健康

今常備するべき市販薬リスト|医師も使用する常備薬!自宅でなんとかしたい人必見!

 医療崩壊―一時はそんな言葉がささやかれたものの、なんとか持ちこたえ、少しずつ自粛も解除されつつあるいまこそ、第2波にそなえるとき。コロナ禍の中でも毎日奮闘する医師たちが実際に使っている市販薬を実名調査した。

 * * *

外出を最小限にする中、行きづらいのは病院

 レストランや学校、図書館――新型コロナウイルス(以下コロナ)の感染者数が減ったことにより、休業要請は少しずつ解除され、それに伴い街にも人の姿が少しずつ増えてきた。しかしワクチンや特効薬が開発されていない状況の中、外出を最小限に留めようとする人は多い。東京都在住の主婦・山下優子さん(仮名・51才)がため息をつく。

「特にいま、行きづらいのは病院です。院内感染の話もしばしば耳にしますし、たとえコロナにかからなくてもほかの病気をもらってしまえば免疫力が落ちること必至でしょう。だからいまは、少し体調が悪いくらいなら家にある薬をのんで治しています。だけど、その薬をのんで正解だったかどうかイマイチわからず不安です」

 いま、同様の悩みを抱える人は全国にいる。では、どうやって市販薬を選べば安心して自宅療養ができるのだろうか。専門家への取材をもとに、コロナに負けない“薬箱”の作り方を徹底解説する。

とりあえずは基本の置き薬をセットする

 これまで、あまり家に市販薬を置く習慣がなかった人も、今後はひと通り揃えておきたいもの。まずは、ミドリ調剤薬局や富士薬品などの置き薬セットを置くのがおすすめと話すのは、薬剤師で銀座薬局代表の長澤育弘さんだ。

「薬をいろいろ買い揃えるのは大変ですし、いまの時期はドラッグストアに出かけることも感染リスクを上げかねない。置き薬セットならあらかじめバランスよく薬が網羅されているし、使った分だけ後から精算する料金システムのため、金銭的にも無駄になりにくい。さらにそこに症状別で自分に合った薬を買い足していけばいいでしょう」

 では、具体的に「自分に合った薬」はどう選ぶべきか。ここからは症状別に各分野の名医が推奨する市販薬とその理由を解説していく。

名医が推奨する常備したい市販薬

●解熱鎮痛薬

 多くの医師たちが名前を挙げたのは『タイレノールA』。ちくさ病院の内科医・近藤千種さんが言う。

「解熱鎮痛の市販薬なら、アセトアミノフェンが主成分の『タイレノールA』がおすすめです。赤ちゃんの坐薬にも使えるほど安全性が高く、子供からお年寄りまで家族で使うことができます」

 ただし、一部で「タイレノールAがコロナに効く」という誤った情報が拡散したことがあり、品薄になっている可能性がある。

「もし手に入りづらければ、同じ成分配合の処方薬『カロナール』を買うという方法もあります。この『カロナール』は、一部の個人経営の薬局などで処方箋なしで購入することができる薬です」(長澤さん)

 解熱鎮痛薬はほかにもさまざまな成分のものが販売されているが、体への負担の少なさや炎症と同時に免疫力を下げるリスクがないことから多くの医師が『タイレノールA』を挙げた。なお、一時フランスの厚生大臣がコロナの感染者によるイブプロフェンの服用を注意喚起したことがあったが、その後、海外の各機関の見解が二転三転している。まだ不明な点が多く、服用前に医師に相談した方がよさそうだ。

●漢方薬

 病気を未然に防ぐため、医師は漢方薬も上手に取り入れている。

「『葛根湯』と『麻黄湯』を常備しています。風邪のひき始めで、発熱してゾクゾクする、というときは『葛根湯』。寒気とともに節々の痛みがあり、インフルエンザを疑うなら『麻黄湯』をのむ。初期にのむことで悪化を防ぎます。一方で総合感冒薬にはあらゆる症状を抑えるよう、さまざまな成分が混合しています。つまり、そのときの自分の症状には不要な成分も配合されているため、使わないようにしています」(近藤さん)

 しらはた胃腸肛門クリニック横浜院長の白畑敦さんは疲れたときに『補中益気湯(ほちゆうえつきとう)』をよくのむという。

「免疫力が上がる漢方で、インフルエンザの時期になると『補中益気湯』をのんでいる医療関係者は多い。今回のコロナも防ぐことができる可能性は高いため、当院ではスタッフ全員がこの薬をのむようにしています」(白畑さん)

