認知症予防に◎歩いて、社会参加する!話題の『ソーシャル・ウォーキング』って?
興味のあること、人に喜ばれることを行うのが脳には刺激的!
脳の中の鉄道網、神経回路をさらに充実させるコツは、目的や役割、つまり楽しさや喜びのある社会参加だという。
「『ソーシャル・ウォーキング』で大切なのは、自分自身が楽しめるかどうか。認知症予防策で何より重要なのは継続することですから、まず自分の興味のあること、好きなことを取り入れましょう。
脳のメカニズムとしても、たとえば認知症にも深く関わりのある記憶を司る海馬という部位は、喜怒哀楽とともに取り入れた情報はすぐに定着しやすい。丸暗記のように何の感動もないままに覚えたものはすぐに抜けてしまいます。
また、どうせやるなら人に喜んでもらえる、役に立っていると思える活動がいい。実際に脳は、褒めてもらうと記憶力がよくなり、意欲をわかせるドーパミン(神経伝達物質)が出やすくなります」
そして『ソーシャル・ウォーキング』は、ただ歩いて筋肉を使うだけではなく、また、思考や脳トレなどで脳を刺激するだけでもはなく、両方を一緒に行うことで認知症予防効果がグンと上がることをめざしているという。
「認知症予防のためにと、ただ黙々と歩くのではなく、人とおしゃべりをしたり、花や風景を見に行ったり、あるいは名所や美味しい店を探して歩いたり。またボランティアや仕事など役割のある活動の行き帰りなどにしっかりウォーキングを取り入れるなど、歩くことと趣味や目的、役割のあることをうまく組み合わせると、とても効果的なのです」
外出頻度が少ないと要介護になるリスクが3倍に
●1週間に1回以下しか外出しない人は、1日1回は外出する人より、3,49倍も認知症になりやすい!
ユニ・チャームの調査によると、尿もれが不安な60~70代の4人に1人が週5日以上外出しない閉じこもり傾向にあるという。
「体は元気であっても外出しない原因は元々の性格や人間関係、住環境、さらには失禁(尿もれ)の不安など、いろいろあります。しかし外出頻度が少ないと、数年後に歩行や認知障害などで要介護になるリスクが3倍以上。また社会的な交流が活発な人は認知症発症リスクが低いという調査結果もあります。まずは外に出ることから始めましょう」
監修:東京都健康長寿医療センター研究所・医学博士 藤原佳典さん
撮影/浅野剛 取材・文/斉藤直子