祝儀袋・香典袋の包み方・袱紗(ふくさ)の正しい使い方と渡し方
祝儀袋や不祝儀袋(香典袋)は、袱紗(ふくさ)という布に包んで持っていくのが正しいマナー。袱紗は、祝儀袋や香典袋で色や包み方に違いがある。祝儀袋と香典袋の正しいの包み方、渡し方をマナーのプロに聞き、イラストで詳細解説。
祝儀袋・香典袋を包む袱紗(ふくさ)の色選び
袱紗は茶道で使うものというイメージがあるが、古来より進物を包んで渡す際にも用いられた。それが現在、金封を包む儀礼用の布として一般化したものだ。マナーアドバイザーの松本繁美さんが解説する。
「袱紗で包む目的は、祝儀・不祝儀袋を汚さず、折れ目のない状態でお渡しするためです。また、受け取る相手に礼儀を尽くすという意味もあります」
色は用途別に異なり、慶事用なら赤やピンクなどの暖色系、弔事用ならグレーや緑などの寒色系。紫はどちらにも使える色合いだ。
「包み方は慶弔で異なります。慶事は向かって右側を上、弔事は向かって左側を上にして包みます。上下の重ね方は祝儀・不祝儀袋と同じで、慶事は下側を上側にかぶせて、弔事は上側を下側にかぶせます。袱紗は何かと使う機会があるので、大人のたしなみとして用意しておくと安心です」(松本さん・以下同)
と松本さんはアドバイスする。
祝儀袋【慶事】袱紗の包み方
【1】祝儀袋を左寄りに置く
袱紗を裏返し、つめがある場合は右側にくるように、ひし形に広げる。祝儀袋を表向きにして、中央よりやや左寄りに置く。
【2】左側を折る
左側の角を、祝儀袋の左端に合わせて折る。
【3】上を折る
上の角を下に向けて折る。
【4】下を折ってかぶせる
下の角を上に向けて折り、【3】の上にかぶせる。「喜びは目を上げて(上向き)」と覚えるとよい。
【5】右側を折る
右側の角を祝儀袋の右端に合わせて折り、全体を包む。
【6】余った部分を裏に折りこむ
【5】で余った部分を裏にくるんで完成。つめが付いている場合は、かけて留める。
香典袋・不祝儀袋【弔事】袱紗の包み方
【1】不祝儀袋を右寄りに置く
つめがある場合は左側にくるように、裏返した袱紗をひし形に広げる。不祝儀袋を表向きにし、中央よりやや右寄りに置く。
【2】右側を折る
右側の角を、不祝儀袋の右端に合わせて折る。
【3】下を折る
下の角を上に向けて折る。
【4】上を折ってかぶせる
上の角を下に向けて折り、【3】の上にかぶせる。「悲しみは目を伏せて(下向き)」と覚えたい。
【5】左側を折る
左側の角を不祝儀袋の左端に合わせて折り、全体を包む。
【6】余った部分を裏に折りこむ
【5】で余った部分を裏に回して完成。袱紗につめが付いている場合は、かけて留める。
祝儀袋・香典袋を渡すときは袱紗にのせ両手で渡す
1受付が混んでいる場合はあらかじめ袱紗を外す
持参した御祝儀や御香典は、記帳を済ませた後に受付へ渡す。袱紗から取り出すタイミングは、受付の混雑具合を見て判断を。混んでいる時は、自分の番で手間取らないよう、並んでいるうちに取り出しておくとスマートに渡せる。
2相手の方に正面を向けて両手で差し出す
祝儀・不祝儀袋を袱紗から取り出したら、相手が表書きを読める向きに正して、両手で丁寧に渡す。その際、たたんだ袱紗の上に袋をのせ、少し相手側にずらした状態で差し出すと、受け取りやすく親切。
祝儀袋・香典袋を包む二つ折りの略式袱紗もある
ポーチのような二つ折りタイプで、祝儀・不祝儀袋をはさむだけの略式袱紗も最近は多く出回っている。慶事用は右開き、弔事用は左開きになっており、開けばすぐ取り出せるため人気。色や渡し方のマナーは正式な袱紗と同じである。
教えてくれたのは…
松本繁美さん/マナーアドバイザー、エル・ステーションLTD.代表。企業研修のほか、専門学校の客員講師、メディアの監修でも活躍。
イラスト/細川夏子
※女性セブン2019年11月28日号
●祝儀・不祝儀袋の選び方|今さら聞けないあれこれを専門家が詳細解説