新型コロナでデイサービスに行けない!? 北海道の介護職員から悲痛な声
高齢は歩かない――自民党・松川るい氏の発言が波紋を呼んでいる。3月2日の参院予算委員会で蓮舫氏が新型コロナウイルスにまつわる学校一斉休校に対し、介護施設への対応を質問中、松川氏がこうヤジを飛ばした。
ある介護施設の職員は「高齢者は施設から外に出かけますし、デイサービスにも通っていたのですが…」と話す。新型コロナウイルス対策に追われる介護施設の現場から寄せられた声を紹介する。
北海道の介護施設職員から悲痛な声
「私が働いている介護施設では、普段はお元気な利用者さんは外出もするし、日中はデイサービスにも通っているのですが…。とくに国からの要請はありませんが、先週からは外出もデイサービスも原則禁止にしました。利用者さんたちは、部屋にこもりがちでストレスがたまっているように見えますね」
こう語るのは、北海道の介護施設で働く40代の看護師。新型コロナウイルスによる死亡者6名(3月2日現在)は70代、80代の高齢者。さらに北海道は、新型コロナウイルスの感染者数が全国トップとなっており、職場でも不安が広がっているという。
新型コロナウイルスに関する介護施設への厚生労働省の通知※1(2月24日)は、面会制限のほか、発熱がある人は利用を避けるといったもので、具体的な対策については各施設の判断にゆだねられているという。
持病がある高齢者は重篤化が心配
「新型コロナウイルスに感染すると重篤化しやすいのは子供よりも高齢者。とくに介護施設では持病を抱えたお年寄りが多いので警戒しなければならないんです。うちの施設では面会や外出禁止、デイサービスの利用を禁止しましたが、認知症の方が玄関から出かけようとしてしまう人を引き止めるのが大変。日中部屋にこもってしまうことで認知症の症状なども進んでしまうのではないかと心配です。
でも、私の祖母は自宅から熱さえなければデイサービスに出かけていますし、対応は施設によってバラバラなんです」(前出の職員、以下「」同)
介護施設で働くスタッフの感染も不安
また、介護施設で働くスタッフたちの間でも不安が広がっているという。
「スタッフの中にご主人が発熱した人がいて、いまは保健所の指示で1週間休んでもらっています。1人でも感染者がいたとなるとバタバタと広がりそうなのでみんな不安な気持ちを抱えていますね。子供を持つスタッフは学校の休校で、祖父母に預けて出勤するなどなんとか回っていますが…。
室内の換気と加湿を心がけ、手すりなどはこまめに拭いて消毒、手洗いうがいの徹底など、細かいことから見直しています」
※1 厚生労働省 社会福祉施設等(入所施設・居住系サービスを除く。)における感染拡大防止のための留意点について https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000599389.pdf
介護施設向け新型コロナ感染拡大防止のリーフレット
2月28日時点で厚生労働省から介護施設へ通知された感染拡大を防止するためのリーフレット(※2)の内容は以下の通り。
1.咳エチケットや手洗い等の徹底
職員、利用者のみならず、委託業者等も含めて、マスクの着用を含む咳エチケットや手洗い、アルコール消毒を徹底しましょう。
2.出勤前の職員/送迎前の利用者の体温計測
・利用者と接する介護職員のほか、事務職や送迎を行う職員、ボランティア等、すべての職員は各自出勤前に体温を計測し、発熱等の症状がある場合には出勤しないことを徹底しましょう。
・利用者の送迎前には本人・家族又は職員が本人の体温を計測し、発熱等の症状がある場合には利用をお断りしましょう。
3.面会の制限
面会は緊急やむを得ない場合を除き、制限するようにしましょう。面会がある場合は、面会者にも体温を計測してもらい、発熱がある場合は面会をお断りするようにしましょう。
4.委託業者からの物品の受け渡しは玄関で
委託業者等からの物品の受け渡し等は、玄関等施設の限られた場所で行いましょう。施設内に立ち入る場合は、体温を計測してもらい、発熱がある場合は入館をお断りするようにしましょう。
※2 厚生労働省のリーフレット「介護施設・事業所で新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために」について https://www.mhlw.go.jp/content/000601610.pdf
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まだまだ先行きの見えない新型コロナウイルスの感染拡大。感染すると重症化することが懸念される高齢者への予防対策は最重要であることはもちろんだが、外出を控えることでの体力低下や認知症症状の悪化なども懸念される。
構成・文/介護ポストセブン編集部