市販薬に頼らず、すぐに病院へ行くべきケース|食欲不振が長引く、熱を伴う腹痛…
少しずつ、自粛が解除されつつあるこの頃だが、コロナ感染拡大の第2波がくるのではないかと恐れている人は多い。そのため感染リスクを考え病院に行くことも。家庭での常備薬で乗り切りたい…、そんな人に向けて、医師も実際に使っている市販薬をご紹介した。
そういった“最強の薬箱”でそなえることは大切だが、その前に知っておきたいのは市販薬に頼らず、すぐに病院へ行くべきケースだ。
持病のある人は、自分の判断で市販薬を購入しない
しろはた胃腸肛門クリニック横浜院長の白畑敦さんはこう語る。
「例えば、歩くとお腹にずしんと響くような痛みがある場合は、腹膜炎の疑いがあるので、すぐに病院に行くべきです。度重なる血便も、がんなどの大病の兆候かもしれず、受診する必要がある。また、持病がある人は、自分だけの判断で市販薬を購入しない方がいい。例えば胃の痛みに効くスコポラミン配合の胃腸薬は、心臓が悪い人は避けるべき薬です。持病のある人はあらかじめ薬剤師など専門家に相談することが必要です」
食欲がない状態が長引くのも要注意
婦人科系の症状も同様だ。
「“まるでトンカチで叩かれているかのような痛み”など生理痛でも普段と痛みの“質”が違うなと感じたら受診してください。子宮や卵巣に炎症が起こると発熱することがあるので、下腹部の痛みと熱がある場合は、市販の解熱剤で対処せずに病院に来てほしい。薬の用法用量を守っても症状が改善しない場合は、必ず病院へ行くのが鉄則です」(東邦大学医療センター大橋病院の高橋怜奈さん)
ちくさ病院内科医の近藤千種さんは「食欲があるかどうか」もおおまかな目安になると話す。
「薬が効かない、症状が長引く場合はもちろんですが、ご飯が食べられないというのも重篤かどうかの判断材料になります。食欲がない状態が長く続いたら、病院を受診してください」(近藤さん)
睡眠薬を日常使いしない
慣れない巣ごもり生活や、将来への不安から睡眠が充分に取れず、「市販の睡眠薬を常備したい」と考える人もいるかもしれないが、ことメンタルに関しては、安易に市販薬に頼るのは危険だと専門家は指摘する。
「大前提として、睡眠薬は日常的に使うものではありませんし、そもそも睡眠障害は市販薬では根治できません。しかるべき専門医のもと、薬を処方してもらってください。よく、“眠れないから睡眠薬が欲しい”と言われますが、眠れない原因になっている根本の不安を取れば、薬に頼らずに治ります。まずは専門医に相談することが必要です」(精神科医で南青山アンティーク通りクリニック院長の福西勇夫さん)
安全に病院に行くためにはどうするか?
では、どうすれば安全に病院にかかることができるのか。
「いまの時期はリモート診療を行っている病院も増えてきました。また、かかりつけの医師に電話して、のんでいる薬や体の状態を相談してみるのもいい。さらには病院によって混む時間が異なるので、事前に電話して、受診すべき時間帯を問い合わせるのもおすすめです」(近藤さん)
薬も薬に関する知識も、まさに“備えあれば憂いなし”ということだ。
※女性セブン2020年6月11日号
https://josei7.com/
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