旬の野菜が体にいい5つの理由|イライラする時に食べるといい野菜って?
長期にわたる巣ごもり生活で、心身の不調を感じている人もおおいかもしれない。もしかしたら偏った食事が原因かも…。健康になるためには、”旬”の野菜を摂るのが大事だという。薬膳の専門家に、おすすめの旬野菜とその摂り方を聞いた。
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心身の健康のために旬のものを食べる
木々の緑が濃くなるにつれ、スーパーなどの野菜売り場には清涼感あふれる野菜が並んでいる。
「旬の野菜は、手頃な価格で栄養価も旨みも高く、心身の健康を保つためにも重要な食材です」
そう語るのは、料理研究家で中医薬膳師・国際中医師の資格を持つ村岡奈弥さん。
「中国医学では、季節に伴い、体も変化すると考えられており、自然と体を調和させるために、その土地で採れる旬の食材を上手に取り入れるとよいとされています」(村岡さん・以下同)
湿気が増す梅雨には豆やきゅうり
「特に、これから梅雨に向けては湿気が増し、体内にも余分な水分『湿(しつ)』がたまりやすくなるため、利尿・利湿作用のあるまめ科・うり科の食材がおすすめです」
自粛生活のイライラ解消にはパクチー
また、本来春は冬の間にため込んだ老廃物などを排出し、代謝が高まるため、心機一転する季節ともいわれるが、今年は自粛で運動不足の人も多く、代謝が落ち、精神的にもイライラしがちだ。
「パクチーなど、せり科の野菜は巡りをよくし、イライラ解消の助けになるので、香りを楽しんでほしいですね」
旬の野菜が体にいい5つの理由
【1】味が濃くておいしい
栽培技術が進化した現在は、季節に関係なく収穫できる野菜が増えている。
「ですが、野菜には、それぞれ最適な土地や気候などの環境があります。これらが整った状態で収穫されたものは、季節はずれの野菜に比べて味が濃く、風味も高いのです。余計な味付けをしなくても、そのままでおいしく食べられます」。
【2】栄養価が高い
同じ野菜でも、季節によって栄養の含有量が変動することがわかっている。女子栄養大学名誉教授の辻村卓さんの研究によると、トマトに含まれるβ-カロテンは、5月から増え始めて7月に最大となり、11月の約2倍になるという。旬の野菜を食べることは、栄養を効率よく摂る上でも重要なのだ。
【3】鮮度がよくてリーズナブル
野菜は旬が近づくにつれて収穫量が大幅に増え、近隣で採れたものが店頭に並ぶことが多くなるため、輸送コストが抑えられる。そのため、ほかの季節に比べて価格が抑えられ、新鮮なものが手に入りやすい。
【4】その時期に体が欲する効能を持つ
春野菜にはデトックス効果のあるものが多く、夏野菜は夏バテ防止に効くというように、旬の野菜は季節ごとの体調変化に応じ、体のバランスを整える作用を持っている。
「これからの季節に注意したいのは、湿邪(しつじや)といって体内に余分な水分がたまり、胃腸の働きが傷つけられること。頭が重い、口が粘る、むくみ、食欲不振、腹痛、軟便などの症状がある場合は、胃腸を整え、利尿・利湿作用のあるまめ科やきゅうりなどのうり科の野菜に、気と血の巡りをよくするハーブなどを組み合わせると効果的です」
また、痰がからみやすく、気分も沈みがちで、思い悩む人も増える時期でもあるが、旬の野菜を食べることで気分もスッキリし、心が晴れることもあるそうだ。
【5】季節感が感じられる
食事の効能は栄養を摂るだけではない。
「中国医学は哲学が根本にあり、『見て感じる』ことは、心にも体にも大きな影響を与えると考えられています。季節を感じながら旬野菜を食べて、五感で食事を楽しめば、体が喜び、心が満たされ、薬膳効果が得やすくなります」。