認知症予防に◎歩いて、社会参加する!話題の『ソーシャル・ウォーキング』って?
外出頻度が少ないと、認知機能や歩行障害、生活能力にも支障が出ることが明らかになっているという。外出頻度が減る原因の一つである中高年からの尿もれや認知症予防についての研究に取り組むユニ・チャーム(本社:東京都港区)は、東京都健康長寿医療センター研究所監修のもと、外出のきっかけにもなる認知症予防プログラム、ライフリー『ソーシャル・ウォーキング』を考案。
歩くことに加え、ソーシャル(社会参加)が認知症予防なると提唱する『ソーシャル・ウォーキング』体験会(4月15日 於:国営昭和記念公園)に参加してみた。
まだ桜が残る国営公園で行われた『ソーシャル・ウォーキング』体験会。3回目を数える今回は2本のポールを使う「ノルディックウォーキング」を平均年齢68才(最高齢84才)の男女72人が楽しんだ。
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ウオーキング(生理的アプローチ)+社会と接点持つ(認知的アプローチ)がソーシャル・ウオーキング
まずは、ウオーキングのコツ、認知症予防についてが解説された。
認知症の予防は、適度な運動とバランスよい食事で脳の良好な健康状態を保つ「生理的アプローチ」と、趣味やボランティア活動など社会との接点を持つことで脳を刺激する「認知的アプローチ」の両方を行うことが効果的であると実証されているという。
多くの専門医もすすめる有酸素運動のウォーキングは、もっとも手軽な「生理的アプローチ」の代表格。そして「認知的アプローチ」になる“目的をしっかり持つ”“社会と触れ合う”要素を盛り込んだのが『ソーシャル・ウォーキング』だ。
今回のイベントも「人と関わりながら歩く」を体感できるのだ。
社会参加し人とコミュニケーションすることが認知症対策に
体験会にも参加した東京都健康長寿医療センター研究所・医学博士の藤原佳典さんがソーシャル(社会参加)により脳の状態がどのようになるか、わかりやすく解説してくれた。
「人間の脳神経は、都市の鉄道網のようにたくさんの駅と線路が張り巡らされたような状態です。記憶や注意力、話す、聞く、見る、考えるなどさまざまな認知機能を司る神経細胞が“駅”。外から入ってくる情報や刺激が“線路”を走る“電車”。認知症で代表的なアルツハイマー型認知症は、アルツハイマー病によって、いわば“駅”がつぶれてしまい、“電車”の運行が滞ってしまっている状態です」
これを予防するための策は2つある。
【1】ウォーキングなどの有酸素運動やバランスよく栄養を摂り入れる食生活で、脳の生理的状態を良好に保つこと。
「有酸素運動は、血流をよくして脳に酸素や栄養を運び、脳神経細胞を壊す原因物質(アミロイドβたんぱくなど)を分解する酵素が出やすくしたり、一度壊れた神経細胞を再生させる栄養因子が出てきたりするという研究データもあります」(藤原さん、以下「」内同)
【2】人とのコミュニケーションや知的活動などで頭を使って脳を刺激すること。
「特に人とのコミュニケーションでは、相手の話を記憶し、相手の様子に応じて考え、相手の表情に気配りをしながら答えるなど、一人でコツコツ行う作業よりも、複雑にたくさんの脳神経を使うのです。こうしてたくさんの“電車”を走らせ、新たな線路も増設し、脳の神経回路をできるだけたくさん張り巡らせておくことで、もしいくつかの“駅”が壊れても、別のう回路を使って機能を保てる可能性が出てきます。そのためにも電車に乗る“お客さん”がいないと…。つまり人と話す、頭を使う機会を、元気なうちからたくさん作っておきましょう」
【ソーシャル・ウォーキング】
[生理的アプローチ]
●ウォーキング(歩幅は広め、速度きで)を1日15~30分 週2~3回
家事など生活動作だけではなく、軽く息が弾む程度のしっかり歩行。歩幅が狭いと認知機能の低下につながるともいわれるので、いつもより歩幅を広く速歩きを意識して。
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[認知的アプローチ]
●外出する(近所へのあいさつ、声かけなど外との交流を意識)
●目的を持つ(名店、名所をめぐり、散歩など目的をもつことを意識)
●役割を持つ(地域活動、ボランティア、仕事など)
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