父の職場でクラスター発生!そのとき我が家は…家庭内隔離で大混乱
翌日の夕方、母から電話が入る。昨日送ったクッキーとDVD、手紙が届いたとのこと。クッキーは父の好物の高カカオチョコを入れた手作りだ。2人とも甘いものが好きなのだ。エンドレス消毒をあきらめたことで、母はだいぶ気が楽になったようだ。父は今のところ、部屋でおとなしくしているが、「1人で食事をするのが嫌みたいで、食器が廊下に出てくるのが遅かった」とのこと。しょんぼりしている様子が伝わるが、食欲があってよかった。
母:「今朝、一番にお父さんに新聞を持って行ったら、うれしそうだったよ。『ずっとこっちで読んでいいのか』なんて言っちゃって」
さすが母。たった1日で父のコントロール術をマスターしている。その調子、と励まし、2人の体調を確認して電話を切る。
20時、母からLINEが入った。「検査結果は陰性でした」。
よかった! クラスター発生の知らせから通算3日間。DV、家庭崩壊、そしてもちろん高齢の両親の感染の恐怖……。いろんな危機から一気に解放された。早速、母に電話をして喜び合う。父への電話は、また明日だ。
もちろん新型コロナウイルスの感染拡大はまだ続いているし、警戒をゆるめるわけにはいかない。この機会に、どんなに心配でも駆けつけられないというもどかしさ、いざというときに会えなかったらという恐怖をひしひしと感じた。
非常事態宣言が解除されたら、すぐに両親の顔を見に行こう。そして、万が一のときに後悔しないように、日頃のコミュニケーションをもっともっと大切にしよう。我が家で一番のいばりん坊はまちがいなく私だが、これからは両親になるべく優しくしようと決心した。
文/清原さつき