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健康

今のんでいる薬を減らす方法|”減薬”がうまくいく7つのルール

 病気を治し、健康を守るための薬が、のめばのむほど体の不調を引き起こす負のスパイラルに陥ることも――。厚生労働省の調査によると75才以上の4人に1人が7種類以上もの薬を飲んでいるという現状に、専門医は警鐘を鳴らす。薬を減らす”減薬”をするための方法をリサーチした。

減薬しやすい薬は何か?

 高齢になると身体の機能が変化し、薬の有害事象の影響を受けやすくなることに加えて多剤併用によって薬同士が影響し合って効き方が変化したり、副作用が生じることがある。厚労省もこの事実を問題視し、2018年5月に『高齢者の医薬品適正使用の指針』(※)というガイドラインを作成して国をあげて不要な薬を減らす取り組みを推し進めている。

※https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000568037.pdf

 減薬するといっても、どのように薬を減らせばいいのだろうか。松田医院和漢堂院長の松田史彦さんは、いまのんでいる薬の中で減薬しやすいものはどれなのかを考えることが重要だと語る。

「例えば抗コレステロール薬や骨粗しょう症の薬はやめることによるリスクが少ないので、積極的に減薬に取り組むべきもの。また、胃薬も複数出ている場合は1つに絞っていいでしょう」(松田さん)

 ただし急に薬をやめると思わぬ症状が出ることがある。自己判断だけではなく、医師に相談するのが不可欠だ。

 たかせクリニック院長の高瀬義昌さん(高ははしごだか)も声をそろえる。

「漫然と処方されていることが多いのは抗コレステロールや痛風の薬などです。生活習慣の改善など薬以外の治療の方法も実践しつつ、血液検査などで状態を見ながら調整する必要があります。かかりつけ医に相談してみてください」

→閉経後に上がるコレステロール値!薬はのむ?のまなくていい?

減薬を慎重にした方がいい薬とは?

 一方でむやみに減らすと逆効果になる薬もある。

睡眠薬や抗不安剤など精神科分野の薬は急に服用をやめると禁断症状が出てしまい、かえって服用量が増えるケースが多い。こういった薬を常用しているなら、減らすのは慎重にした方がいいでしょう」(松田さん)

 専門医が診療する病気の場合も、慎重さが必要だ。

「心臓など循環器系の薬は調整が難しい。専門医が患者の病状に合うものを選んで処方しているからです。

 リウマチなど自己免疫疾患の薬も専門医と相談しながら慎重に行う必要があります。リウマチはいい新薬がどんどん出ており、以前より症状を抑えることが可能となっています。安易に減らすとせっかく快方に向かっていた症状が悪化してしまうケースもあるのです」(高瀬さん)

これを守ればうまくいく!減薬7箇条

これを守ればうまくいく! 減薬7箇条

□のんでいる薬を見直し、“被り”がないか確認する
□抗コレステロール薬など減らしやすいものから行う
□種類だけでなく用量にも注目する
□ホームページに“減薬”を掲げる医師を探す
□整体や鍼などの“代替案”で医師を見極める
□減薬の意思とともに体の不調も具体的に伝える
□在宅・リモート診療を活用する

→なぜ薬には副作用があるのか。知らないと怖い薬の知識

減薬の相談はオンライン診療や在宅医療の活用も

 当然ながら主治医に相談することから始めるのがいいようだ。とはいえ、感染リスクを考えると病院に足を運ぶのははばかられるという向きもあるだろう。銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘さんが語る。

「コロナ禍における特例措置でオンライン診療が認められていますから、ぜひ活用してほしい。触診はできませんが、血圧や血糖値など家庭でも測定できる機器が登場している生活習慣病関連の薬であれば、その測定値をもとに減らせることもあります」(長澤さん)

 薬の種類だけでなく、1錠あたりの用量を減らしてもらう方法もある。

「例えば、血圧を下げる薬が1錠5mgで出されているとしたら、それを2.5mgの錠剤にして倍の錠数を出してもらうのです。家庭で血圧を測定してコントロールできていれば半分だけで服用が済むよう調節もできる。小用量にすることを相談してみるのも手です」(長澤さん)

 高血圧のような生活習慣病なら、減塩や運動といった普段の心がけ次第で病状を改善に導くこともできる。薬に頼るだけが治療ではないのだ。

 高瀬さんは在宅医療の活用も推奨する。

「外来通院が困難な人は、在宅医療も視野に入れてほしい。医師としては、やはり対面で顔を見て初めてわかる情報も少なくありません。本人が受診せず、家族が薬をもらいに行くケースが増えているようです。在宅医療を選択して、しっかり診療を受けながらケアと薬の最適化につなげていくのも方法の1つです」

減薬を医師に伝える方法は?

 とはいえ、医師を目の前にして「薬を減らしたい」と告げるのはなかなかハードルが高い。医師に受け入れてもらいやすいのはどんな伝え方か、松田さんが言う。

「医師には『適切な薬剤を処方している』というプライドがある。度量の狭い医師なら『素人が文句を言うな』と不機嫌になることもあるので、告げる前に主治医の人柄を考えた方がいいでしょう。主治医と折り合いがつかない場合は、ホームページで“薬を減らす”と謳っていたり“薬のリスク”について考えを綴っている病院を探し、切り替えることをおすすめします。その場合、薬を減らした後の代替案として、アロマテラピーや整体、鍼など、その病院の直接の収入にならないこともアドバイスしてくれる医師などは信用できます」

 長澤さんは「言い回しひとつでスムーズなコミュニケーションができる」とアドバイスする。

「服用後のちょっとした体の不調も『めまいがあるので薬を減らしたい』などしっかり報告することが重要です。副作用の訴えがあれば速やかに、また医師も納得して対策してもらえることが多い」

 自分の体を守れるのは自分だけ。勇気と知識を持って行動したい。

教えてくれた人

銀座薬局代表・薬剤師/長澤育弘さん、松田医院和漢堂院長/松田史彦さん、たかせクリニック院長/高瀬義昌さん

※女性セブン2021年1月28日号
https://josei7.com/

●長生きのためにやっても意味ないこと5つ|習慣で飲んでいる薬、無理な減塩…

●市販薬に頼らず、すぐに病院へ行くべきケース|食欲不振が長引く、熱を伴う腹痛…

●今常備するべき市販薬リスト|医師も使用する常備薬!自宅でなんとかしたい人必見!

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