「小さな葬儀」が急増！コンビニ跡地に立つ小規模の葬儀場のメリットを専門家が解説

　葬式といえば親・きょうだいに加え、故人に縁（ゆかり）のある人々が集まるのが一般的だったが、コロナの影響で家族葬のニーズが増えている。”小さな葬儀”が主流になる中で、家族葬専門の葬儀場が次々と登場。コンビニの跡地が葬儀場に改装されるケースが多いという。いま注目の小規模な葬儀場の特徴やメリットについて、専門家に話を伺った。

コロナの影響で“小さな葬儀”が増えている

　経済産業省によると、昨年の葬儀の取扱件数は約46万件で過去最高となり、葬儀業界全体の売上高は約5158億円を記録した。

「高齢化が進む日本では、死亡者数が増加し、葬儀件数は増えています。コロナ禍で大人数が一堂に会することが難しくなり、飲食や会話の自粛が促される中、従来は故人に縁（ゆかり）のあるかたがたが集まる葬儀が一般的でしたが、縮小化が進み、親・きょうだいなどの少人数で行う“小さな葬儀”が増えています。

　小型化の流れは首都圏を中心に20年くらい前からありましたが、今後は全国的に小規模の葬儀がスタンダードになると思います」

　そう話すのは、葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタントの吉川美津子さん。

コロナ前は「一般葬」、コロ禍は「家族層」が主流に

『お葬式に関する全国調査』（2020・2022年、葬儀相談サイト『いい葬儀』調べ）

【一般葬】通夜、葬儀・告別式の葬式で、参列者は知人、地域のかた、職場のかたなど幅広く集まった葬式

【家族葬】通夜、葬儀・告別式の葬式で、参列者は親族や一部の友人・仲間のみ

【一日葬】通夜がなく、告別式のみ、1日の葬式

【直葬・火葬式】宗教形式のない、火葬のみのお別れ

★コロナ前は一般葬が主流（2020年・第4回）

・一般葬　48.9％

・家族葬　40.9％

・一日葬　5.2％

・直葬・火葬式　4.9％

・その他　0.1％

★コロナ禍は家族葬が主流　（2022年・第5回）

・一般葬　25.9％

・家族葬　55.7％

・一日葬　6.9％

・直葬・火葬式　11.4％

・その他　0.2％

小規模の葬儀場はコンビニ跡地が好立地

　そうした流れについて、葬儀会社『ティア』（愛知県名古屋市）の経営企画本部長・辻耕平さんはこう話す。

「30名ほどでお葬式をあげる家族葬が増え、それに対応できる小規模の葬儀場を2018年から20施設増やしました。そのうち5施設は、閉店したコンビニなどの店舗を居抜きで再利用したものです」

　生活道路に面したコンビニは立地がよく、駐車場が併設されているところが多い。そのため霊柩車が入るスペースが確保できる。建物内には柱が少なく、仕切りもないため、葬儀をあげる式場や会食のための食事スペース、遺族の控室を自由にレイアウトできるなど葬儀場に改装しやすいという。

小規模会場は1日1組というメリットがある

「お葬式には高齢者の参列者が多いので、入り口から建物の中まで床がフラットで、最初からバリアフリーなのも利点です。2018～2020年は東京オリンピックの影響で、新築に必要なボルトが不足して2年待ちとなり、価格が高騰しました。そのため新築だと総額で1億円はかかるといわれましたが、居抜きで改装すれば半分以下の5000万円ほどに収められ、工期も半年ほどに縮小できました。

　ご遺族にとっても、小規模の葬儀場は1日1家族の貸し切りになるので、ほかのご遺族と一緒にならない。そうした点も利点です」（辻さん）　

　コンビニのほか、ガソリンスタンド、コインランドリー、回転寿司店、携帯電話ショップなどが居抜きで葬儀場に改装されるケースが増えているという。

コンビニ跡地に立つ家族葬専用ホール

　30名収容できる家族葬専用会館「ティア猪高」。全面バリアフリーで、葬式を行うホールと会食のできるダイニングスペース（右下写真）がある。和洋室の親族控室には浴室も完備。駐車場12台。

■ティア猪高

住所：愛知県名古屋市名東区八前2丁目1817　料金：家族葬33セットプラン　73万8100円（「ティアの会＊1」会員33万円）祭壇（祭壇付帯品：枕飾り一式、焼香用具一式、白木お位牌、後飾り用仏花、初七日法要祭壇、役所・火葬手続き代行など）、会館使用料（2日間）、寝台車（式場～お迎え～安置場所まで20km以内）、御棺（木製棺）、ご遺体用布団、保冷剤（1回分）、遺影写真（標準額＋電飾額）、骨壺セット、寝台霊柩車（式場から火葬場まで35km以内）、通夜・会葬礼状（各50枚）など＊1「ティアの会」は、積立金・年会費無料