●胃腸薬

 コロナで外出を控え、家に閉じこもる生活をしていると、どうしても便秘になりやすい。だが「便秘薬ならなんでもかまわないだろう」と考えるのは早計だ。白畑さんは胃腸の専門医の立場からこう話す。

「市販の便秘薬の多くは腸を刺激してぜん動運動をうながす作用があるため、体に負担がかかりやすいうえ、中毒性もあります。最初は酸化マグネシウムを主成分とする『マグミット』がおすすめです。便を軟らかくするもので、体に負担をかけにくい。ただし、普段から便秘体質の人は、『マグミット』ではなかなか改善しづらいこともあるため、どうしても排便できないピンチのときは、刺激系の『タケダ漢方便秘薬』『コーラック』を使うといい。“それでもだめなら坐薬”というように、症状に合わせて使い分けてください」

 便秘予防には普段から腸内環境を整えておくことも大切だ。そこで白畑さんは、サプリメント代わりに毎日『新ビオフェルミンS』をのんでいるという。

「ただし、整腸剤は人によって合う合わないがあります。『新ビオフェルミンS』のほか整腸剤には『ミヤリサン錠』などがある。自分の腸内環境に合うものを探してほしい」(白畑さん・以下同)

 便秘に加え、慣れない巣ごもり生活でストレスによって胃を荒らす人も多い。

「ストレス系の胃炎なら漢方系、胃炎や胃潰瘍で胃が荒れているなら『ガスター10』が向いている。ただし副作用が少なくないため、購入時には薬剤師に相談することをおすすめします」

 座りっぱなしの生活では痔になるリスクも高まるが、その場合、『ボラギノール』などの注入軟膏なら、痛み、腫れ、出血のどれにも効果を発揮するという。

「処方薬と同じ成分でできているため、しばらく使ってみて、それでも改善されなければ病院へ行ってください」

医師がすすめる、いま買っておきたい市販薬(解熱剤・漢方薬・胃腸薬)リスト

関連キーワード
ニックネーム可
入力されたメールアドレスは公開されません
編集部で不適切と判断されたコメントは削除いたします。
寄せられたコメントは、当サイト内の記事中で掲載する可能性がございます。予めご了承ください。

最近のコメント

シリーズ

介護付有料老人ホーム「ウイーザス九段」のすべて
介護付有料老人ホーム「ウイーザス九段」のすべて
神田神保町に誕生した話題の介護付有料老人ホームをレポート!24時間看護、安心の防災設備、熟練の料理長による絶品料理ほか満載の魅力をお伝えします。
「老人ホーム・介護施設」の基本と選び方
「老人ホーム・介護施設」の基本と選び方
老人ホーム(高齢者施設)の種類や特徴、それぞれの施設の違いや選び方を解説。親や家族、自分にぴったりな施設探しをするヒント集。
「老人ホーム・介護施設」ウォッチング
「老人ホーム・介護施設」ウォッチング
話題の高齢者施設や評判の高い老人ホームなど、高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップ。実際に訪問して詳細にレポートします。
「介護食」の最新情報、市販の介護食や手作りレシピ、わかりやすい動画も
「介護食」の最新情報、市販の介護食や手作りレシピ、わかりやすい動画も
介護食の基本や見た目も味もおいしいレシピ、市販の介護食を食べ比べ、味や見た目を紹介。新商品や便利グッズ情報、介護食の作り方を解説する動画も。
介護の悩み ニオイについて 対処法・解決法
介護の悩み ニオイについて 対処法・解決法
介護の困りごとの一つに“ニオイ”があります。デリケートなことだからこそ、ちゃんと向き合い、軽減したいものです。ニオイに関するアンケート調査や、専門家による解決法、対処法をご紹介します。
「芸能人・著名人」にまつわる介護の話
「芸能人・著名人」にまつわる介護の話
話題のタレントなどの芸能人や著名人にまつわる介護や親の看取りなどの話題。介護の仕事をするタレントインタビューなど、旬の話題をピックアップ。
介護の「困った」を解決!介護の基本情報
介護の「困った」を解決!介護の基本情報
介護保険制度の基本からサービスの利用方法を詳細解説。介護が始まったとき、知っておきたい基本的な情報をお届けします。
切実な悩み「排泄」 ケア法、最新の役立ちグッズ、サービスをご紹介
切実な悩み「排泄」 ケア法、最新の役立ちグッズ、サービスをご紹介
数々ある介護のお悩み。中でも「排泄」にまつわることは、デリケートなことなだけに、ケアする人も、ケアを受ける人も、その悩みが深いでしょう。 ケアのヒントを専門家に取材しました。また、排泄ケアに役立つ最新グッズをご紹介します!