SMAPの全員が主演していた日曜劇場|主演本数歴代2位はキムタク、1位は?【水曜だけど日曜劇場研究】第5回
「日曜劇場」の主演作の数で田村正和に次ぐのが、元SMAPの木村拓哉だ。2000年に常盤貴子とダブル主演の『ビューティフルライフ』でヒットを飛ばしたのを皮切りに、『GOOD LUCK!!』(2003年)、『華麗なる一族』(2007年)、『南極大陸』(2011年)、『安堂ロイド〜A.I. knows LOVE?〜』(2013年)、さらにSMAP解散後初の主演ドラマとなった『A LIFE〜愛しき人〜』(2017年)、昨年放送の『グランメゾン東京』と、これまでに7作で主演を務めてきた。演じた役もカリスマ美容師に始まり、パイロット、財閥の御曹司、南極観測隊員、アンドロイド、外科医、シェフと幅広い。
ちなみにSMAPのメンバーでは、中居正広が木村より1年早い1999年に『グッドニュース』で「日曜劇場」で初出演し、以後も『白い影』(2001年)、『砂の器』(2004年)、『ATARU』(2012年)と4作に主演している。これと並ぶのが稲垣吾郎で、『催眠』(2000年)、『ヨイショの男』(2002年)、『Mの悲劇』(2005年)、『佐々木夫妻の仁義なき戦い』(2008年)の4作に主演。このうち『佐々木夫妻の仁義なき戦い』は2008年1月期に放送されたが、これに続いて4月期の『猟奇的な彼女』では草なぎ剛が「日曜劇場」で初めて主演を務めた。草なぎはこのあと2011年の『冬のサクラ』でも主演している。最後まで残った香取慎吾も、2012年の『MONSTERS』で「日曜劇場」に登場(山下智久とダブル主演)、2016年の『家族ノカタチ』は単独での主演となった。
元SMAPの5人が主演を務めたドラマ枠というのは、案外珍しいのではないか。たとえばフジテレビ系の「月9」では、木村拓哉が「日曜劇場」を上回る10作、香取慎吾も4作で主演しているものの、中居正広は2作、稲垣吾郎はドラマ初主演作となった『二十歳の約束』(牧瀬里穂とのダブル主演)の1作のみ、草なぎ剛にいたっては出演した作品こそあるものの主演作はない。草なぎの場合、同じフジ系のドラマでは、「僕の生きる道3部作」など関西テレビ制作の火曜10時枠で主にメインを務めてきたという事情もあるのだろう。
主流は中年男性が主人公
元号でいえば平成5年に連続ドラマ枠へと移行した「日曜劇場」は、平成とともに歩んできただけに、この時代を代表するアイドルグループであるSMAPのメンバーがあいついで主演を務めたのは象徴的だ。この連載で筆者は、『丘の上の向日葵』によって「日曜劇場」に「中年男のファンタジー」という路線が敷かれたと書いた。これまでのヒット作を見ても、高橋克典主演の『サラリーマン金太郎』シリーズ、また新シリーズの放送が待たれる堺雅人主演の『半沢直樹』など、「日曜劇場」の主流をなすのは、やはり会社勤めをする中年男性を主人公とした作品であることは間違いない。
ただ、けっしてそればかりではないことは、SMAPのメンバーの主演作をあげてもあきらかだろう。木村拓哉主演の『ビューティフルライフ』は若い女性からの人気を集めた。その後も、新たな視聴者層を開拓するためか、たびたび「日曜劇場」ではやや異色とも思えるドラマも現れている。たとえば、『テッパン少女アカネ!!』(2016年)は、少年マンガが原作で、主演を放送当時18歳の堀北真希が務めた。また、TBSでは金曜10時台のドラマで多くのヒット作を送り出してきた宮藤官九郎脚本・磯山晶プロデューサーのタッグによる『ごめんね青春!』(2014年)は、「日曜劇場」では異色の学園コメディだった。ただ、いずれも残念ながら視聴率はふるわなかった(『ごめんね青春!』はギャラクシー賞の月間賞を受賞するなど識者やドラマファンからは高く評価されたのだが)。このあたり、「日曜劇場」の従来の視聴者層との年代的、感覚的なズレもあったのかもしれない。
ちなみに、連続ドラマ移行後の「日曜劇場」主演俳優のうち、『テッパン少女アカネ!!』の堀北真希は史上最年少だった。反対に史上最年長は、2016年放送の『仰げば尊し』の寺尾聰(当時69歳)である。