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高木ブー、ギターを始めた孫に「いつか一緒に…」【連載 第28回】

 高木ブーさんは、お笑い界やウクレレ界の絶対的レジェンドであるとともに、孫をこよなく愛するひとりの「ジイジ」でもある。孫のコタロウさんは高校一年生。「最近はギターに興味を持ち始めたみたい」と、孫とのステージを夢見ながら目を細める。「ジジバカ」を自称する高木ブーさんに、孫との日々や将来への想いを聞いてみた。(聞き手・石原壮一郎)

コタロウの結婚式でお祝いの歌を演奏したい

 この連載でも何度か話に出たけど、僕には男の子の孫がいます。今高校一年生で、名前はコタロウ。あんなに小さくてかわいかったのに、いつの間にか僕より大きくなっちゃった。ジジバカかもしれないけど、伸び伸びとたくましく育ってると思う。どんな大人になっていくのかな。それが今の僕のいちばんの楽しみですね。

 妻の喜代子が早く他界して、しばらく娘のかおるとふたりで暮らしてました。その頃は家の中も静かで、ちょっと寂しかったかな。ありがたいことに、かおるは結婚して苗字が変わってからも旦那さんと同居してくれて、やがてコタロウが生まれて、またにぎやかな家になった。

 生まれて間もない頃、僕とかおるがコタロウをあやしていたら、誰もいない壁のほうを向いて、何かを見ている感じでずっと笑ってたことがある。娘が「あっ、きっとお母さんが会いに来たんだね」って言って、僕も「きっとそうだね」って答えました。幼いコタロウと遊んでて、カタコトで一生懸命に話そうとしたりするかわいい姿を見るたびに、喜代子さんにも見せてあげたかったなあ、ここにいればいいのになって思ったもんです。

 幼稚園に通っている頃のコタロウは、「仮面ライダー」シリーズや「スーパー戦隊」シリーズに夢中だった。『仮面ライダー電王』とか『侍戦隊シンケンジャー』とかね。毎月1日に子ども向け雑誌の『てれびくん』と『テレビマガジン』が発売されて、その付録のペーパークラフトを組み立てるのは僕の役目だった。

 これがけっこう難しくて、時には徹夜しちゃったりもしたなあ。でも、雑誌を買った翌朝に、起きてきたコタロウが完成しているヒーローを見て大喜びする様子を思い浮かべると、ついついがんばっちゃったんだよね。娘も旦那さんも「ジイジは手先が器用だから」とか言っておだてるしさ。

 そういえば、愛読してた『てれびくん』に、ふたりで出してもらったこともあった。タコを持って撮影したからお正月の号かな。あれはいい思い出です。

 こんなこと言うと娘に怒られちゃうかもしれないけど、孫は自分の子ども以上にかわいいね。もちろん娘もかわいかったけど、かおるが生まれた頃は、僕はまだドリフターズに入っていなくて、バンドマンとして毎日忙しくはしていたけど、どこか不安で気持ちに余裕がなかったのかもしれない。でも、コタロウが生まれたときは、忙しさも落ち着いてたし、何より親と違って無責任な立場だからね。

 高校生になったコタロウは、さすがに小さい頃みたいには遊んでくれなくなった。でも、ギターに興味を持ち始めて、自分で気に入ったのを買ってきて練習したりしてるみたい。僕が持ってるギターで欲しいのがあったら、どれでもあげるんだけどね。でも、自分で買ったほうが愛着が湧くかな。どこまでのめり込んでくれるかはまだわからないけど、いつかステージで一緒に演奏できたらいいなと思ってます。

 今のところはギターよりもカメラに夢中みたい。これもジジバカだけど、けっこういい写真を撮るんじゃないかな。コンテストで賞をもらったりもしてるしね。何にせよ、若いうちに何かに夢中になるのは大事なんじゃないかな。僕はウクレレに出合って高校時代は何もかも忘れて没頭した。それを職業にするかどうかは別の話として、ひとつのことを身につけて伸びていけば、そこから世界が広がっていくしね。

 いつか、将来のことや人生のことを相談してくれたりもするのかな。聞かれたらいろんな話をしてあげようと思ってるけど、こっちから話しに行くわけにもいかない。本人にとって必要なタイミングじゃないのにあれこれ言ったところで、こっちの自己満足になっちゃうだけだしね。幼くて無邪気なコタロウと遊ぶのも楽しかったけど、成長してからいろんな話をするのも、また楽しみです。

 大きなお世話だけど、将来、どんな人と結婚するのかな。僕はいつも「100歳までウクレレを弾き続けたい」って言ってるんだけど、僕が100歳になる頃にはコタロウは30歳前ぐらい。コタロウの結婚式でお祝いの歌を演奏できたら最高だね。ハワイアンにはお祝いの歌がいっぱいあるから、どれにするか考えておかなきゃ。早めに候補を選んで、コタロウに「どれがいい?」って聞いてみようかな。

「孫のコタロウと一緒のステージで演奏できたらうれしいな~。孫は、本当にかわいいです」

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高木ブー(たかぎ・ぶー)

1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。2000年にはビートルズのスタンダードナンバー11曲をハワイアンでカヴァーしたCD『LET IT BOO』をリリース。現在はSony Music Shop(https://www.sonymusicshop.jp/m/item/itemShw.php?site=S&ima=4636&cd=DQCL000000660)で発売中(3300円税込)。
CD『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』(http://www.110107.com/s/oto/discography/DQCL-566?ima=1025)など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)など。YouTube「【Aloha】高木ブー家を覗いてみよう」( https://www.youtube.com/watch?v=9N3tZoPKKVA イザワオフィス公式チャンネル内)も大好評! 10月20日(火)21時からNHKBSプレミアムで放送の『アナザーストーリーズ「ザ・ドリフターズの秘密 ~バンドマンが笑いを生んだ~」』にも出演。

LET IT BOO

取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)

1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。最新刊は「恥をかかない コミュマスター養成ドリル」。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。

●高木ブー他界した妻への想い「今も家に来てるんですよ」【連載 第23回】

●毒蝮三太夫インタビュー|「この歳になって親の人生から教わること」【連載 第28回】

●ドラマ『天使にリクエストを』|最期に寄り添った経験があるから、生きる意味を見出せる

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