音楽の力で認知症予防!注目の「若返りリトミック」教室に行ってみた
中盤では、「トーンチャイム」という見慣れない楽器が全員に配られた。金属製の筒にハンマーがついていて、振るとオルゴールのような澄んだ音色が響く。筒の長さによって出る音が異なり、筒の中央に赤いバンドが巻かれたものだけ鳴らすと「ソ・シ・レ」の明るい和音、青バンドのものは「ラ・ド・ミ」の寂しげな和音を奏でる。
いよいよスコットランド民謡『アニーローリー』を歌いながらトーンチャイムの合奏だ。
濱田さんの赤と青の手袋の合図に合わせ、タイミングよくトーンチャイムを鳴らし、難しい演奏はみごと成功! 参加者たちは、充実した笑顔を浮かべながら、余韻にひたっていた。
後半は歌謡曲の大合唱。美空ひばりの『悲しき口笛』、千昌夫の『星影のワルツ』、梓みちよの『二人でお酒を』、藤山一郎の『東京ラプソディ』など、往年のヒット曲をピアノ伴奏で歌う。その合間に濱田さん、松島さんが、手を変え品を変えの鮮やかなトークで笑いを誘う。
最後は『ふるさと』を合唱し、歌ったり笑ったりに大忙しの90分は、あっという間に終わってしまった。「もうすっごく元気が出たわ」と参加者の1人、80代女性はニコニコ顔。濱田さんと松島さんに握手を求める70代女性もいた。名残り惜しそうにしながらも、すっきりとした表情で参加者は会場を後にした。
体も脳も心もめいっぱい揺り動かす「若返りリトミック」。音楽の力に加えて、講師と参加者が一緒になって盛り上げるという温かな雰囲気が、若返り効果をさらに高めているのかもしれない。こうした催しは国立音楽院のほか、東京都老人クラブ連合会や、町田市老人クラブ連合会、世田谷区社会福祉協議会などと連携して、各地の地区会館やイベントホールなどで開かれている。くわしくは国立音楽院まで。
※ 音楽療法士:高齢者や要介護状態の人、障がいをもつ人などに対し、心身機能の維持・向上や認知症予防などを目的として音楽を用いたセラピーを施す専門家。
撮影/政川慎治 取材・文/市原淳子
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