最新の介護ICT/IoTシステムを導入した介護付有料老人ホーム<前編>
「熟睡している」「ベッドの上で体を起こしている」などの様子も分かるので、スタッフは精神的にも余裕を持って対処ができる。また、入居者の様子を正確に把握できるので、対応が後手に回ることなく行えるようになったという。ちなみにアズハイム町田では、夜間の転倒事故がシステム導入前の半分程度に減少するなどの効果につながっているそうだ。
こうした業務効率化によって、機能訓練指導員は入居者ごとの生活リハビリ方法をスタッフに指導する時間をより多く確保できるようになり、スタッフもそれを実践する時間、回数を増やすことができた。アズハイム町田では、リハビリの実施回数が導入前と比べて3倍以上に増えているという。例えば、今までは食事場所に移動する際に歩くと時間がかかるため、車椅子を利用していたのを、生活リハビリの一環としてゆっくり歩くようにすることも可能に──こういった積み重ねが、生活の質を向上させていくのだ。
「EGAO link」が広げる介護現場の可能性
「EGAO link」は、介護現場のスタッフ目線で開発されたシステムだ。導入することによって、仕事が効率化され、働きやすくなる。介護業界が抱える業務過多の問題解決にもつながる。スタッフに時間的、精神的な余裕ができることで笑顔が生まれ、それが結果的に入居者へのサービス向上につながる。それこそが、このシステムを導入した目的だ。
アズハイム練馬ガーデンのケアチーフを務める南さんは、「『EGAO link』では他職種が対応した記録がリアルタイムに集約されて、ご入居者ごとのニーズをつかみやすくなりました。なので、屋上の庭園やリハビリスペースなどを活用して、お客様と関わる時間を増やし、個別ケアを充実させていきたいですね」と語る。
また、アズハイムシリーズの各ホームでは、「夢を叶えるプロジェクト」を展開している。「自宅でもう一度、家族の手料理を食べたい」「好きな歌手のコンサートに行きたい」…など、入居者の叶えたいことを、スタッフが日々の関わりの中から引き出す。そして、叶える方法を家族とも相談しながら一緒に考え、企画、実行しているのだ。「EGAO link」の導入が広がっていくことで、こういった従来からの取り組みにも、より時間を割けるようになり、入居者とスタッフの笑顔がさらに増えていくのだろう。
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次回後編では、人員配置を充実させたリハビリや、アズハイム練馬ガーデンの施設の内部などを細かく紹介していく。
【データ】
施設名:アズハイム練馬ガーデン
公式WEBサイト:http://as-heim.com/nerimagarden/
所在地:東京都練馬区田柄2-34-7
最寄駅:東京メトロ有楽町線・副都心線「地下鉄赤塚駅」徒歩4分、東武東上線「下赤塚駅」徒歩5分
類型:介護付有料老人ホーム
運営主体:株式会社アズパートナーズ
敷地面積:1562.01平方メートル
延床面積:2747.99平方メートル
室数:71室
入居要件:65歳以上の要支援・要介護者
構造:鉄筋コンクリート造 地上3階地下1階建
開設年月日:2017年6月1日
料金:
・プランA(月払い方式)/入居一時金(非課税・返還制度有)0円、月額利用料39万5000円(月額利用料内訳は家賃24万5000円、管理費7万円、水光熱費2万円、食費6万円)
・プランB(一時金方式)/入居一時金(非課税・返還制度有)960万円、月額利用料23万5000円(月額利用料内訳は家賃8万5000円、管理費7万円、水光熱費2万円、食費6万円)
・プランC(一時金方式)/入居一時金(非課税・返還制度有)1290万円、月額利用料18万円(月額利用料内訳は家賃3万円、管理費7万円、水光熱費2万円、食費6万円)
撮影/津野貴生
【このシリーズのバックナンバー】
●各種専門職のそろった介護付有料老人ホーム<前編>
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