《専門家が解説》どんな介護を受けたいか?”介護の希望”を実現するために ”施設か在宅か”、お金のことなど元気なうちからしておくべきこと
家族や自分自身に介護が必要になったときのために、「介護の希望」を整理しておくとよいと話すのは、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さん。あくまでも「希望」のため、必ずしも叶うとは限らないが、どんな介護を受けたいのかをノートなどに記録しておくことで、いざというときに希望に沿った介護を受けやすくなる。具体的にどのような希望をまとめておくべきか、詳しく教えてもらった。
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教えてくれた人
丸山晴美さん/節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー
22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。
元気なうちにまとめておきたい「介護の希望」
「介護の希望」として、どんな介護をお願いしたいかなどを事前にまとめておくことは、介護をされる側はもちろんのこと、介護をする側にとってもメリットがあります。
介護をされる側は、自分が望んでいた介護を受けやすくなりますし、家族の重荷になりたくないと考えている場合などにも、家族に無理がない範囲での介護をしてもらいやすくなります。介護をする側にとっては、「介護の希望」がわからないがゆえに介護をがんばりすぎてしまうことを防いだり、無理のない介護のやり方を事前にすり合わせておいたりできます。
認知症などで自分の意思を伝えられない状態になってしまうこともあるため、介護が必要になってから考えるのではなく、元気なうちに希望を整理しておくことをおすすめします。
「どんな介護をお願いしたいか」から整理する
まず「どんな介護を望むのか」を整理しましょう。自宅で家族にやってもらいたいのか、専門のヘルパーにお願いしたいのか、それとも、自宅介護を望まず、専門の病院や介護施設に入所したいのかなど、どんな介護状態の場合、どこで誰にどんな介護をお願いしたいのかは人それぞれです。
施設への入所を希望する場合、気になっている施設や友人が入所している施設など、希望の施設があるなら施設名もあわせて記載しておくのもいいでしょう。特段の希望がない場合は、「家族や親族に判断を任せたい」と明記しておくだけでもいいでしょう。その際に、費用面はどのように準備をしてあるのかなども伝えると、お金に対する不安も軽減されるでしょう。
「介護をしてくれる人に伝えたいこと」もあわせて記載しておくのがおすすめ
希望する介護の内容に加えて、介護する相手に向けた想いも整理しておくといいでしょう。介護はできれば家族にお願いしたいが、あまり負担をかけたくない、というときなどに、例えば、「無理のない範囲で、負担がかかり過ぎるときは相談してほしい」「介護中に心や体がつらくなったら、気にせずプロに助けを求めてほしい」といったことを記載しておけば、家族が無理をして共倒れになるようなことを防ぎやすくなります。
お金についても事前に整理を
介護においてはお金周りも問題になりやすいため、お金についての情報も整理しておくのがおすすめです。事前に整理されておらず、誰が介護費用を負担するのか親族間でのトラブルに発展するケースもあります。介護費用は長期的に必要になることも多く、とくに施設に入る場合などは、申込金だけで数百万円かかるうえ、毎月の費用もかなり必要になる場合があります。
私も、身内が施設に入所していますが、本人の厚生年金などでまかなっている部分以外に毎月数十万円ほどの持ち出しがあるそうです。
NISAで用意した介護費用は課税対象になることも
すでに介護費用を準備している場合は、万が一のときに家族が使えるように事前に伝えておきましょう。介護費用であることをどこかに明記しておかないと、「勝手にお金を使った」などと親族内での揉めごとにつながる可能性もあるので注意しましょう。
さらに、介護費用をNISA口座に準備している場合にも注意が必要です。NISA口座に入っているお金を相続する場合は、相続人の証券会社の一般口座もしくは特定口座へ資産を移管する手続きが必要になります。
移管された資産は、亡くなった日の時価(相続発生日)で取得したものとみなされ、相続税の課税対象となり、相続後に売却をすると所得税がかかってしまいます。介護費用として生前に使えるように話をしておくことと、必要に応じて売却して費用の準備をしておくことを念頭に置いておきましょう。
介護費用を準備できていない場合は少しずつでも準備を
今の高齢者世代はある程度年金をもらえていますが、この先は年金額が少なくなっていくため、これから高齢者になっていく世代は子どもたちに多くの負担をかけてしまうことになる可能性があります。
自身で準備ができているのであれば、この口座から介護費用を出してほしい、と具体的に書いておくことで子どもの負担を減らし、余計なトラブルの防止にもなります。もし介護費用をまったく準備できていないのであれば、家計を見直して、少しずつでも貯めていくのがよいでしょう。
そのためにも、健康寿命が1日でも延びるように、野菜を多め、塩分を控えめにしたバランスのよい食事や、ウォーキングや筋トレといった適度な運動、そして質のよい睡眠を心掛けるなど健康に気を付け、社会的なつながりを保ちながら、心身ともに健康な期間を長く保つようにしましょう。
取材・文/新藤まつり
