60才過ぎたら”やめること”の整理を…”アレ”をやめた人の実体験
よかれと思って続けている習慣が、じつは大きなムダになっていることはよくある。高齢になるほどムダの数は増え、損も増えている可能性が高い。60才を過ぎたら年を取るごとに人生の節目だと考え、新たなことを始めるよりも1つずつやめていくことを目標にして、2020年よりムダのない1年を過ごしたい。
60才過ぎ”セカンドライフ”の現実とは…
「人生100年時代」もすっかり浸透した。 「60才」というと、かつてなら職場を定年退職し、年金を受け取り始める年齢だった。現役を「リタイア」する印象が強い節目の年齢であったが、昨今は「60代はまだまだ若い」というイメージが定着。2025年4月からは高齢者雇用安定法の改正によって、「65才定年制」が義務となる。
いつまでも若々しく活躍できることは望ましいことだが、ライフスタイルによっては心身の負担が大きい。主婦の佐藤明子さん(仮名、62才)はため息をつく。
「還暦を迎えたらのんびりセカンドライフを送れると思っていましたが、想像以上に毎日が忙しい。夫の食事を作り、家事をして、さらに週に数回は娘が孫を預けに来る。近所に住む義理の両親が元気なことは幸いですが、高齢なので定期的に顔を出さなければいけないし、いつまでこんな生活が続くのだろうと、もうクタクタです」
子供が成人して手が離れたら、自由で穏やかな第2の人生が始まるといわれたのは過去の話。平均寿命が伸びたことで老老介護からは逃れられなくなり、忙しく共働きする子供の家庭を親が支える必要もある。
趣味の登山をやめた人の実例
将来を見据え、思いきって趣味を断捨離したと話す人もいる。主婦の高木陽子さん(仮名、67才)が言う。
「60才になってから長年の趣味だった登山をやめました。足腰はしっかりしていますが、若いときと同じ感覚で登っていたら、転倒して危うく大けがをしそうになったことがあるんです。そのまま寝たきりになってしまうと周囲にも迷惑をかけ、金銭的にも不安定になる。リスクを鑑みて、登山は引退しました」
なんとなくやっていることの整理を
私たちの日常には、長年の習慣で染みついた行動が数多くある。些細な生活習慣から、医療やお金、家族関係に至るまでさまざまだ。年齢とともに心身への負担は大きくなるが、だからといってなんでもかんでもやめてしまうのも危険だ。新潟大学名誉教授で水野介護老人保健施設長の岡田正彦さんが言う。
「60才という年齢の節目は、生活の偏りを見直すいい機会です。ひざが痛いからと自然と外出の回数が減っていたり、疲れたからと食事が面倒になって栄養不良になることもある。
60才以上になったら、年齢を重ねるごとにやめてもいいこと、続けることを振り返ってみてください」
若いときからの習慣に加え、加齢による体調の変化によって増えた「なんとなく」でやっていることを整理することがムダを省く近道だ。
教えてくれた人
岡田正彦さん/新潟大学・名誉教授・水野介護老人保健施設長
※女性セブン2021年1月7・14日号
https://josei7.com/
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