名医が選ぶ「本当に頼れる18人の医師リスト」【脳・認知症・終末期医療編】「認知症治療は患者本人や家族の接し方がポイントに」
医療の進歩によって、様々な疾患が“治る病気”になりつつある。そこで重要になるのが、“医師選び”だ。本誌は各分野の名医に取材し、「自分や家族を診てもらいたい医師」を聞いた。医師自らが選ぶ「本当に頼れる名医」を紹介する。
教えてくれた人
竹中亮介さん/国際医療福祉大学成田病院放射線科教授・医師、奥村歩さん/おくむらメモリークリニック院長(岐阜県岐南町)、出雲剛さん/岐阜大学病院脳神経外科教授・医師、木之下徹さん/のぞみメモリークリニック院長(東京・三鷹市)
豊富な手術経験と新たな術式の開発に着目
熟練の技術が求められる「脳」の名医は誰か。
がんの名医で放射線治療の権威でもある東大病院の中川恵一医師から名が挙がった国際医療福祉大学成田病院放射線科教授・竹中亮介医師が言う。
「脳腫瘍が専門のさわむら脳神経クリニック・澤村豊医師。豊富な臨床経験に裏打ちされた治療方針決定の判断材料を、ご自身のホームページで公開されています。難しい脳腫瘍に罹ったら、ぜひセカンドオピニオンを受けたい」
脳卒中の手術は一刻を争う。全国から認知症患者が訪れるおくむらメモリークリニック(岐阜県岐南町)・奥村歩院長が、脳卒中治療における「カリスマ外科医で人格も高潔」と推薦するのが岐阜大学病院脳神経外科・出雲剛医師だ。
出雲医師は患者への負担が大きい脳の手術で、低侵襲性と根治性を両立する術式の開発と普及に力を注いでいる。出雲医師が言う。
「脳卒中に対する開頭術、血管内治療のエキスパートでは、多数の執刀例を持つ東北大学病院の遠藤英徳医師、同じく脳卒中の権威で、もやもや病(※)研究の世界的リーダーである富山大学病院・黒田敏医師らがいらっしゃいます」
本人だけでなく家族への接し方も認知症治療に大切
では、認知症や終末期医療に直面した場合、頼りになるのは誰か。
認知症専門医の前出・奥村医師が、「MRIなど最新の機器を装備して診断にあたるだけでなく、認知症の方への接し方が素晴らしい」と推すのは、のぞみメモリークリニック(東京・三鷹市)の木之下徹院長だ。
その木之下医師が「自分が最も受診したい医師」とするのは、清山会医療福祉グループ代表でいずみの杜診療所・山崎英樹医師。
「認知症になった本人や家族を含む周囲の人々から、最も深い文脈で話を引き出し、聴く診療姿勢が魅力的です」(木之下医師)
手術や治療を任せる主治医によってその後の人生が変わることもある。信頼できる医師に出会えるよう、日頃から準備したい。
※内頚動脈と呼ばれる脳の太い血管が細くなり、脳に十分な血液を送れなくなるなどする疾患
名医が選んだ「日本最高の名医18人【脳・認知症・終末期医療編】」
※名前/所在地/所属・肩書/推薦理由
※名前は五十音順。推薦理由は医師の回答を基に本誌作成
<脳の名医>
出雲剛さん/岐阜/岐阜大学医学部附属病院脳神経外科長・教授/脳神経外科でも低侵襲性と根治性の両立できる手術の開発と普及に取り組んでいる
猪原匡史さん/大阪/国立循環器病研究センター脳神経内科部長/脳卒中とともに血管疾患の観点から認知症の治験や臨床研究を国内外でけん引している
遠藤英徳さん/宮城/東北大学病院脳神経外科長/脳卒中に対する開頭術および血管内治療のエキスパート。多数の執刀例で経験も豊富
黒田敏さん/富山/富山大学附属病院脳神経外科診療科長・教授/脳卒中に対する開頭術のエキスパート、もやもや病に対する研究で世界のリーダー的存在
澤村豊さん/北海道/さわむら脳神経クリニック理事長/脳腫瘍手術の第一人者。自身のHPで臨床経験に裏打ちされた治療方針決定の判断材料を公開
成田善孝さん/東京/国立がん研究センター中央病院脳脊髄腫瘍科長/グリオーマなど、悪性脳腫瘍治療のエキスパート。機能温存を優先した治療を行なう
林健太郎さん/島根/島根大学医学部附属病院高度脳卒中センター長/脳血管障害の血管内治療や開頭術に精通する。高度脳卒中センターを立ち上げた経験
松丸祐司さん/茨城/筑波大学附属病院脳卒中科診療科長/脳動脈瘤や頸動脈ステント治療とともに脳及び脊髄の動静脈奇形や硬膜動静脈瘻の治療も
<終末期医療・在宅医療・認知症治療の名医>
朝田隆さん/東京/メモリークリニックお茶の水院長/日本初の認知症外来を立ち上げ、認知症の予防・治療の第一人者
岩田淳さん/東京/東京都健康長寿医療センター副院長(脳神経内科部長)/豊富な臨床経験をもつ。アルツハイマー病の根本治療薬の開発にも精力的に取り組む
奥村歩さん/岐阜/おくむらメモリークリニック院長/ワンストップで診断から治療まで一貫して認知症を診る。国内随一の受診者数を誇る
金井良晃さん/埼玉/TMGあさか医療センター副院長・緩和ケアセンター長/人柄と実力を兼ね備えた理想の緩和ケア医として、進行がんや終末期の患者を支えている
神戸泰紀さん/東京/こだまクリニック院長/高度な認知症に関する知識・技術で大学で認知症の外来診療、地域では訪問診療を行なう
木之下徹さん/東京/のぞみメモリークリニック院長/全国の誰も手がけていなかった認知症の在宅診療を長年取り組んだ経験と実績が豊富
長光勉さん/山口/ながみつクリニック院長/国内では数少ないMRIと専門的な神経心理スタッフを配置、診療から治療まで一貫診療
松村美由起さん/東京/東京女子医科大学成人医学センター副所長/脳神経内科に精通し、専門医でありながら認知症の受診者の目線を大切に真摯に診療に取り組む
間宮敬子さん/長野/信州大学医学部附属病院信州がんセンター緩和部門教授/終末期の疼痛ケアのスペシャリスト。薬剤師など多職種で患者や家族をサポートしている
山崎英樹さん/宮城/清山会医療福祉グループ代表いずみの杜診療所医師/認知症になった本人や家族を含む周囲の人々から深い文脈で話を引き出して聴いてくれる
※週刊ポスト2025年1月3・10日号