやさしく拭き取れるガーゼを使うのも有効だ。
【1】ガーゼを約15cm四方に切り、水で濡らして軽くしぼったら、細長くなるように折って人さし指に巻く。
【2】舌を出し、ガーゼを巻いた指で、舌の奥の分界溝から手前に向けてやさしく拭く。
【3】ガーゼの汚れを確認し、黄色い汚れがついていたら、きれいな面でもう一度拭く。これを繰り返して、汚れがつかなくなったら終わり。奥から手前だけでなく、両脇も同様に拭き取る。
【4】最後にうがいをして、汚れを洗い流す。
「舌は内臓の状態を映す鏡なんです」と教えてくれたのは中医師の幸井俊高さん。舌の色や厚み、形、舌苔の状態などを見れば、誰でも簡単に、体の悲鳴を聞き取れると言う。1日1回、べぇっと舌を出して見る習慣をつければ、体調管理がもっとしやすくなるかも!
舌を見ればわかる”今”の体調
「中国医学では古来、体の状態を知るには、顔色や爪、舌などを見て判断していました。特に舌は、体の正確な情報を映し出す鏡とされ“舌診”という診断法が発達しました」と話すのは中医師の幸井俊高さんだ(「」内以下同)。
ではなぜ、中国医学では舌が注目されたのだろうか。
「舌の表面が薄い粘膜で覆われているからです。人の体の中でも粘膜の部分は、新陳代謝が活発で、約3日で新しい細胞と入れ替わります。ですから、“今”の体調を反映しやすいんです」
確かに、粘膜部分がむき出しているのは、舌くらい。では、具体的にどうチェックしたらいいのだろうか。