食のプロ7人が選んだ「免疫力を高める世界の食品ベスト5」
自粛期間中、感染症対策には病院へ行くより毎日の食事が大切だと気がついた人は多いだろう。『女性セブン』でも何度か「免疫力を上げる食品」を紹介してきたが、今回はさらにスケールアップ。世界の隅々まで探してみると、見たこともない食品、見たこともない料理がこんなにあった!
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世界にもいろいろとある発酵食品
人間の腸の中には100兆個もの細菌が生息しているといわれ、その細菌の活動は免疫力に大きくかかわる。秋葉原駅クリニックの佐々木欧さんが言う。
「免疫細胞は主に骨髄で作られますが、その免疫が適切に働けるかどうかは、腸内の環境にかかっています。腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスを整えることで、免疫細胞が適切に働くようになるのです」
腸内環境を整える食品といえば「発酵食品」だ。日本では、緊急事態宣言の発出と同時に、納豆やヨーグルトなどの発酵食品が品薄になる事態が起こったが、世界の国々でも発酵食品が健康にいいことは常識だ。
「感染被害の深刻なヨーロッパの中で、被害が少ないドイツには、キャベツを発酵させた『ザワークラウト』をよく食べる習慣があります。そのほか、台湾、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランドなどの比較的被害が少ない国でも、発酵食品を多く食べる傾向があります」
と、名古屋学芸大学健康・栄養研究所所長で『100歳まで自然に元気な和食の流儀』(白秋者)著者の下方浩史さんは話す。
食の専門家たちが選んだ食品ランキングでも、発酵食品の存在は目立つ。なかでも、「インドネシアの納豆」とも呼ばれる「テンペ」は見逃せない。管理栄養士の中沢るみさんが話す。
「日本の納豆は大豆をわらに包んで発酵させますが、テンペはバナナの葉で包んで発酵させます。たんぱく質や食物繊維などの栄養素は納豆とほぼ変わりませんが、味や臭みが薄いため、サラダにトッピングしたり、衣をつけてフライにしたりとアレンジの幅が広いのが特徴です」
乳製品も、日本では「牛」の乳が当たり前だが、モンゴルでは「馬」の乳を発酵させるという。中沢さんが続ける。
「牛乳よりも酸味があって、飲むヨーグルトのような味です。モンゴルで伝統的に飲まれており、ウイルス性の肺炎にも効果があるといわれています」
細胞を若々しく保つ「抗酸化作用」の高い食品は、ウイルスや細菌に負けない体づくりをサポートする。
「細胞の酸化は老化現象の1つで、生きていくうえでは仕方のない現象です。しかし、抗酸化作用のあるものを食べることで、老化現象を遅らせ、体力を温存することが可能になります」(佐々木さん)
日本では、緑茶などが抗酸化作用の高い食品として知られるが、世界では栄養が凝縮された小さな「果実」がポピュラーだ。管理栄養士の望月理恵子さんが言う。
「オリーブには、強力な抗酸化作用を持つ『オレウロペイン』というポリフェノールが豊富に含まれています。抗菌、抗ウイルス作用もあるので、体を病原菌から守ってくれます。また、南米のアマゾン川周辺で採れる『カムカム』は、抗酸化作用が高いだけでなく、ビタミンCの含有量が最も多いフルーツ。風邪予防にバツグンです」
内科医で料理研究家の関由佳さんは微細藻類の「スピルリナ」を推す。海外では、健康食品としてスーパーでも売られている。
「スピルリナの特徴である緑色の色素には、抗酸化作用のある『フィコシアニン』という成分が含有されています。それ以外にも、60種類以上の栄養素をバランスよく含んでいて、NASAでは宇宙食として研究されています」
日本ではあまりなじみがないが、世界で浸透している食文化に「薬膳」がある。
「クコの実は、中国では『ゴジベリー』と呼ばれ、古くから薬膳として利用されています。ビタミン、カルシウム、リン、ルチンなど40種類以上の栄養成分が含まれていて、その栄養価の高さは、摂りすぎると副作用があるといわれるほどです」(トータルフードプロデューサーの小倉朋子さん)
乾燥させてドライフルーツとして食べることも可能だが、1日の摂取量は大さじ1.5杯程度におさえよう。
薬膳の世界では、“根っこ”も貴重な栄養を含む食材だ。
「桔梗の根っこ部分は『トラジ』といって、干し野菜として売られています。食感は、うどに似ています。苦味のもとである『サポニン』が、肺疾患に効果があるとして漢方薬にも用いられています」(管理栄養士の清水加奈子さん)
インドでは、スパイスを“薬感覚”で食事に取り入れる。
「インド料理に欠かせないミックススパイスの『ガラムマサラ』は、ジンジャー、シナモン、クローブ、ナツメグ、クミンなど体にいいものがたくさん入っています。カレーに使われることが多いですが、抗菌、殺菌効果が高く、体も料理も傷みにくくなります」(中沢さん)
以下、食のプロに免疫力を高める世界の食品を選んでもらった。