SMAPの全員が主演していた日曜劇場|主演本数歴代2位はキムタク、1位は?【水曜だけど日曜劇場研究】第5回
「日曜劇場」では、特定のプロデューサーやディレクターが、同じ俳優あるいは原作者と組んで複数の作品を手がけてきたケースも目立つ。最近の例では、福澤克雄ディレクターが『半沢直樹』(2013年)を手始めに、『ルーズヴェルト・ゲーム』(2014年)、『下町ロケット』(2015年、2018年)、『陸王』(2017年)、『ノーサイド・ゲーム』(2019年)と池井戸潤の小説をあいついでドラマ化している。『半沢直樹』は42.2%と、平成に放送されたテレビドラマでは最高となる視聴率も記録した。
この他、冒頭にあげた田村正和の大半の作品は、八木康夫プロデューサーと組んだものだ。八木は「日曜劇場」だけでなく、TBSにおいて田村主演で多くのドラマを手がけている。かつて『時間ですよ』『寺内貫太郎一家』などの名作ホームドラマを生んだ名ディレクター・プロデューサーの久世光彦も、「日曜劇場」では、小泉今日子主演の『メロディ』(1997年)や竹中直人の『ヤマダ一家の辛抱』(1999年)などで演出陣のひとりとして参加した。いずれの作品も久世がTBS退社後に立ち上げたKANOXが制作にかかわっている。
社会派作品の系譜
瀬戸口克陽プロデューサーも、「日曜劇場」で『GOOD LUCK!!』や『99.9 -刑事専門弁護士-』(2016年、2018年)などを送り出したヒットメーカーのひとりである。先述の木村拓哉主演の『華麗なる一族』に続き、本木雅弘主演の『運命の人』(2012年)と、山崎豊子の長編小説のドラマ化も手がけた。『運命の人』は、沖縄返還に際しての日米両政府の密約のめぐる外務省機密漏洩事件をモデルにした社会派作品だ。瀬戸口はこの制作にあたり、放送の2年前に、ときの民主党政権が「密約」の存在を公式にあきらかにするため参考人から証言を聴取した衆院外務委員会を傍聴するなど、準備を重ねたという。
ここまで、何人かの俳優やスタッフを通して「日曜劇場」の歴代作品を振り返ってみた。ここにあげたのは108作のうちのほんの一部とはいえ、それだけでも、この枠では試行錯誤を重ねながら、幅広いテーマがとりあげられてきたことがうかがえよう。「日曜劇場」は、TBSのドラマの王道ともいえるホームドラマの枠という一面を持つ。その代表として、次回以降は、田村正和主演の作品を中心にとりあげてみたい。
文/近藤正高 (こんどう・ まさたか)
ライター。1976年生まれ。ドラマを見ながら物語の背景などを深読みするのが大好き。著書に『タモリと戦後ニッポン』『ビートたけしと北野武』(いずれも講談社現代新書)などがある。
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